四阿山(2021.10.18)③
根子岳に登頂してからは、稜線を見ながらの気持ちいい山歩き。
稜線まで出ると、雪の降る一歩手前の冬山の様相である。
木々がまばらになった様子がまた静けさを醸し出しており美しく、季節というのはこういう景色を見て感じたいものだとつくづく思った。
付かず離れずのペースでずっと歩いていたご夫婦の写真を道中で撮ってあげた。ずっと嬉しそうなお顔の奥さんである。こっちまで幸せになる。
この日は平日だったこともあり、人出は多くなく、自分のペースで歩くことができたのもよかった。
山頂からは北アルプスだけではなく、新潟との境の山である妙高・火打や、遠く山梨や栃木まで見渡せた。根子岳側は新潟県方向が見えていたが、四阿山側に歩くと浅間山がよく見えるようになる。
浅間山はわたしの祖父母の故郷の山。登頂したことはないが、いつも姿を臨むたび、そのことを思い出す、わたしにとって少し特別な山である。
昼食は浅間山を臨みながら四阿山の頂上でとった。そこからピストン(元来た道を戻ること)することなく別ルートで下山道に入る。
最後にまた良かったのが、終着まであと少しというところで、急に森が秋の様相を見せ始めたことだ。最後の1時間ほどになると氷と霜は姿を消し、ススキと紅葉の森歩きになった。この時期の山のおもしろいところである。
下山すると冬から秋に時間をさかのぼったみたいに、季節を逆回しで体感することができる。
朝から昼に時間が進み、登山口である菅平牧場の季節も少し逆戻りしている。
帰りは東御まで車を走らせ、オラホビールの隣の温泉施設へ。東御の景色というのがこれまた素晴らしく、移住者が増えているのもうなずける。
広々とした眺めの良いお風呂で大満足し、ビールを飲みたいところをぐっとこらえながら、隣接しているワインの施設に立ち寄ってみる。
東御のワイン、いろいろ試してみたいと思いつつも、半年に一回東御に来ている母がその度にお土産で買ってきてくれるくらいしか飲んだことがない。
車なので飲めないのですが、と断りつつテイスティングカウンターのお兄さんに色々話を聞かせてもらう。ワイン作りがしたくて移住してきた方だそうだ。どうりで話も詳しく、弾むわけである。こうやって愛をもってお話ししてくれる人がいると、また立ち寄りたいと思う。次は飲める体勢で来るぞ、と思いながら立ち去ろうとするとお兄さんに名刺をいただいた(というかなぜか名刺交換した気がする)。
あれ以来まだ訪れられていないが、今もそのカウンターに立っていらっしゃるだろうか。それともご自身のワイン作りを始められているだろうか。そろそろ行きたいな、と思う。今度はドライバーを連れて。
おわり。