詐欺師との攻防(インド3)
財布をすられる
2016年12月26日(2日目)
篠原(一緒に旅をしている友人)が財布を紛失したため午前中は警察署へ。
篠原曰く、すられたらしい。
「いや。すられんのはやっ!」
バックパッカー殺しの街「コンノートプレイス」
気を取り直して、午後は「コンノートプレイス」というショッピング街で観光することに。
コンノートプレイスへ行く道で、沢山のインド人が話しかけてくる。
おかしなことに、彼らは全員、俺たちをDTTDC(旅行代理店)へ連れて行こうとする。
インド人1人目…宿からコンノートプレイスへ行くオートリキシャー(3輪タクシー)の運転手。「コンノートプレイスへ連れて行く」と言いながら、到着した場所はなぜかDTTDC(旅行代理店)。
インド人2人目…そこらへんを歩いてたおっさん。「コンノートプレイスは旅行者向けで値段が高いから地元民向けのインディアンバザール連れてってあげるよ」と言われ、彼について言ったが、到着した場所はDTTDC。
おい!「インディアンバザール連れてってよ」と言ったら、「ミスったわ。ごめん」って言ってまたインディアンバザールへ向かうことに。
彼について行ったが、スマホの地図で確認すると歩く方向おかしい。
問いただすと、寄付させるため孤児院に連れてくようでした。
「いや、インディアンバザールに連れてってよ!」
インド人3人目…おしっこだらけの道あるいてたらまた違うおっさんに話しかけられた。
「インディアンバザールに行きたい」って言うと、近くにいたオートリキシャーの運転手に話して、インディアンバザールまで乗せてってもらうことに。
着いたところはまたDTTDC。「インディアンバザール行けよ!」と言い、やっとインディアンバザール到着。
インド人4人目…インディアンバザールで観光をし、ひと段落してサモサを食べてたら変なおじさんが話しかけてきた。どこいくの?鉄道のチケットは確保できてんの?とか。
インド人5人目…カッコいいおっさんがAre you Japanese?みたいに話しかけてきて仲良くなる。彼がコンノートプレイスの安い店を案内してくれた。なんて良い奴。
日が暮れはじめた。
5人目のおっさんから、「近くに寺院があって18時から礼拝がはじまり、タダ飯く食えるよ」と言われ、テンションあがる。会話も弾み、どんどん仲良くなった。
そして最後に、「ここらへんのインド人はみんな偽のDTTDCへ連れてこうとする。ぼったくるためだ。俺は政府が運営する本当のDTTDCを知ってる。」と言い、近くにいたオートリキシャーの運転手に説明し、俺たちをその政府直属DTTDCに案内してくれた。
寺院のタダ飯がスタートする時間までの時間つぶしだし、DTTDC行ってみるか!みたいなノリで行った。
そして、いざオートリキシャーで本物のDTTDCへ連れて行ってもらうと。なぜか3つくらいDTTDCが横に並んでる。
「どれ入れば良いんだろう」と思ってたら、一番左端のDTTDCへオートリキシャーの運転手に案内された。
店名は「GRACE INDIA HOLIDAY」。
中へ入ると優しそうなインド人が。名前はハニー。最初は雑談から始まった。
チャイ(インドのお茶)も出してくれ(睡眠強盗の恐れもあり、俺は友人2人とは時間をあけて飲む))、彼は優しく、ユーモアもあり、俺たちは彼との会話にのめり込んで行った。
しかし彼は衝撃の事実を告げた。
「年末年始はどこのホテルも混んでおり、電車もまず乗れない。観光は厳しいだろう」
え。
俺たちは絶望に突き落とされた。
でもハニーは、
「電車に乗りたいなら俺が特別の予約をしてやる。ホテルも手配してやる」と。「俺がインドを楽しむ旅を一緒に考えてやる」と。
長旅の疲れもあり、彼の優しさは身に染みた。
彼の好意でツアーを組んでもらった。
友人の1人が財布をなくし、俺たちの懐が寂しい旨を伝えると値引きをしてくれ、3人で18万円となった(12日間ホテル・交通費込のツアー)。
20歳のガキであった俺は心の底から感動した。
ハニー、なんて優しいやつなんだ。
やっとやりたいことが見つかった。
俺もハニーみたいに、不安な中、異国の地で彷徨ってる人を助けたい。旅行会社で働きたい。
瞳に涙が溢れた。
この異国の地インドで騙そうとしてくる人が沢山いる中、こういった親切なインド人もいる事実は俺たちに感動と安心感を与えた。
俺たちは涙をこらえながら礼を言い、握手をして別れた。
そしてツアー通りタクシーで「ピンクシティ」と呼ばれる街、ジャイプルへ向かう。運転手はハゲのインド人リカルド。
しかしタクシーの中でスマホを使い、ホテルや交通機関の相場を知り、ぼられた事実にやっと気づいた。
ハニー、やりやがったな!
とはいえ、ジャイプルは目と鼻の先。
3人で議論の末、明日DTTDCに乗り込み、金を取り返すことに。
そこからひたすら作戦を練った。
どうやったら金を取り返せるか。
そして親切なインド人?だという評判で地球の歩き方に記述があるシンさんの助けを借りることに。
そしてジャイプルのホテルで眠りについた。
余談
ここで一つ余談。
インドでは、シャワーの水は基本冷水のみ。
しかし、今回泊まるホテルではお湯もでるらしい。詐欺師ハニーいわく。
俺たちは飛び上がって喜んだ。
やっとお湯のシャワーを浴びれる!!!
冬のインドはめちゃくちゃ寒かった。
シャワーじゃんけんで勝った俺は1番乗りでシャワーを浴びた。
あ、
あったかい!!!
いつぶりのまともなシャワーだろうか。
最高だ。最高すぎる。
天にも昇る気持ち、とはこの事を言うのだろう。
詐欺師との攻防、紙無しトイレ、通じない言葉…
そんな異国の地での1番の安らぎだった。
2番目の篠原にシャワーを譲る。
彼がシャワーに入るやいなや、悲鳴が聞こえた。
つ、冷てえぇぇええ!
そこで気づいたことだが、俺はお湯ボタンを押さずにシャワーを浴びていた。
自己暗示、恐るべし。