9月のとある祝日、混み合う時間帯を避けて、ひとりで天一に入った。 ラーメン屋の天下一品を「てんいち」って呼ぶのは一般的ですかね? 午後2時はすぎてたので、ウェイティングリスト(この呼び方も一般的ですかね?)に名前を記入する必要なく、待ち時間なしですんなり席に通された。 なのにですよ、オーダーしてから、いっこうにラーメンが運ばれてこない。 さすがに遅くないか?と思って、遠慮がちに店員さんに尋ねた。 もしかしたら、オーダーが通ってないのかも?という一抹の不安もあったので。 「
浅倉秋成・著【六人の嘘つきな大学生】読了。 夢中になって読みました。時間を忘れて(実際は時計を気にしながら)一気読み。 これを読むまでは、就活小説の最高傑作は朝井リョウ・著の【何者】が文句なしのNo.1だと思ってた。 今は、これかも。就活小説というジャンルがあるなら、ですが。 就活小説No.1と言っても、私、この本と【何者】の2作しか知らないな。同列一位でもいいか。 ちょっとだけネタバレになるので、「本を読む前には一切の前知識を入れたくない」というかたは、以下をお読みになら
高校時代、ひいちゃんという同じクラスの女の子と仲良くなりました。ひいちゃんの両親は、ふたりとも耳が聞こえないろう者でした。 そんな両親のもとに産まれた聴者のひいちゃんは、コーダ(CODA, Children of Deaf Adult/s)と呼ばれる立場なのだと知ったのは、高校を卒業して何十年も経ってから、ここ数年のことです。 それを私に教えてくれたのが、以下の4作品。 ①【エール!】2014年製作のフランス映画。 ②【コーダ あいのうた】2021年製作のアメリカ・フ
米澤穂信デビュー作の【氷菓】を読んでいたら、こんな一文がありました。 嵐の夜、町外れの館(もちろんゴシック調の洋館)の地下室で俺の開頭手術をする千反田が想像されて、怖かった。 それで、映画【ゲット・アウト】を思い出しました。 怖い映画だった。そしてとてもおもしろかった。 ホラー映画は苦手だけど、ひたすら怖かったけど、観て満足。 ヒロインのローズは裕福な白人家庭の娘で、恋人のクリスは黒人。ローズの親が黒人との交際を認めるのか心配するクリス。 そんな彼にローズが「うち
めったに観ることのないスペイン映画、【マーシュランド】を観た。 え、これで終わり? 謎解きはどーなった、謎解きは?! よくわかんないんですけど。 美人姉妹はなんで殺されたの? 殺すだけで無く、拷問までされたのはなぜ? 乳首を切り落とすって、そこまでの拷問がなぜ必要だったの? 彼女たち、まだ高校生なのよ? 伏線の回収がなされてませんが、私が気づかなかっただけ? いや、めっちゃ伏線あったやん! スペインのアカデミー賞といわれるゴヤ賞を総なめにしている傑作だそうですが、うーん、
最近観た映画【草原の実験】の感想を一言で表すと「え、これってこういうことだったの?」 まさかあれをこんな風に扱っていたとは。 全編、セリフがない映画です。 いつ喋るんだろう? 誰も言葉を発しないけど何で? 登場人物が誰ひとり、待てど暮らせどいっこうに喋らない。 20分ほどして、ようやくニブい私も気がつきました。 この映画は、台詞なしを貫こうとしている。 ああ、そうなのね、だったら表情や目の動きで語るべき言葉を私が自分で解釈する必要があるんですね。 前知識なしで見始めたものだ
なんて読み応えのある本。作者の逢坂冬馬氏はこれがデビュー作とかで、こういうのを「彗星の如くあらわれた大型新人」と呼ぶのでしょうか? 476ページの1行目を目にした時の驚き。そう来たかーー、ここに繋がるのかーー。 少女狙撃兵セラフィマが主人公の物語。この本を読んでいた3月は、テレビをつけるとロシアによるウクライナ侵攻のニュース。 昔、映画の好きな友人が「泣きたい時は【ひまわり】を観る」と言っていた。ウクライナのニュースを見ていて、そのことを思い出した。切なくて悲しい映画だ
生協で買ったわれせんを食べながら、息子が言った。 「われせんなのに、割れてないのが入ってるよね。焼き印がズレてるのかな?」 それは私も常々思っておりました。むしろ割れてないほうの割合が多いような? 焼き印のズレまでは見てなかったけど。 「割れてないものが混入しておりますが、品質に問題はありません」と、息子がメーカーの口上を代弁した。 警察小説を読む時は、ペンとメモを用意して、登場人物の名前と肩書きを書いていかないと関係性がわからなくなる。警視正と刑事部長って、どっち
