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プログラミングと哲学が好き。語源も好き。 ポッドキャスト「リファクタリングとともに生きるラジオ」配信中 https://refactoradio.com

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  • 英語語源辞典通読ノート

    研究社『英語語源辞典』を通読しながら見つけた面白いものを不定期にメモしていきます。

最近の記事

英語語源辞典通読ノート C (chair-chandelier)

研究社『英語語源辞典』(KDEE)を通読しながら見つけた語源の面白いネタをメモしています。今回はp213からp218まで。 chair“chair”(椅子)は、実は “sit”(座る)と同語源である。綴りからはまったく想像できないが、驚きである。語源を遡ると、中英語 chaier(e) は古フランス語 chaiere からの借入で、これはラテン語 cathedram(座席)からの発達、そして cathedram はギリシャ語 kathédrā(座席、説教壇)からの借入である

    • 英語語源辞典通読ノート C (cell-certain)

      研究社『英語語源辞典』(KDEE)を通読しながら見つけた語源の面白いネタをメモしています。今回はp208からp213の途中まで、ce- から始まる項です。 cell“cell”(細胞)は後期古英語から使われているが、もともと「小修道院、(小修道院の)独居室」といった、宗教色の強い語だったようだ。生物学的な「細胞」の意味で使われ始めたのは17世紀の後半からで、かなり後になってからの変化だ。 語源を遡ると後期古英語 cell は古フランス語 celle からの借入である。これ

      • 英語史ライヴ当日の一番の思い出は早朝の堀田研究室です。定員オーバー気味の部屋でノンアルコールビールを飲みながらBaugh and Cableを読むあんな空間は、人類史上世界のどこにも存在しないのではないでしょうか... とても貴重な経験ができたと思います。

        • 英語語源辞典通読ノート C (catalog-caveat)

          研究社『英語語源辞典』(KDEE)を通読しながら見つけた語源の面白いネタをメモしています。Cから始まる単語、今回はp203からp208の途中まで。今回で ca- が終わりになります。 catalogue, catalog“catalogue”, “catalog”(目録、名簿)の初出は1425年以前、語源を遡ると、中英語 cathaloge は古フランス語 catalogue の借入、これも後期ラテン語 catalogus の借入で、さらにこれもギリシャ語 katálogo

        英語語源辞典通読ノート C (chair-chandelier)

        • 英語語源辞典通読ノート C (cell-certain)

        • 英語史ライヴ当日の一番の思い出は早朝の堀田研究室です。定員オーバー気味の部屋でノンアルコールビールを飲みながらBaugh and Cableを読むあんな空間は、人類史上世界のどこにも存在しないのではないでしょうか... とても貴重な経験ができたと思います。

        • 英語語源辞典通読ノート C (catalog-caveat)

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        • 英語語源辞典通読ノート
          45本

        記事

          英語語源辞典通読ノート C (case-casual)

          研究社『英語語源辞典』(KDEE)を通読しながら見つけた語源の面白いネタをメモしています。Cから始まる単語、今回はp201からp203の途中まで。cas- から始まる語の最初から最後までで区切りがいいので短めですがまとめます。 case¹, case²“case¹”(場合、事例)と “case²”(容器)は同じ綴り・発音だが語源はまったく異なる。そしてそれぞれ意外な同根語を持っている。 “case¹” の語源を遡ると、初例は1200年以前、中英語 cas は古フランス語か

          英語語源辞典通読ノート C (case-casual)

          英語語源辞典通読ノート C (cardinal-cart)

          研究社『英語語源辞典』(KDEE)を通読しながら見つけた語源の面白いネタをメモしています。Cから始まる単語、今回はp197からp200まで。 cardinal“cardinal” は古英語後期から中英語初期あたりに借用された単語である。名詞用法「枢機卿」のほうが歴史が古く、初出は1126年以前でカトリック用語として後期ラテン語 cardinālis から借用されている。形容詞用法「きわめて重要な」はそれより遅れて14世紀以前の初出となり、中英語 cardinal は古フラン

          英語語源辞典通読ノート C (cardinal-cart)

          英語語源辞典通読ノート C (canyon-card²)

          研究社『英語語源辞典』(KDEE)を通読しながら見つけた語源の面白いネタをメモしています。Cから始まる単語、今回はp192からp196まで。 canyon“canyon”(峡谷)は1834年が初出の新しい語である。アメリカンスパニッシュ cañón の借入で、ラテン語 cannam(葦、茎)に由来する。英語 “cane” と同語源であり、つまり “canal”(運河)とも同語源である。 いわれてみれば水の有無の違いだけで地形としては似たようなものかと思わされる。 cap“

          英語語源辞典通読ノート C (canyon-card²)

          英語語源辞典通読ノート C (camp-canvas¹)

          研究社『英語語源辞典』(KDEE)を通読しながら見つけた語源の面白いネタをメモしています。Cから始まる単語、今回はp189からp191まで。忙しかったので3ページだけです。 camp, campaign, campus“camp”(野営地、キャンプ)と “campaign”(戦役、キャンペーン)、そして “campus”(学校の構内、キャンパス)。この3語は同語源である。 “camp” は1525年の初出であり、語源を遡ると古フランス語 camp からの借入である。これも

          英語語源辞典通読ノート C (camp-canvas¹)

