自炊の茶色は四十八茶百鼠
食べることが大好き~と話しているとよく次の質問をされる。
「ご飯作るの?」
「作るけど茶色ばっかだよ。」
「茶色は美味しいからねぇ」
ってこの会話の次に「でもおいしい茶色も四十八茶百鼠だよね」って言えたら格好いいな~と思ったけど48%以上の確率で何それ、変な人って言われそうな気がして心のうちでとどめておいている。けどせっかく出会えたこの新しい言葉をどこかで使いたい気持ちもある。面白がってくれる人と会話のタネにしたい。
「しじゅうはっちゃひゃくねずみ」って言葉の響きもなんだかかわいい。
意味は茶色48色、グレー100色などではなく、色彩の種類で「たくさんの色」を表す。
ごはんどきに鼠って使うのは衛生上いまいちだけど、栗鼠は食いしん坊なイメージがあるからぎりぎりセーフってことにしておきたい🐿
ハハッ(これは東京似非千葉鼠)
■由来:反骨精神が格好いい
江戸時代の後期に、町人や商人が裕福になり、衣装にお金をかけ、贅を競うように。そこで「庶民にそんなに贅沢をされては困る」と考えた江戸幕府が徳川禁令「奢侈禁止令(しゃしきんしれい」を出し、庶民の着物の色・柄・生地・値段に、規制がかけられた。
庶民が着られる着物の色は「お構いなしの色」と呼ばれた「茶」「鼠」のみに。そこでお洒落をあきらめないのが町人の意地。許可された色の範疇で、「路考茶(ろこうちゃ)」「団十郎茶(だんじゅうろうちゃ)」「梅鼠(うめねず)」「鳩羽鼠(はとばねずみ)」など、微妙な染め分けをした新色を続々登場させ、落ち着いた色調の中でも「人とは違う着物」「粋な着物」を追求したそう。
裏地での遊びもこの時代の影響あるみたい。
日本人は僅差の色の識別が高いそうな…ここで鍛えられたのが関係あるかも、ないかも?
■人気者の色、もちろんあります!
また、その時代の人気歌舞伎役者が舞台上で着ていた衣装の色には、その役者名をつけて「団十郎茶」などと呼ばれ、人気色に。
当時は字の読めない人でも、色で出演役者を認識できたといいます。
人名のついた色は、戦国時代に生まれた「利休鼠」や「利休茶」も有名らしい。
⇒面白補足:字が読めなくても色でわかるのは安心~とか思ったけどなんと江戸時代後期の識字率は(江戸に限っては)世界1位だったかもしれないとのこと。ほえー!寺子屋って偉大。
琵琶法師による『平家物語』の弾き語りから耳で文学を吸収するなど。偉いとこから町への噂は最初は誰経由なんだろうな。
琵琶法師/もちもちの木/ひしゃくの話(船幽霊)とかがおさなごころにすごくインパクトが残っている。
日焼け止めを塗るときに「琵琶法師にならないように耳も忘れずにね」ってアドバイスはシュールだが的を得ている。と思うが果たして今の幼児に通じるのか…?
そんなこんなで新しい言葉「四十八茶百鼠」と出会えてあれこれ。
新しい言葉はいっぱい調べて身近なエピソードと一緒に一回吐き出すと、いつかのときに記憶の糸を手繰り寄せやすい気がする。着物の糸を解いて、あった丈になるように。これからも言葉のかけらを紡いでいくぞー!
ではまた👘