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"伝統"か?"新興"か?

私は野球好き(野村監督時代からのヤクルトファン)なのですが、今年のセ・リーグは面白い。ヤクルトが強いからだけではなく、"伝統"vs"新興"の構図になっていると思うからである。
この2項対立は仕事に対する示唆もあると感じたのでまとめてみました。

ヤクルト快進撃の理由と高津監督に対する評価

2022年7月12日現在、ヤクルトは2位巨人に対して13ゲーム差を付け独走状態である。快進撃の理由として高津監督のマネジメント力の高さが挙げられている。選手の疲労やモチベーションを上手く管理しているのである。
このマネジメントは今年に限った事ではなく、去年から実施されている。日本一になったのにも関わらず、2桁勝利の投手が一人もいなかったのである。9勝したエース候補の奥川投手に対しても徹底して中10日を貫いた(日本シリーズでさえも・・・・)。
やや過保護とも思えるマネジメントは批判的な意見も一部見られたが、今年の独走により高津監督のマネジメント力が評価されるようになった。

高津監督のマネジメント方法

今年も先発投手陣に関しては、中6日で固定せずに中7日-8日で回し、更に中継ぎ陣もローテーションを組みながら登板させている(評論家もびっくり)。これに対して、高津監督って選手想いの優しい監督なんだな~と思うかもしれないが、高津監督は純粋に勝ちに徹しているだけだと思う。
それは、試合でのパフォーマンスは実力だけでなく実力をどの程度発揮出来るかの実力発揮率によっても決まるからだ。
・試合でのパフォーマンス=実力×実力発揮率
実力は早々簡単に上がるモノでないと仮定すると、如何に実力発揮率を高めるか?が試合に勝てるポイントとなる。高津監督は実力発揮率の最大化を考え、選手のコンディションやモチベーションの維持を最優先しているのだと思う。ペナントが始まってからは、それを徹しているように見える。高津監督が言う「勝ち負けは結果に過ぎない。ノビノビと野球をして欲しい」という発言は正に象徴的だ。

高津監督の特異性

なるほど!選手の実力が最大限発揮出来るようにすれば良いのか!!と思うかもしれないが、実行は難しい。なぜなら"伝統的野球文化"があるからだ。
私は30年ほど野球を見てきているが、昔は先発完投が当たり前だった。その時代の重鎮OBには「完投しなきゃエースじゃない。今の選手は甘い」という考えの方も多い。上下関係が徹底されている体育会系の世界で重鎮OBの考えは絶大な影響力を持っているハズだ。
それでは何故高津監督は新しい風を吹かす事が出来ているだろうか?それは大きく2つあると考えているが、ここでは②について言及したい。
①ヤクルト再建の必要性
②多様な野球文化に対する知見

高津監督は日本⇒アメリカ⇒韓国⇒台湾と様々な国で野球をしており、日本では独立リーグも経験しているグローバルな人である。ここでNPBと他文化の違いを体験してきたのである。例えば、欠点を修正させるのは日本くらいで、他国は長所を延ばすような教育をするという違いがある。
そして、多様な文化を融合させながら現代の日本選手に合った新たなマネジメント方法を創っていると考えられる。
・NPBの良い部分は残しながら最適化
吉井さんの話であるが、下記のyoutubeはとても参考になる。

ビジネスに対する示唆

現在、私はスタートアップを含む中小規模の企業様に対して経営支援をさせて頂いているが、最近の論調として「古い日本企業はダサい。外資やスタートアップへ行くべき」というようなモノがあり、キャリアの相談を受けたりもする。このような話を聞くと、「考え方が極端だな」と思ってしまう。
(個人的には、悩むなら日本の大企業に行った方が良いという考えだ)
言いたい事は、日本の大企業はダメで外資やスタートアップのが良いではなく、各々良い点と悪い点があるので、目指したい事や獲得したい事を照らし合わせてキャリアは選択する方が良いと思う。
若干脇道に逸れたが、経営のマネジメントに関しても日本として最適なやり方があるはずである。それを導く為には多様な文化を比較しながら最適化する必要があると考えている。
・"伝統"を知らなければ"新興"は作れない
自分は運よく日本の大企業(富士フイルム)⇒ベンチャー(SOLIZE)⇒外資系企業(BCG)⇒ベンチャー含む中小規模企業の経営支援といった経験値を持っている。今回の高津監督の考察を経て改めて日本企業としてあるべきマネジメントは何か?を追求して行きたいと考えるようになった。

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