8月12日

駅を出て歩く数分。
夏の朝の時間帯、この道は、駅と職場の建物によって大きな日陰に覆われている。裏の駐車場から入口のドアまでの少しだけ、日傘をさす。
この数日、外だけは風が涼しい。盆だが、どこか秋を感じる。
休日は、相変わらず休みなく引越し後の片付けを、延々とやっている。こうして日記をまた書こうと思ったのは、この夏の間じゅうに片足抜け出すきっかけになると、期待したから。
昨日は、ずっとあけずにいた「あゆみ」「宝箱」
と書かれた箱をあけた。引越しを繰り返してきた
、実家のボロボロのダンボール。大学で東京に出た姉の、小学生時代のテスト用紙が、一枚も捨ててないのではないかというくらいに保存されている。その中にところどころ日記や作文などがはさまれていて、一枚が目に入った。
妹のわたしがはじめてこんな言葉を読めた、教えてないのにすごかった、といった短い作文が、こどもらしい論理的には少し破綻している作文で、みずみずしかった。まったく記憶にない日々のことが、たった一枚、小さな姉の目で切り取られて今偶然読める。そのあざやかさ。


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