荒川正嗣

主に、企業側で人事労務案件を取り扱う弁護士です。 労働判例等を紹介します。 福井県出身…

荒川正嗣

主に、企業側で人事労務案件を取り扱う弁護士です。 労働判例等を紹介します。 福井県出身 一橋大学法学部卒業、中央大学法科大学院修了 倉重・近衞・森田法律事務所 パートナー弁護士(https://kkmlaw.jp/professionals/masatsugu-arakawa/

最近の記事

日本通運事件・東京地判令2.10.1~契約更新を重ねた後に導入された更新上限条項及び不更新条項の効力は?

弁護士の荒川正嗣です。 主に企業側での人事労務案件を取り扱っています。 ※プロフィールはこちらです。  労働判例等の紹介をしながら、思うところを書いていきます。 1 はじめに 本記事では、日本通運事件・東京地判R2.10.1を取り上げます。本事件は、被告Y社(日本通運)とH24.6.1からの有期労働契約(契約1)を結び、以後、概ね1年ごとの合計7回の契約更新(契約2~8、通算5年10か月)をした原告Ⅹが、H30.3末で契約更新なく終了すること(本件雇止め)は、労働契約法(以

    • トヨタ自動車ほか事件・名古屋高判平28.9.28と九州惣菜事件・福岡高判平29.9.7~高年法9条1項の趣旨とは?

      弁護士の荒川正嗣です。 主に企業側での人事労務案件を取り扱っています。 ※プロフィールはこちらです。  労働判例等の紹介をしながら、思うところを書いていきます。 1 はじめに 京王電鉄ほか1社事件・東京高判令1.10.24(同事件の解説はこちら)で、労働者側が、会社の設定する再雇用社員制度(高年法(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律)9条1項2号所定の継続雇用制度として導入されたもの)が、高年法9条の趣旨に違反し、無効である旨を主張しましたが、それに際して、トヨタ自動車ほ

      • 京王電鉄ほか1社事件・東京高判令1.10.24~高年法の趣旨に反しない継続雇用制度とは?

        弁護士の荒川正嗣です。 主に企業側での人事労務案件を取り扱っています。 ※プロフィールはこちらです。  労働判例等の紹介をしながら、思うところを書いていきます。 1 はじめに 本記事では、バス運転士らの定年後再雇用につき、労働契約の成否が争われた京王電鉄ほか1社事件・東京高判令1.10.24を取り上げます。  同事件では、定年後の社員を対象とした、➀再雇用社員制度(就業規則所定の解雇事由等に該当することが明らかである場合を除き、有期労働契約を締結する制度)と②継匠社員制度(

        • 木の花ホームほか1社事件・宇都宮地判令2.2.19~月130時間超相当分の固定残業代は公序良俗違反で無効?

          弁護士の荒川正嗣です。 主に企業側での人事労務案件を取り扱っています。 ※プロフィールはこちらです。  労働判例等の紹介をしながら、思うところを書いていきます。 1 はじめに 本記事では、固定残業代の有効性が争われた木の花ホームほか1社事件・宇都宮地判令2.2.19を取り上げます。  固定残業代の適法性ないし有効性(厳密には固定残業代の支払によって労基法上の割増賃金を弁済したといえるか)については周知のとおり、ここ最近の最高裁が基本的考え方を示しているのですが、固定残業代は

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        • 京王電鉄ほか1社事件・東京高判令1.10.24~高年法の趣旨に反しない継続雇用制度とは?

