灰の

そこに浮かぶ煙

灰の

そこに浮かぶ煙

最近の記事

君へ

「明日の朝には日差しが降り注ぎそうです」 昔からラジオ派なのだが、テレビよりコンパクトに伝えてくれるのがよいなと思う。そうか明日は晴れるのか。入院のギリギリに詰める用の荷物をまとめる。 明日入院して、明後日産んで。 計画的に入院出産するのは準備をする上でラクだし、ましてや上の子がいればなおのこと需要が高いと思う。 一人目の出産のときも計画無痛だったのだが、人間の体のことなので仕方ないが計画どおりにいかないわ無痛でもないわでさんざんだった。(過去記事がどこかにあると思う) 予定

    • 街路灯と艶紅と、それから

      非常に久しぶりに、子を連れて実家に帰った。そんなに遠くはないのだが、父親との折り合いが悪く実家を避けているため、あまり帰れていないのだ。 二人目出産の入院に向けて、前回の里帰り中に実家に置いてきたものを少し回収した。これ別にそんなきれいにとっておかなくてもいいのにというものも綺麗に保管してくれているのが私の母である。捨てたと思っていたものが見つかったりした。 今回は里帰りをする予定はない。 近隣ではあるので送迎をしてもらって日中~夕方までは実家で休養をとり、夜間だけ自宅に

      • 吐露したいこと

        ぼやっとした水風船のような重たさを顔面に感じながらパソコンを開く。パソコンを開くのも1カ月ぶりくらいではないだろうか。カフェインとりてぇと思いながらカフェインレスコーヒーを温めた。まあ正直、最近は「カフェイン取って気分よく元気に過ごせるならそのほうが胎教にいいだろ」と開き直りつつあるのだが。 大きくなってきた腹を抱えながら1歳児とこの酷暑をしのいでいる。 我が子はあまりアクティブな方ではないので家にいる時間が増えたかもしれない。何せ遠出できる外気温ではない。子にとっても、妊

        • まっさらな色にこそ影を

          30分だけ、と決めてパソコンを開く。 今日は珍しく昼間から綺麗なピアノBGMを流している。水の音も聞こえて心地がよかった。普段の日中は天気やニュースも聞きたいのでラジオをつけているが、毎日だとちょっと耳に詰まってくるのだと気づいた。 昨日は実家に子を預けて私用に出かけた。最近実家に子を預ける頻度を敢えて増やしているのだが、夏の暑さと電車の寒さがたたみかけてくるのが肉体的に辛い。急すぎる寒暖差は幼い頃から苦手で、戻してしまうこともあったのだが、大人になったらさすがにそこまでに

          雑感

          引き続き、よく子の風邪をもらっていた。花粉症の症状がぶり返したり、おなかを壊したり、とかく体調が悪い日々が続いていた。 窓をしめるタイミングを失った今夜は少し風が冷たい。(外より明るいのと窓の構造上、しめる瞬間に虫が入ってしまう) 同居人がいる日であれば怒られるのだが、今日は不在だ。小窓だし、ギリギリまで閉めなくていいやと思っている。最近小言が面倒くさいと思うことが増えた。向こうもそうなのだろうし気になる点が違うのだから仕方ないけれど、相手を許せることが減ったと思う。 私

          色褪せず滲まず

          早めに書くといって1か月開いてしまった。 何回か言ってるかもしれないが、以前よりもnoteの人口が減ってしまった気がする。というか、同世代~上、くらいの人たちがSNSやらnoteやら、そういう場所から少しずつ消えている。年のせいなのかな、という言葉の中には「自分たちが歳をとったことで発信したい気持ちが薄らいだ」という意味もあれば「インターネットで発信することの意味合いが現代の若い人にあわせて変わってきて、自分たちはその変わった意味合いのあるインターネットに意味を見出せないから

          色褪せず滲まず

          窓の内側より

          とっても久しぶりになってしまいました。 目が回るほど忙しいとかではなかったのだけれど、同じことを繰り返していると一日がすぐ終わってしまうように感じます。 書けていなかった期間、震えるほど怒った日もあるし、一人で泣いていた日もあったし、子を置いて一人で消えるつもりでいた日もあった。そんな時はいつもこの時間が必要だったんじゃないかと後から思っていた。これを書こうと頭の中で数行分くらいの文を考えては時間とともに消えていく日々。それから、長いこと書き留めていないと文章にならず、だらだ

          窓の内側より

          0~1歳までで使ったグッズの個人的評価

          無事に1年、この世で過ごせた子のことを振り返るのもいいのだが、 結局産後から今までずっと使えたものはなんだったのか、よく準備必須とされているもの、いらないと言われているものがどうであったかを思い出してみようと思う。誰かの参考になれば嬉しいシリーズ。 ・沐浴マット →退院してから今現在までずっと現役でファスナーが壊れて買いなおした。 出産準備でもベビーバスを買わず、シンクで沐浴をすませていた。 その後お風呂に入れるようになっても、我が子は動きが緩慢だからか、生まれて数日からず

