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【アートのミカタ17】増田 セバスチャン Sebastian Masuda
【人物】きゃりーちゃんを支える芸術家
篠原ともえ、きゃりーぱみゅぱみゅなど、日本独自の「かわいい」を発掘したアーティストです。
1995年に"Sensational Kawaii"がコンセプトのショップ「6%DOKIDOKI」を原宿にオープン以来、20年以上「かわいい」を追求し続けています。その作品は、どれも蛍光色をボリュームたっぷりに盛り付けたものばかり。
ファッショナブルな分野こそ、アートに苦手意識のある人たちには「これのどこがオシャレなのかさっぱりわからない」との声が大きくなってくる気がします。
こうゆうスタイルが好きな人にも、着るのはちょっと…という人にも、増田さんの素敵な世界観(思想)が伝わるような内容を書こうと思います。
なぜ美的センスをくのか。科学の発展に伴い、心を作る芸術的思考もより広く知ってもらいたい。
このブログは、歴史上の偉大な画家たちをテーマに、少しでも多くの人にアート思考を築くきっかけにならないかと書いています。
まずはそれぞれの画家の特徴を左脳で理解し苦手意識を払拭するのがこのブログの目標です。その後展示等でその画家に触れる前の下準備として御活用下さい。私たちの味方となり、見方を変える彼らの創造性を共有します。
目次
【概要】きゃりーちゃんを支える芸術家
【背景】崩壊家庭で育った子供の夢
【核心】かわいいは、カルチャーのたし算
【背景】崩壊家庭で育った子供の夢
呉服屋の息子として生まれた増田さんでしたが、著書『家系図カッター』では幼い頃の家庭崩壊を綴っていました。
料理や子育てを放棄し新興宗教に浸かった母親、勝手に離婚届を出し、中国人の愛人と再婚した父。
その影響が尾を引いたのでしょうか。
増田さんのサクセスストーリーは、現在の華やかな作品とは似つかないものでした。
密かに美術大学へ進学することを夢見ていた男の子。しかし家族に猛反対され地元の進学校へ。しかしそりが合わず、不登校になってしまったそうです。
そんな幼少期・青年期に魅力を感じたのが、原宿ファッションでした。不登校少年が一念発起し、単身大阪で服飾専門学校。しかし新天地の風当たりを強く感じて、家に引きこもる生活が続いたそうです。
それでも、胸に潜む挑戦力が収まらず、1年も経たずに新たなチャレンジを転換していきます。
舞台の裏方の仕事や、テレビ番組のバイトを始めたそうです。そこで鮮やかなセットを目の当たりにし、ビジュアルにはマインドコントロールしてしまう力があると感じたそうです。
そして1995年、ショップ「6%DOKIDOKI」をオープン。
「かわいい」カルチャーの誕生となりました。
はじめは閑古鳥の鳴く取り組みでしたが、後に篠原ともえに愛用されるブランドとなり、
現在ではきゃりーぱみゅぱみゅのプロデュース等されています。
【核心】かわいいは、カルチャーのたし算
「かわいい」には多くの意味が含まれています。
語源を辿れば「可哀想*1」からきているそうですが、現在では「愛らしい」が最も適切かもしれません。しかしその「愛らしい」が、幼子に対してだけでなく、可愛くなくてもかわいいを使うようになりました。
一方では、「かわいい」「やばい」「エモい」など汎用的な使い方に対し「ボキャブラリーの欠落」を危惧する声も上がっていた(る)ようにも思います。
しかしこういった流れを、全面的に全力で尊重したのが増田さんだったのではないでしょうか。
*1 可哀想(かはゆし:顔映ゆし:顔を向けていられないほど気の毒で見ていられないの意)
日本は、宗教の自由(というより無宗教者が多い)ことも関係してくると思いますが、クリスマスお盆正月ハロウィンと、あちこちから良い部分だけを抽出して独自にアレンジしていく様子が伺えます。
歴史から見ると、中国の影響を多く受けていますが、月日がたち平仮名のような独自の文化を築いていきました。
増田さんの言葉を借りると「MIXカルチャー」。
一つ一つの素敵なものを、勝手に混ぜこぜにしてしまうパワーがあると言います。
確かに増田さんのアート作品には、一つでも主張の強いボタンやアクセサリーを、惜しげも無く使用しており、見てるだけでお腹いっぱいになりそうな程のパワーを感じます。
昨年発表されたサウンドプロジェクト「POINT-RHYTHM WORLD モネの小宇宙」では、モネの代表作「睡蓮の庭」をモチーフに、独自のアレンジを加えて話題となりました。
絵画の中に入り込み体験して欲しい想いから生まれたそうですが、ここでもMIXカルチャーの思想が強く反映されているのではないでしょうか。
「なんでも真似する、アレンジする、独自の文化にしてしまう」日本の特徴を、全面的に肯定しているからこそ、こうした作品が生まれるのだと感じました。幾重ものたし算が「かわいい」の一解答。ゆえの汎用性かもしれませんね。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
画家一人一人に焦点を当てると、環境や時代の中で見つけた生き方や姿勢を知ることができます。現代の私たちにヒントを与えてくれる画家も多くいます。
また次回、頑張って書くのでお楽しみに。
展示会情報
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