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          ハマキョウレックス事件・大阪地判令2.11.25~無期転換後も契約社員時の就業規則が適用されるには合理性が必要?~

          弁護士の荒川正嗣です。 主に企業側での人事労務案件を取り扱っています。 ※プロフィールはこちらです。  労働判例等の紹介をしながら、思うところを書いていきます。 1 はじめに 本記事では、無期転換後の労働者に正社員就業規則が適用されるのか否かが争われたハマキョウレックス事件・大阪地判令2.11.25を取り上げます。ハマキョウレックス事件といえば、最判平30.6.1が有名ですが、本件は同事件の原告であった者と他の者とが、同最高裁後に、別途起こした訴えです。  結論として、本判

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          北九州市事件・福岡高判令2.9.17~路線バス運転手の待機時間の労働時間性~

          弁護士の荒川正嗣です。 主に企業側での人事労務案件を取り扱っています。 プロフィール:https://kkmlaw.jp/professionals/masatsugu-arakawa/ 労働判例等の紹介をしながら、思うところを書いていきたいと思います。 1 はじめに 本記事では、路線バス運転手の、終点・始点場所での待機時間が労働基準法(以下「労基法」)上の労働時間に該当するかを判断した、北九州事件・福岡高判令2.9.17を取り上げます。  判例上、労基法上の労働時間に該当

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          名古屋自動車学校事件・名古屋地判令2.10.28~定年後再雇用の賃金は定年退職時の60%を下回ると違法?~

          弁護士の荒川正嗣です。 主に企業側での人事労務案件を取り扱っています。 ※プロフィールはこちら。 労働判例等の紹介をしながら、思うところを書いていきたいと思います。 1 はじめに 本記事では、名古屋自動車学校事件・名古屋地判令2.10.28を取り上げます。同事件は、定年後再雇用として有期雇用された原告らの職務の内容等が定年前と同じであったが、賃金総額は定年退職時の60%を少し上回るか、下回る程度でした。本判決は、ハマキョウレックス事件及び長澤運輸事件の最判を引用し、原告らが

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          中央学院事件・東京高判令2.6.24   ~職務の内容の相違は住宅手当等の不支給の不合理性判断に影響するか~【後編】

          弁護士の荒川正嗣です。 主に企業側での人事労務案件を取り扱っています。 プロフィール:https://kkmlaw.jp/professionals/masatsugu-arakawa/ 労働判例等の紹介をしながら、思うところを書いていきたいと思います。 1 はじめに本記事は中央学院事件・高裁判決についての記事の【後編】です。  上記判決のほかに、住宅手当や家族手当の相違が労働契約法(以下「労契法」)20条に違反するか否かが争われた事件の判決があるのですが、それらの判断と本

          中央学院事件・東京高判令2.6.24   ~職務の内容の相違は住宅手当等の不支給の不合理性判断に影響するか~【後編】

          中央学院事件・東京高判令2.6.24   ~職務の内容の相違は住宅手当等の不支給の不合理性判断に影響するか~【前編】

          弁護士の荒川正嗣です。 主に企業側での人事労務案件を取り扱っています。 プロフィール:https://kkmlaw.jp/professionals/masatsugu-arakawa/ 労働判例等の紹介をしながら、思うところを書いていきたいと思います。 1 はじめに 本記事では日本版同一労働同一賃金(労働契約法20条)に関する学校法人中央学院事件の高裁判決(東京高判令2.6.24)を取り上げます。  本判決は、専任教員と非常勤講師との間に職務の内容に大きな相違があること等

          中央学院事件・東京高判令2.6.24   ~職務の内容の相違は住宅手当等の不支給の不合理性判断に影響するか~【前編】

          井関松山製造所事件・高松高判令1.7.8~無期転換後も労契法20条違反を理由に不法行為に基づく損害賠償請求は可能なのか~

          弁護士の荒川正嗣です。 主に企業側での人事労務案件を取り扱っています。 プロフィール:https://kkmlaw.jp/professionals/masatsugu-arakawa/ 労働判例等の紹介をしながら、思うところを書いていきたいと思います。 1 はじめに 本記事では日本版同一労働同一賃金(労働契約法(以下「労契法」)20条)に関する井関松山製造所事件の高裁判決(高松高判令1.7.8)を取り上げます。本件判決は、正社員と有期契約労働者間で、賞与、家族手当、住宅手

          井関松山製造所事件・高松高判令1.7.8~無期転換後も労契法20条違反を理由に不法行為に基づく損害賠償請求は可能なのか~