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その47)敗者も行きられる世界だが

急速に進むデジタル化やAIの進化はホワイトカラーの仕事をどんどん無くしていくと言われています。2024年2月27日現在、政府がホワイトカラーから非ホワイトカラー職業へのリスキリングや就職を支援する方針を発表したというニュースが報道されていました。これは現実的に予想している方向に社会は進んでいるように見えます。

最近はベンチャー企業の他にスタートアップというビジネスモデルも聞くようになりました。ベンチャービジネスは既存のビジネスモデルをベースに収益性を高めていくことを目標にしている企業ですが、スタートアップは今までにないイノベーションを起こして新しいビジネスモデルを手探りで構築して社会問題を解決していく組織です。スタートした会社のうち、3%程度が上場企業に成長することを目標にしています。経済産業省も多くの金額を支援しているようです。ただ、期待と現実が乖離していたり、実現に向かう途中で資金が底をついたりして、破綻するものも多いようです。

収入面では、物価上昇に対して賃金が上がるスピードは鈍い感じです。大企業も収益を伸ばしています。取引価格の値上げをしても給与に転嫁できない中小零細企業はかなり多いようです。一方で株式は日経平均がバブル期の最高値を超えるなどしています。これは、将来的に株式などに投資をしていない人としている人とで収入にかなりの差ができることを示唆していると思います。

銀行は既に預金での収入はあまりあてにしておらず、日銀が発行する国債の金利で稼ぐ感じになっています。預金の貸付金利は将来的にはマイナスになると予想されています。100万円の貯金に対してマイナス1%の金利だと1年で1万円払う計算になります。物価が毎年3%上がっていけば100万円の価値はその分目減りしていくことになります。

資本主義経済は競争社会ですから、こういった状態が続くと、うまく時代に適応できず、こぼれてしまう人が必ず出てきます。ホワイトカラーの仕事はなくなったから、リスキリングして明日から非ホワイトカラーで働きなさいと言われても無理な人が大量に出てくるのです。

それが生活保護の制度ではまかないきれないくらいのものになってくると、ベーシックインカムしかなくなってくるように思います。ベーシックインカム社会は仕事で敗者にはなっても、生きていくことはなんとかできるという世界です。ベーシックインカムは仕事や収入がある人にも支給されますが、所得税などで調整されると思います。住むところを失った人は何らかの住まいを行政から与えられるでしょう。

ベーシックインカムが施行されたばかりの社会は、資本主義で収益を得るのに成功した人とだめだった人が明確に分かれているでしょう。できる仕事がない上に、それまでに投資をしていなかった人はさらに厳しい生活になると予想されます。

時が過ぎて全ての社会インフラや産業がテクノロジーによって人の手を介さずに機能するようになると、ようやく貧困からは開放されることになるでしょう。しかし、成功者は独占した富をなかなか手放そうとはしないでしょうから、そんな社会になるまではかなりの時間を要するかもしれません。貧困にあえぐ層にとって試練の数十年になると思われます。

ただ、もっと怖いのは、極限状態になってもベーシックインカムにならなかった場合のほうですから、これはまだ明るい予想と言えるのかもしれません。

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