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美味しすぎない「スパゲティ」
仙台の目抜き通りのひとつ、ハピナ名掛丁は美味すぎなさそうな店が溢れている。タモリもブラタモったほど歴史のある名掛丁。いわれは江戸時代にまで遡るらしいが、伊達政宗より何より、薄暗い飲食店がたむろする名掛丁の雑居ビルはパラダイスだ。
訪れたのは、スパゲティハウス馬鈴薯。看板にある「スパゲティハウス」のPOPな書体と「馬鈴薯」の麗美なフォントの組み合わせ。店に入る前から静かにテンションが高まる。
店内は、瀬戸内寂聴が表紙の婦人公論が雑に置かれて幅を利かせる。タイルの床も趣きがある。そしてアンティーク調のウィンザーチェア。アンティークじゃないのに、気がつけばそれなりの歴史を刻んできたんだろう。いや、そうであって欲しい。
オーダーはトマトチキン(800円)。鶏肉版ゴロゴロミートソースと言った塩梅。麺はもちろんノー・アルデンテだ。トマトソースの酸味を粉チーズがやさしく誤魔化す。粉チーズを多めに振りかければ満足なんだろう?そんな風に客を見下してそうな風貌。完璧すぎる。
食後は濃い目のブラックコーヒー。苦み走った味わいが、麗しげな時間を現実に戻す。パスタがスパゲティと呼ばれていた時代。ノスタルジーに浸れるわけがない若いカップルが「懐かしい〜」とスプーンの上でフォークを回す。(嘘つけ)と思いながらコーヒーを飲み干した。
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