お待たせしました。 いや、お待たせし過ぎたかもしれません。
Amazonプライム派なもので、この一報が取り沙汰らせた時は苦虫を噛み潰しました。
役者、監督の妙はもちろんのこと、何よりも題材が「ハメ撮りの帝王」こと村西とおる。1975年生まれのおじさんにとって、AV監督(クリスタル映像時代)としての村西とおるは特段リアルタイムではなく、どちらかといえば「村西軍団」でその輪郭を形取っていた世代。いかがわしい人だという朧げな認識と共に「ナイスッ!ナイスですねぇ」の台詞を片岡鶴太郎越しに知る程度でありました。
と同時に、黒木香の存在もテレビ越しに知るものの、村西とおるとの関係を知る由もなく。家族の冷ややかな空気と「見ちゃいけない」という子どもながらの防衛本能、そして成人女性に生えた脇毛に違和感を感じ、彼女の本陣(ヴァギナ)にまでたどり着くことはありませんでした。
30余年の時を経て目の前に現れた、古く新たな世界。お盆休みという高揚感か、最近飲み始めた亜鉛の効果か。暇を持て余し、欲も収まらず、結局は1ヶ月のNetflix契約(800円)という男らしくない方法で、話題の「全裸監督」を観ることとなるのです。
結論から述べさせてもらうと、少しでも興味があるのならば「今すぐ契約して観ろ」と。もうひとつ。全8話。おそらくノンストップで観ることになるだろうから、「できるだけ早い時間に観始めろ」と。そうでないと、我々夫婦のように朝の4時に寝る羽目になってしまう(しかも興奮してしばらく寝れないというおまけ付き)。
テレビの時代は終焉を迎える
内容について言及するなどという野暮なことはしない。その目で観て、軽く股間を火照らせながら観るがイイ。それよりだ。この作品を観て、テレビマンはどう感じるのだろうかと不安に陥った。画面の中で起こる、現代のテレビには流れ得ない情景。資本は海外だが、製作陣は隣人だ。演じる役者も彼らにとっては縁遠い人たちではないだろう。身近なはずの景色が、蜃気楼のように手の届かないものに感じたのではないだろうか。
「コンプライアンス」という糞みたいな単語に脅かされるエンタメ業界。「クライアント」という足枷。結局は表現の幅が狭まり、つまらないクイズ番組や健康番組に終始する時代にアレである。才能ある者、センスに溢れた者であればこう思うのは当然であろう、「俺もアッチでやりたい」と。
そして、別業界にいるものの「アッチ」側で生きていきたいと強く望むのでした。向上心がなくなった時点で、人の老化がはじまるのだ!