固有の喪失を回復するまでに
ひとは手に入れていないものを求める。手に入っていれば新たに求めることはない。欲しいものは必ずまだその手の内にはないか、あるいは失ったもの。今やみんなこれまでの生活を失った。
みんな持って生まれたものでかつ今持っているもので生きている。何が好きで、人より何が得意で、こういうときに幸せを感じて、あのような風景に満たされる、そういうことでのみ活路が見出され、生活が豊かになる。社会との接点の中に自分の固有の感情を揺さぶるものが立ち現れる。それを集めていけばいい。育てていけばいい。と