まちづくりを熱く語り合える場を | LAC宮崎都農コミュニティマネージャー・中岡映治さんインタビュー
場所やライフライン、仕事など、あらゆる制約にしばられることなく、好きな場所でやりたいことをしながら暮らす生き方(LivingAnywhere)をユーザーと共に実践していくコミュニティ「LivingAnywhere Commons」に、2022年4月新しい拠点が加わりました。
今回拠点として加わったのは、宮崎県都農町にある「まちづくりHOSTEL ALA(アラ)」。
運営している株式会社イツノマは、「人からはじまるまちづくり」をベースとした事業を展開し、デジタルフレンドリー推進※や地元中学生へのキャリア教育に力をいれています。
都農町は、宮崎空港から電車で約1時間の場所にある、宮崎県中東部の町。人口1万人が暮らすこの町は、2050年の脱炭素化を視野に入れ、ゼロ・カーボンタウン宣言を行うなど、環境保護にも取り組んでいます。
今回はそんな宮崎県都農町で、LAC宮崎都農拠点のコミュニティマネージャーをつとめる中岡映治さんにお話を伺いました。
人口1万人の小さな町でHOSTEL ALAをはじめたワケ
ーー株式会社イツノマが、都農町でALAをオープンした経緯を教えてください。
イツノマ代表の中川は、キッザニア東京やMUJI HOTEL GINZAをつくったUDS株式会社(※1)の代表をしていました。2018年に都農町のグランドデザインを策定する業務を受注してから都農町とご縁がはじまりました。
2020年、中川はUDS株式会社の代表を退任、都農町でグランドデザインをはじめとするまちづくりをするために移住してきました。
ーー最終的に、都農町で事業をやろうと決めた理由はあったんですか?
都農の町長をはじめ魅力的で面白い人たちの存在です。
都農は小さな町でありながら、町長のビジネス手腕やまちづくりにおいて「すぐ、やる」姿勢がすごいんです。どんなときでも前向きな姿に、中川は「この町で一緒にまちづくりをしよう!」と決めました。
ーーそんな背景があったんですね。
はい。イツノマとしてまちづくりをするためには、大学生をはじめ若い人たちが主役になっていくことが大切と考えていたので、ALAは、「まちづくりに興味のある大学生と、寝食を共にしながら語り合える場」としてオープンしました。
コロナウイルスによって自身の夢が途絶えたとき、偶然出会ったのがイツノマだった
ーー中岡さんはどうして都農町に来られたのですか?
僕は高校生の頃から「いつか起業したい」と思っていたんです。
大学は観光学部で地方創生に携わり、いずれは食の分野で起業しようと思っていたので、卒業後は飲食店で働いていました。でも、コロナウイルスの影響で飲食での起業が厳しく感じて…。
その後、飲食での起業がだめなら、IT×地方創生の分野はどうだろう?と思ったんです。「まちづくり・IT・ベンチャー」で検索して見つけたのが株式会社イツノマでした。
ーー実際に都農町へ来られていかがですか?
僕の出身は高知県の田舎で、街並みや気候が都農とよく似ています。だから、特にギャップは感じませんでした。実際に来てみて思ったのは、すごく素敵な人が多いということですね。
まちづくりに関心のある人が気持ちよく滞在できる場所を
ーーLAC宮崎都農の施設概要やこだわりを教えてください。
元々この施設は「まちづくりに興味のある大学生と、寝食を共にしながら語り合える場」として作られました。だから、メインは中長期滞在の方になると想定して、ドミトリーでありながら滞在しやすい工夫が施されています。
例えば、ドミトリーは室内で立てるように天井が吹き抜けになっている。壁や鍵付きの扉を作り、個室感が出るようにしたのもそのためです。
ーードミトリー以外にもお部屋がありますよね。
アトリエルームや海と畑がみえる和室もあります。(LACでも追加料金で予約可能)
アトリエルームは、土足で出入りのできる植物に囲まれた部屋にしました。都農にはアート要素が少ないので、ここがクリエイティブな発信の場として活用されるといいなと思っています。
町内外の人と共創し、地球のことを考えたまちづくりを
ーーLAC宮崎都農は環境問題にも取り組んでいるんですよね。
はい、都農はまちづくりの一環として、ゼロ・カーボンタウン宣言をしています。
2050年の脱炭素化を目指して、すでにALAの電力は、100%再生可能エネルギーで稼働しているんですよ。
他にも、2022年4月から、生ごみ削減のためのコンポストワークショップもはじめました。第1回目のワークショップは、町内外の方約20名が参加し、とても大盛況だったんです。
ーーその他にはどんな活動をされているんですか?
