美味しすぎない「ホンコンシュウマイ」
仙台駅近くの周香港飯店。つまりおそらく、周さんがつくる香港料理を食べられる店だ。いや、ほぼ間違いないであろう。電通か、それとも博報堂の仕業だろうか。「周さん」がつくる中華料理への無条件降伏。それが富徳だろうが富輝だろうがそうじゃなかろうが、周の姓に跪くのが日本人の性なのだ。
店内は、コックコートに身を包んだ周夫徳が厨房を一人で回し、流暢かつ独特なイントネーションで日本語を操る周嫁徳がフロアを切り盛りする。人懐こい接客に異国の情緒を感じる。
看板に「点心料理」とあるため、ダイコンモチやらギョウザから攻める。と、ここで誤算が。
ホンコンシュウマイなる点心が相当に美味い。何がホンコンなのか味からは想像できないが、45年間培ってきた我が焼売史の中でも圧倒的なレベルな味わいだ。まずい、美味すぎなくない…、久しぶりの投稿なのに…。
ふと目に入った謎の液体。辣油のようだが色が薄い。味見をしてもさほど辛くない。謎の油こい液体だ。これだ、この脇の甘さが醍醐味なんだ。久しぶりの感覚に意気揚々と箸を進める。
青椒肉絲的なメニューだが、タケノコと見せかけてのモヤシと炒める。納得の味ながらもこの微妙なダウングレード感。そう、これだこれだとビールが進む。
香港風ピリ辛チャーハンの「香港」部分を探したいが、香港未訪の身には難題だ。舌でねぶるように食べ、なけなし一匹のエビを食べるタイミングを見計らいながら、半袖の肘が触るテーブルのペトつきにニヤニヤする。そうだ、自信を持って久々に語ろう。ここは美味すぎない店だ。素晴らしく愛すべき店なのだと。
美味しかったからまた来ますねと伝えると、「凄いウレシイデス!」と周嫁徳。マスク越しに伝わる最高の笑顔に、次回のオーダーをシミュレートしながら家路につく。よし、今度は金華ハムチャーハンだな。
サポートいただいたお金で絶妙なお店にランチにいきます。