大腸癌で外科手術を受けた話2(入院2日目、手術の日)
わたしの受けた手術は、結腸を一部切除する手術です。癌のあった部分と周辺のリンパ節を切除します。
虫垂炎にもなったことがないので、手術前後で自分の内臓の一部が無くなるということ、腸が少し短くなる、リンパ節については一部無くなる…何かこうピンと来ませんでした。
手術の朝は早起きして荷造りをし、看護師さんの持ってきた手術着、弾性ストッキングを着用しました。
昨日から点滴も始まっていたので、1人では着替えられず、手伝ってもらいながらです。
ふと頭かゆい、と気になり、手術後次いつ洗えるかわからないな、と思ったので部屋に付いている洗面台でガシガシ洗ってタオルドライしてみました。
何かする度、後1時間後には麻酔の中…こえー!と考えてしまうのですが、なんやかんやしているうちに手術直前の時間になりました。
HCUに持ち込める荷物は最小限で、貴重品も含めて事前に何を持ち込むか一覧に記入する必要があります。
その作業は看護師さんがやってくれました。
一旦看護師さんが戻り、あと10分後に迎えに来ますね、と1人になった後。
絶対大丈夫、絶対手術終わって元気になって家族に会う!内臓頑張れ!とぶつぶつ呟きながら待ちました。
あまりこういうことは普段しないのですが、生死に関わる逃れられないことに立ち向かうときの気持を作る、ということを初めてしたような気がします。
試験や試合前も似たようなものかと思いますが、そっちは基本的に本人がやりたくてやってることので。
手術室には2人の看護師さんと歩いて向かいます。
「全身麻酔、これまで経験あります?怖いですよねー。でもD医師(執刀医の先生のこと)腕良いんで
」などと話しかけてくれたり。
こんな自分より20歳くらい若い看護師さんが、安心させようとしてくれてるんだなぁ、と嬉しくなりました。
手術室に入ってからは麻酔医の先生や看護師さん達などが自己紹介してくれ、その後はあれよあれよという感じです。
手術台に乗り、膝を抱えて背中を丸めた状態で「ほわーっとする薬入れますね」と声をかけられた後、点滴が多分鎮静剤か何かに切り替わり、その後背中の皮膚に麻酔を打たれて、硬膜外麻酔のカテーテルを入れた当たりまでは覚えているのですが。
その後は何を思う間もなく。
次に気がついたのは、手術が終わってHCUに運ばれているときです。
一斉にいろんなことを話しかけられましたが、そっちは全部覚えてます。
手術予定通りでしたよ!
ずっと挿管してたので声出ないかもです!
荷物はどこどこに置いてあります!
身体にいろんな管繋いでありますからね!
これ痛い時に痛み止め出す用のボタンです!
旦那さんいますよ!
手術後の説明を聞きにきた夫と移動中に会うことができました。
HCUの病室に入って気がついたのは、左手に点滴2つ、右手に一つ、あといろんなところに心電図、尿管カテーテル、背面カテーテルとそこに繋がってる痛み止めのボトルなどが自分と繋がっていることがわかりました。
その時に痛みは無かったのですが、強烈な不快感としては尿管カテーテルです。
なんか…トイレにとても行きたいのを我慢してる状態がずっと続いてる感じ。
看護師さんらしき人から、何か気になることはありますか?と聞かれたので「トイレ…(に行きたい変な感じがすると伝えたいがそこまで声が出ない)」と言うと、「それは大丈夫です」とのこと。
じゃあ「鼻水…」というとティッシュを鼻に当ててくれましたが、箱ティッシュをくれ、「あとはこれで」とのこと。
ちょっと自分の身体を動かしてみると、自由になるのは左手の指先くらいのようでした。
右手はなんか板状のもので固定されていたので。
室内に時計は無く、スマホも手元に無いので今がいつの何時なのかわからず。(手術前に時計含めて身体に付けているものは全て外す)
そしていつまでこの状態なのかもわからず。
まずは手術が無事終わって戻って来れたことに感謝…ですが、意識はあるもののいろいろ繋がれてて自分の身体を自由に操れない、それがいつまで続くかもわからないという新たな怖さがやってきました。
今できることは…そうだ、とにかく回復。回復すればこの管も外れるしスマホも見られるようになるはず。とにかく睡眠だ!と思い、眠ることにしました。
次に目が覚めたときは、看護師さんにお願いしてスマホを手元に持ってきてもらいました。
夫にその後無事であることを連絡したかったのです。
が、管が多過ぎて文字は打てず。
その次に目が覚たときは消灯していたので、夜になったんだな、などと思っていました。
夜担当の看護師さんはいろいろ気の利く方で、動かし辛いですよねといって左手2つ取られていたルートを1つにしてくれました。
これで文字が打てるようになりました。
更に、トイレ我慢してる感じある、と言ったら尿管カテーテルと尿管バッグの状況を確認してくれ、流れやすい様に調整してくれました。
その上、なんか暑いと伝えたら、被せられていたマスクを外してくれ、すごい汗ですね!と言って顔と胸元を拭いてくれ、室温の調節をしてくれました。
「喉乾いてますよね?明日の回診で先生の許可出るまで水は我慢ですもんね…」
そうなんです。喉乾いてるんです。術後で発熱してるし。でも水飲めない…これ本当に辛かった。
そうしたら、うがいします?と言って冷たいお水を持ってきてくれ…。
おかげで口の中を湿らせることができました。
この看護師さん、天使や…と思いつつこの人にいいことがありますように、と祈ったりしながら寝たり起きたりで朝を迎えました。