都農の中学生に対し、「つの未来学」という総合学習の時間を提供し、これからの農業や気候変動対策、地方起業について授業をしています。
また、彼らと一緒に町の課題への解決アイデアを100個出し、プロジェクトチームも結成しているんですよ。
2050年といえば、今の中学生が40代前後になる頃です。未来を担う若者を育てるキャリア教育も、私たちの活動の一つです。
その他には、デジタルフレンドリー推進もしていますね。緊急事態宣言があったとき、都農にいる高齢者や15歳以下などが孤立しないよう、約2,000世帯にタブレットの無料配布を行いました。
使い方がわからない人は、多世代交流サロン「文明/BUNMEI」で使い方のサポートもしていて、都農にいる人々がデジタルを上手に生活に取り入れることができるよう支援しています。
ーーLAC宮崎都農は施設のそばに大きな畑がありますよね。ここもなにか活用されているのでしょうか?
畑は、今後宿泊にきてくれた方と一緒に草刈りや種まきができたらいいなと思っています。
春に一緒に種を植え、秋に一緒に収穫をする。そうやって継続的に関わる人が増えたら嬉しいです。
また、施設にコンポストを設置したので、今後は暮らしのゴミを肥料に変えながら、畑に活用していく予定です!
ワーケーションとしてLAC宮崎都農を楽しみたい方へ
ーーLACのユーザーの中には、ワーケーションとしてLAC宮崎都農を楽しみたいという人も多いように思います。中岡さんのおすすめの過ごし方はありますか?
都農町は、なんといっても食べ物が美味しいです。だからまずは、道の駅で地元の野菜を買って、キッチンで調理して食べてほしいですね。
あと、都農はワイナリーや都農神社も有名です。自転車は無料で貸し出しているのですが、車じゃないと行きづらい場所もあるので、希望者にはプラス1,500円で弊社スタッフによる町内ツアー※もおこなっていますよ。
(※町内ツアーに申し込む際は、LAC予約フォームの備考欄に希望の旨を記載するか、現地で直接依頼してください)
ーーワークスペースについて教えてください。
ワークスペースは全部で2箇所あります。
1つはALAのなかにあるもので、全部で11席あります。1階はみんなで話したり食事を食べる場所としても使っていて、一人で集中して作業をしたい方は2階にも作業スペースを用意しています。
その他、隣接しているイツノマのオフィスも作業スペースとして開放しています。
こちらは和室になっていて、ホワイトボードも設置しており、ミーティングにも利用できます!
まちづくりに興味がある人と「Something New」を生み出していく
ーーまちづくりに興味があって訪れたユーザーは、どんな関わりができるのでしょうか?ALAの考える今後の展望を教えてください。
僕たちは「Something New」、つまり「新しい何か」という考えを大切にしています。
事業をしていくうえで、とにかく新しいことをどんどんやっていきたい。ALAだってオープンする1年前は、まさかホステルをやるなんて想像さえしていなかったので。
今の僕らの課題は、まちづくりをしたい人にまだまだ僕らの活動が届いていないことです。
だからこそ、来てくれたユーザーさんにはどんなことをしているのか話を聞かせてもらって、その上で僕らがこの町の課題の翻訳者となり、さまざまな取り組みを一緒に考えながら「新しい何か」が生まれるよう一緒にまちづくりをしていきたいですね!
ーー最後にLACユーザーへ一言お願いします。
都農はなかなか足を運びづらい場所だと思いますが、実際にきてもらわないとわからない魅力がたくさんあります。ぜひ一度きていただいて、そのうえで僕らと一緒にまちづくりについて熱く語り合いましょう!
▶︎LivingAnywhere Commons宮崎都農詳細:
▶︎中岡映治(なかおかえいじ)さん:https://twitter.com/eiji_who
▶︎Hostel ALA Instagram:https://www.instagram.com/hostel.ala/
▶︎Hostel ALA note:https://note.com/ala_tsunocho
▶︎Hostel ALAを運営する株式会社イツノマ:https://itsunoma.co.jp/
《取材ライター:蓑口あずさ》