          英語語源辞典通読ノート C (cabbage-camera)

          研究社『英語語源辞典』(KDEE)を通読しながら見つけた語源の面白いネタをメモしています。Cから始まる単語、今回はp182からp188まで。 cabbage“cabbage”(キャベツ)が英語で初出したのは1391年、中英語期である。語源を遡ると、中英語 caboche は古ノルマン語(Old Norman French) caboche の借入であり、古フランス語 caboce(頭)に対応する。ここから先の語源は不詳なようだが、KDEEによれば ca- 接頭辞(軽蔑の意)

          英語語源辞典通読ノート C (cabbage-camera)

          英語語源辞典通読ノート 幕間 (Cの章2文字目予想)

          研究社『英語語源辞典』(KDEE)を通読しながら見つけた語源の面白いネタをメモしています。今回はCから始まる語の章に入る前のちょっとした幕間です。 昨日の英語史ライヴ2024ではKDEE通読を応援して(面白がって)くれている人とたくさんお話することができました(出演のみなさん、運営のみなさん、お疲れ様でした!)。その中で、「Cの中でもっともボリュームが多い2文字目は何だと思うか?」という問題を数人にインタビューさせていただいた。競馬予想みたいなものです。 一番人気は "c

          英語語源辞典通読ノート 幕間 (Cの章2文字目予想)

          英語語源辞典通読ノート B (bulk¹-butter)

          研究社『英語語源辞典』(KDEE)を通読しながら見つけた語源の面白いネタをメモしています。Bから始まる単語、今回はp171からp181まで、そしてBは読了となります。p89からの92ページ、長かった… bulk¹“bulk¹”(大きさ、大きいもの)は複雑な語源を持つようだ。中英語 bulk, bolk(e) 以前にはもともと意味も違う3つの別々の語だった。 廃語義1「積荷」: 古ノルド語 bulki(積荷)からの借用 語義3「大きいもの、巨大な体」: 語源不詳。中英語

          英語語源辞典通読ノート B (bulk¹-butter)

          英語語源辞典通読ノート B (broccoli-buffalo)

          研究社『英語語源辞典』(KDEE)を通読しながら見つけた語源の面白いネタをメモしています。Bから始まる単語、今回はp162からp170まで。 broccoli“broccoli”(ブロッコリー)の語源を遡ると、まずはイタリア語 broccoli からの借入だが、これは broccolo(キャベツ)の複数形である。さらに broccolo も brocco(芽)の指小形である。小さな芽がたくさん集まったもの、という連想はまさしくブロッコリーである。 また、イタリア語 bro

          英語語源辞典通読ノート B (broccoli-buffalo)

          英語語源辞典通読ノート B (breeze¹-brief) #hel活

          研究社『英語語源辞典』(KDEE)を通読しながら見つけた語源の面白いネタをメモしています。Bから始まる単語、今回はp158からp161まで。 breeze¹“breeze¹”(そよ風) と “breath”(息、呼吸)は少し似ているがまったく関係がなさそうだ。“breeze¹” の語源はかなり不詳で、本来語ではないようだが借入元がわかっていない。KDEEでは古スペイン語、ポルトガル語 briza(北東風)を語源説として挙げているが、その先の語源もまた不詳である。 bret

          英語語源辞典通読ノート B (breeze¹-brief) #hel活

          英語語源辞典通読ノート B (bowl-break¹) #hel活

          研究社『英語語源辞典』(KDEE)を通読しながら見つけた語源の面白いネタをメモしています。Bから始まる単語、今回はp150からp157まで。 bowl¹, bowl²“bowl¹”(鉢、碗)と “bowl²”(遊戯用の球、ボウリングをする)は語源的に繋がりはなく、成り立ちがそれぞれ違う。どちらも丸みを帯びたものを表すが今の綴りが同じなのは偶然で、他人の空似である。 “bowl¹” の語源を遡ると、古英語 bolla はゲルマン祖語 *bullōn から発達しており、これは

          英語語源辞典通読ノート B (bowl-break¹) #hel活

          英語語源辞典通読ノート B (both-bow) #hel活

          研究社『英語語源辞典』(KDEE)を通読しながら見つけた語源の面白いネタをメモしています。Bから始まる単語、今回はp143からp149まで。 both“both” の語源を遡ると、中英語 bothe は古ノルド語 báðir からの借入である。これはゲルマン祖語 *bai, *bōs, *ba から発達しており、印欧祖語 *ambhō に由来する。”-th” の部分はもともと定冠詞 “the” に相当するらしい。この構造はドイツ語 “beide”(bei-de)にも同様に残

          英語語源辞典通読ノート B (both-bow) #hel活

          英語語源辞典通読ノート B (bloom-book) #hel活

          研究社『英語語源辞典』(KDEE)を通読しながら見つけた語源の面白いネタをメモしています。Bから始まる単語、今回はp135からp142まで。 bloom¹, blossom, blow²“bloom¹”(花、花が咲く)と “blossom”(花)は外来語と本来語の関係にある。”blossom” は印欧祖語からゲルマン祖語、古英語と発達してきた本来語だが、中英語期に古ノルド語から借入された blom(e) に取って代わられたようだ。どちらも印欧語根 *bhel-(花が咲く)に

          英語語源辞典通読ノート B (bloom-book) #hel活