「こんな車、見たことない」自家用車リノベ制作プロジェクト”FAB CAR”発表会レポ
こんにちは、トラベルライターのおにぎりかです!
2020年11月28日にLivingAnywhere Commons八ヶ岳北杜(以下、LAC八ヶ岳北杜)で開催された「FAB CAR」製作発表会に参加してきました。
「FAB CAR」は、”デジファブで、もっと自分らしいクルマを”というキャッチフレーズを実現すべく立ち上がった新プロジェクト。仕掛け人は、LAC八ヶ岳北杜のプロデューサー・渡鳥ジョニーさんです。
渡鳥ジョニーさんプロフィール
VLDK / LivingAnywhere Commons 八ヶ岳北杜 プロデューサー
1980年千葉県生まれ。2004年 慶應義塾大学環境情報学部卒業後、広告業界にてウェブデザイナー/エンジニアとして勤務。2011年 震災をきっかけに移住した熊本で、暮らしかた冒険家として活動する。2014年 ベースを札幌に移し 札幌国際芸術祭に出展。2018年 都市型バンライフを開始し、2020年より LivingAnywhere Commons 八ヶ岳拠点起ち上げに携わる。WITHコロナ時代の働き方や暮らし方を実験中。
ジョニーさんは働き方や暮らし方が見直される近年において、ひとつの形としてバンライフを実践してきました。
バンライフとは… 車を暮らしの場、そして働き、遊べる場として家のように作り替えることで、旅するように自由に暮らしていくライフスタイルのこと。
この新プロジェクトでは、デジタルテクノロジーで建設産業の変革を目指す設計集団「VUILD株式会社」のデジファブ技術を駆使し、なんと普通車を「ニューノーマルな茶室」にリノベーションしたそう。
「デジファブ技術ってどんな技術?」
「普通車が茶室ってどういうこと!?」
もの作りが好きな方や、バンライフに興味がある方。
最先端のデジファブ技術が気になる方にぜひ読んで欲しいレポートです!
”デジファブ技術”とは
デジファブとは、デジタルファブリケーションの略称です。
デジタルデータを元に創造物を製作する技術で、3Dスキャナーや3DCADなどの測定機により、自分のアイデアや個人の身体データ等をデジタルデータ化します。
そのデジタルデータを3Dプリンターやレーザーカッターなどのデジタル工作機械で読み込んで、実際に造形することができる技術です。
たとえば、機械の部品や家具から、義足や人工皮膚といった医療道具まで、幅広い素材の物づくりに活用されています。
これまで個人が物づくりをする際には、加工する際の技術、道具をレンタルする費用、加工にかかる時間など、膨大なコストが発生するため、非常にハードルが高いものでした。
そこで、デジファブ技術を取り入れることによってそれらの問題が解決されるため、誰でも物づくりがしやすい環境が実現できるようになります。
第一弾のテーマは「チルアウト茶室」
FAB CARプロジェクト第一弾のコンセプトは「チルアウト茶室」。
チルアウト茶室の構想メモ。茶室に置いてある小道具の再現に、こだわりを感じます。
今回リノベーションに利用した車種は日産のラフェスタで、バンと比べるとやや小さめ。
限られた空間で何を作るか考えたときに、思い浮かんだのが千利休の茶室だったそう。この茶室の大きさもわずか1畳半ということで、ラフェスタとちょうど同じくらいのスペースでした。
普通の茶室を作ってもおもしろくない…
ということで考案したのが、このチルアウト茶室です。
「チルアウト」とは、果たして何なのでしょうか…?
FAB CAR第一弾お披露目の瞬間
そして、いよいよお披露目の時がやってきました。
ジャーン!!
ストレスの多い現代人がいつでもどこでもリラックスできるような空間の茶室に仕上がりました。
車の中ではお茶を飲むのではなく、なんとシーシャを吸えるようになっています!外から見ると一見怪しい(!?)ですが、中ではしっかりくつろげます。
そう、だから「チルアウト茶室」なんです!
現代風と謳いながらも、昔ながらの茶道具も置かれているこだわりの車が完成しました。
入り口には、茶室らしく飛び石をイメージしたスツールが置かれています。チルアウト茶室に入るときには、きちんと靴を脱ぎましょう!