          0~1歳までで使ったグッズの個人的評価

          小さな世界で

          時間ができたというか、あれもこれも「待ち」になって突然ぽかんと時間が空いたので、パソコンを開いてみる。 朝からの豪雨がやんで、日が差し込んできた。不安定な濃淡で地面を照らしてすぐ風と一緒に流れた。こういう天気には季節を感じづらいなと思う。季節が進む毎に雨が降る気がするからだろうか。 うちの乳児が生まれる頃はこんなに寒かっただろうか。 大きい腹が重くて、暑くはないけど不思議と寒くもなくて、足がむくんでいた。大したトラブルがないことを誇りに思いたくさん歩いた。腹は度々張って

          小さな世界で

          二人で昔話を

          結論としては違ったのだけど、「もしや妊娠しているのでは」と思いひやひやするような、わくわくするような気持ちでしばらく過ごしていた。 私は健康な人よか妊娠しづらいので、気を付けなければ妊娠はしない(教科書の逆)と思っている。それなのに、この数週間はひやひやするような、わくわくするような、そしてちょっと寂しいような気持ちだった。つい先日、年子となる下の子を妊娠中の友人が「また新生児が見れるのは嬉しいけど、一気に子育てをするのがもったいないような気もして、ないものねだりなんだけど」

          二人で昔話を

          名前のない夏

          強い日差しを遮るレースのカーテンに夏だなと感じる。 0歳児と暮らしているとどうしても家にこもりがちなので、今年は今年の夏を織り上げていく感覚に鈍い。思い出の中の夏を引き出して穴だらけでも新しい形で今年の夏はできあがっていったように思う。 子の機嫌がよいか悪いかに左右される日々に季節感は少ない。 今住んでいるところは向かいの家と視線が合ってしまう時がある。相手は高いところから、こっちは低いところから。気を使わせてしまったのか、それとも暑いからなのか、向かいの家はカーテンを閉める

          名前のない夏

          ガラスの拳

          0歳児に腹を立てている自分が情けなかった。 振り上げた哺乳瓶を床に突き刺した。子は驚くようでもなく、泣くことも笑うこともなく、いつもの感情のあるのかないのかわからない瞳でこっちを見ている。どちらかというと静寂に響いた銃声のようなその音に同居人のほうが一瞬だけ驚いたのを肌で感じた。私はガラスの重くよく通ったその音に心地よさを感じた。 ほんの少し寝不足が続いた。 思えば、前回の健診でのダメージもそのままに、社員全員必須の研修に仕事終わりに参加するかのごとく赴いたなんの意味もない

          ガラスの拳

          漂うあの香り

          高校生くらいまで私はブラックコーヒーが飲めなかった。 ブラックコーヒーが飲めるようになったのはイタリア人がひっそり営むカフェバーに少しどころかだいぶ背伸びをして入った時で、アイスのブラックコーヒーを飲んだ。あとから砂糖とミルクを足すつもりで頼んだ。けれど同行者がイタリアのコーヒーは美味しいと言うので、カクテルのように脚の長いつるりとしたガラスに注がれたブラックコーヒーが特別なものに見えた。一口飲んでだめだったら、と思って飲んでみると、ほろ苦いけれどチョコレートのような甘さで、

          漂うあの香り

          こぐま

          こんな天気のせいだろうか。 それとも、除湿で冷やした静かな部屋が気怠いのだろうか。 敢えて少し音が大きめのラジオの流れるこの空間が静かすぎるせいなのだろうか。 先日、子の健診へ赴いた。 元が出不精なせいもあるが、子が生まれてからめっきり電車にも車にも乗らず、もっぱらこの足で行ける範囲でしか移動はしてこなかった。たった一駅電車に乗るだけでも少し緊張した。 会場には車で来ている人が結構多かった。場所が選べるものの両極端な場所だったので、立地条件が悪い人も多いのだろう。もうしばら

          こぐま

          合間を縫って

          蒸し暑い日々に、子の泣き叫ぶ声が響く。 先日の日記とはまた異なって(思えばあのころから調子はよくなかったのかもしれない)ものすごく最近泣くようになってしまった。月齢を考えても知恵がついたり、歯が生えたり、季節のことを含めば汗疹もできたり、色々と大変な時期である。後追いをするにもまだそこまでは動けず、けれどけがをしそうな場面にひやひやしてサークルも設置したのでそれも気に食わなかったりするのかもしれない。 元々、子はあまり泣かない方なので育児参加をしてこなかった人々からは「楽そ

          合間を縫って

          泣く声が呼び起こすものは

          浴室で子が、珍しく盛大に泣いている。 それはもうぎゃんぎゃん、と周りの人からは思えるであろう泣き方で。私にはこのぎゃんぎゃんが苦しそうに感じてならなかった。自分の耳がつんざけるかどうかよりもそれが辛かった。 普段、号泣することは少ない。(新生児~1か月くらいまでを除く) 理由のない泣きをすることも少ない。(新生児~2か月くらいまでを除く) だからこれは私の責任、泣かせてしまって申し訳ないという気持ちがはちきれそうだった。子が普段泣かないほうだからというのもあるが、自分がこ

          泣く声が呼び起こすものは