最近読んだこの本がとてもおもしろかったので、書店員の友人にLINEで伝えた。 そしたら、「お、本読み界隈で話題になってたやつだ😃」と返ってきた。 え、本読み界隈? そんな界隈があったの? どこにあるの? 私もそこにお邪魔したいと、最近お気に入りのTWG紅茶を飲みながら思った。この紅茶は年末に頂いたもので、インスタントにこんな香り高い紅茶があるなんて知らなかった。世界はまだまだ、私の知らない美味しいもので満ち溢れているなあ。 別の友人にも、この本を紹介した。そしたら
街の書店で、知人が働いている。息子の同級生のお母さんだから、ママ友? 子供どうしが仲良しなのは知ってるけど、お互いの家を行き来したことはないし、ランチも一回しかご一緒したことがないので、ママ友と言っていいのか? 4年前にその書店にふらりと入ったら、彼女が働いていた。「あら〜お久しぶり」「〇〇ちゃんは元気?」と、お互いの子供の近況報告なんぞを、しばし。 せっかくなので、「何かおもしろい本があったら紹介して」と頼んだら、「これ、いいよ」「とくに男の子のお母さんが読めば、おもし
「それ、noteに書けば?」「最近note書いてる?」と、息子からたびたび言われる。そもそも「お母さん、note書いてみたら?」と勧めてくれたのも、この息子。あんまりうるさいので(笑)、note始めたようなもんです。 私「そんなに書くことないよ、そもそも文才がないし」 息子「映画の感想を書けば?」 私「映画の感想はね、私が思っていても言葉にできないことを、沢木耕太郎先生が的確に文章にしてくれるのよ。沢木耕太郎の映画評を読んで、『あーそうそうそう、そういう事!まさに、私が
学生時代の友人の娘が、絵本作家になった。私が会ったのは、その子が2歳から5歳くらいの幼い時だけだから、いまどんなお嬢さんに成長したのかは知らない。 時々友人から、「娘が美大に入った」「就職して家を出た」「会社を辞めて戻ってきた」などのちょっとした近況報告を聞くくらい。 この度の連絡は、「娘の描いた絵本が、タリーズの絵本大賞を受賞した」という誠に喜ばしい吉報。 家から一番近いタリーズに電話して「10冊欲しいんですが置いてますか?」と聞いたら、2冊しか入荷していないとのこと
強烈な読書体験でした。 本を読んだだけでこれほど打ちのめされたのは、カズオ・イシグロの【わたしを離さないで】以来。大泉が地名だとも知らずに手に取った。大泉と言えば、洋しか知らない。『変なタイトルだなぁ。何かの比喩なのかなぁ?』くらいにのんきだった。 あちこちのレビューを見ても、怖くなる。迂闊なことを書けば炎上必至。私ごときのnoteなんて誰も読んでないから、要らぬ心配と思いつつ、いや、多くの人が書名で検索するよね。私がそうしたように。 10代の頃、夢中で読んだ膨大な少女
直木賞って同じ作家が2回以上取れるのでしょうか? 朝井リョウの『何者』は、直木賞にふさわしい完成度でかなり楽しめましたが、同じ作家が一度しか受賞できないのであれば、『正欲』のほうに。『何者』は、本屋大賞ってことで。 この著者のエッセイ集『風と共にゆとりぬ』『時をかけるゆとり』を読んだ直後だった。朝井リョウのことを「隣のアパートに住むおっちょこちょいの若者、ノリのいい普通の学生、ちょっとヘタレなお兄さん」のイメージが出来上がって手にした『正欲』。 ごめんなさい、大作家さん
星野源が書いた文はちらほら目にして読むこともあったが、彼の結婚を機にエッセイ集『いのちの車窓から』を読んでみた。その中の一章「新垣結衣という人」は、とてもステキな愛の告白。と、今ならこれを読んだみんながそう思ってそう。 私は芸能人に疎いので、2013年に何気なく観た『箱入り息子の恋』の主役が星野源だとは知らなかった。この日は「映画館に行きたいが、特に観たい映画もない、でも行くぞ」で、消極的に選んだ映画だった。 この俳優さん、冴えない男役が似合うなぁ、モテなさそうな演技、上
朝のコーヒーを吹き出しそうになった。 読まずに溜まった夕刊を今朝パジャマ姿で眺めてたら、6月3日(木)付けに、三谷幸喜がマスクのことをこんなふうに書いていたから。 『最近では、つけるのを忘れて外に出てしまうと、下半身を露出して歩いているのと同様の恥ずかしさと罪悪感で、慌ててハンカチで口元を押さえてコンビニへ買いに走る。』 いや三谷さん、そこまで思う?下半身露出とまで?? 家族に話したら「誇張に決まってるでしょ。劇作家だよ?」と息子。 田村正和さん他界のニュースがテレ