夜になり、車内がライトアップされるとまた雰囲気がガラッと変わります。
ぼんやり灯る明かりに想いを馳せながら、ぼんやり考えごとをするのも良さそうです。
デジファブ技術「ShopBot」とは
今回のプロジェクトでは、VUILD株式会社の「ShopBot」(ショップボット)を用いて車のリノベーションが行われました。
ShopBotとは、世界で初めて低価格で販売された、木材加工専門のCNCルーター。新しい技術は使いたいけど大型の多機能マシンは必要ない…そんな、個人や小さな事業者のために提供されています。
車内の構造は、湾曲していたり細かいパーツが多かったりします。
メジャーで測って、図面に起こして、手で木材をカットして…というのは想像しただけでもかなり大変そう…。
そんなとき、最先端のデジファブ技術を使えば、iPadで車内を3Dスキャニングしたデータからモデリングし、CNCルーターで車両形状にピッタリに裁断・パーツのくり抜きまで出来てしまうんです!
ジョニーさんはそれまでご自身のバンのリノベーションをすベて手作業で行ってきました。ShopBotの存在を知ったときは「そんなに簡単に出来るなんて!」と、思わず悔しい気持ちになってしまったそうです。
VUILD川崎工房へ訪問(製作風景)
今回のイベントの前に、川崎にあるVUILDの工房へおじゃまして製作風景を見せていただきました!
工房は川崎駅から歩いて約10分の場所にあります。
ガラス張りの建物なので、外から工房の様子を覗くことができます。木に囲まれていて、おしゃれな雰囲気…!
気になるShopBotの機械はこちら。
iPadで計測した車のデータを取り込んで、木材をカットしていきます。機械が動き出すと、板の上にスイスイと線が描かれていき、思わず目を奪われてしまいました。
カットした木材をくり抜いて…
切り出した部品がこちら!
部品のカーブ部分も、なめらかに仕上がっています。
切り出した部品はハンマーで叩いて、ビス止め不要で車体を傷つけることなく簡単に結合できちゃいます。
あっという間に部品が完成しました!
ちなみにジョニーさんが座っているのは、チルアウト茶室の外に設置している飛び石スツールです。
ShopBotで切り出した部品を車にはめ込みます。
車内にぴったりフィットするのがすごい!
部分的な微調整が必要な箇所もあるそうですが、イチから手作業でやるよりも速くて手間がかかりません。
部品をはめ込み、車内を塗装して…
こうして「チルアウト茶室」は完成しました!
LAC八ヶ岳北杜がこれから目指すこと
LAC八ヶ岳北杜は「定住からの開放」というビジョンの実現のために「実証実験の聖地」になることを目指しているそうです。
ものづくりに挑戦したい人は、ぜひLAC八ヶ岳北杜を訪れてみてはいかがでしょうか。
自然に囲まれた施設でプロトタイピングし放題、住み放題と、思いっきり創作活動に没頭できる環境が整っています。
LAC八ヶ岳北杜の従業員・ヤギのニーナちゃん(雑草処理担当)も待っていますよ!
旅の感想「LAC八ヶ岳北杜はものづくりの聖地」
今回、LAC八ヶ岳北杜に旅をして強く感じたのは「この場所には新しい何かが生まれる可能性がたくさん秘められている」ということ。
敷地内には、改造されたバンや移動式サウナなど、これまで見たことのなかった物がたくさん。世の中にはこんなにユニークなアイディアを考えて、実現してしまう人がいるんだ!という感動をおぼえました。
なんといっても、LAC八ヶ岳北杜のコミュニティマネージャーのジョニーさんの人柄が印象的です。バンライフの可能性を信じ、バンを改造して実際に生活してしまう行動力。そんなジョニーさんが居るLAC八ヶ岳北杜がおもしろくない訳がない!
ものづくりをしたい人はもちろん、これまでに無い体験をしてみたい人、アイディアの構想を練りたい人、自然に囲まれて仕事をしたい人…。
何かひとつでも当てはまったあなたに、ぜひ訪れて欲しい場所です。
企画プロデュース・全体ディレクション:渡鳥ジョニー
写真:黒部駿人、おにぎりか
撮影協力:大信田 侑里、後藤 未来子、木下 香菜、上垣 陽和(株式会社LIFULL)
設計・施工:黒部駿人、戸倉一(VUILD株式会社)
ライター:おにぎりか
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