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その67)こんなベーシックインカムは嫌だ

※これは、作者が想定するベーシックインカム社会になった場合を想定した、近未来の物語です。

ベーシックインカムが施行された社会のディストピア編を考えてみました。国民に豊かな暮らしを提供するはずのベーシックインカムも制度設計を間違うとディストピアになると思います。箇条書きでいくつか紹介します。

金額が低すぎる

2022年の物価水準だと、2人世帯が家賃光熱費雑費食費の合計額の平均は約12万円くらいです。単身だと10万円くらいかかるそうです。雇用が全くない状態では、生活費を下回る水準の金額が支給されてしまうと万引きなどの犯罪が増えることになると思います。じっさい、低額の年金で暮らすお年寄りが「節約」と称して万引きに走る例が増えています。

現金で、人力作業の多い支給

人海戦術で現金で口座振込にすると、とてつもない事務費がかかることがわかっています。また、現金には名前が書けないので、犯罪に利用されやすくなります。毎月一定額が支給されるのであれば、デジタルマネーがいちばん早く、効率もセキュリティも良くなります。

個人認証が甘い

ベーシックインカムは個人認証で支給されるのが前提であるべきで、それは「なりすまし」を防ぐことが目的です。誰かになりすまして受け取れるベーシックインカムは不正に利用されます。

必要以上に福祉制度を廃止

ベーシックインカムが実現すると、雇用保険とか生活保護、現在の年金制度などもバーター的に制度が統廃合される可能性があります。しかし、医療や介護、教育などもついでとばかりに廃止されたり縮小されたりすると、健康に生きるためのインフラも失いかねません。

弱者に優しくない

生まれたばかりの赤ん坊や幼児、障碍者、重病人や難病患者、要介護者など、自分で意思決定がしにくい立場の人はベーシックインカムを受け取っても自分で使うことが難しくなります。ここにも普通に支給されると不正利用の温床になる可能性があります。何らかの対策が必要になるでしょう。

生活インフラが未熟

ベーシックインカムは生活に必要な物資やサービス、インフラが整っていて必要十分を満たしている必要があります。これらが十分に機能しない世界はベーシックインカムではなく「配給」と呼ばれるようになるでしょう。

循環経済&循環資源社会になっていない

かつてナウル共和国では国土から出るリン鉱石を海外に販売して、その利益を国民に還元する制度を展開していました。しかしこのやり方では資源が枯渇したときにベーシックインカムも終わります。生活に必要な経済と生活資源が循環している設計になっていないと恒久性は失われます。また、この設計でも、一部を吸い出して浪費するような者が現れても同じようなことが起こります。システムが正常に機能するためにはそれを理解するための教育が必要になってきます。

徴用しようとする

ベーシックインカムになると殺生与奪の権利を握られると叫ぶ人がいます。国の権限が強くなりすぎると、その危険はありますが、高度なバランス社会でもあるので、国民の平和な生活を脅かすような事があれば、それはそのままシステムの崩壊に向かうと思われます。循環社会は権限も委譲してブロックチェーンと同じように分散組織で機能するようにしていくと安全性が高くなっていくと思われます。権利を集中させる人がいると不穏な空気が流れ始めるというのは定説ですね。

贈与&お返しの文化

日本には「周囲に気配りをする」「仲が良い人に便宜をはかる」「お返しをする」という文化が昔から根づいています。人付き合い程度なら潤滑油になりますが、政治の世界になると色々と問題が発生します。近い将来、本当にベーシックインカムになったら、この文化が新たな問題を生むように思っています。これもAIに代行させられたら良いですよね。




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