電脳化を進めよ!マイナンバー制度。
マイナンバー制度はスウェーデン発祥のもので、左翼政権発案のものでした。最近左翼になった人から「国家が個人に番号を振るなんて!」と導入当初推進派は色々と文句を言われたのですが、こうした制度を整えるための1番の旗振り役は労働組合でした。特に1番の推進派だったのは、ゼンセン出身の全民労協や連合の事務局長を歴任した山田精吾であり、労組の中でもまさにマイナンバー制度の1番の中核団体でした。私自身、最初は抵抗がありましたが、海外の事例と日本の税制度の不平等を学ぶ中でマイナンバー制度は再分配社会を目指すためには必要不可欠だと今は強く確信しています。
ただマイナンバーカードのある種日本特有のデジタル化軽視のせいで、高齢者には使いにくく、その評判の悪さも急上昇でサイバーセキュリティ担当大臣なのに、USBメモリが何のことか分からない人を大臣にしたり政府側の混乱もあってすっかり当初の想定されていたものと違ってきました。当初連合がマイナンバー制度の活用は社会保障、租税関係、災害補償の3点でそれ以上の使い道は慎重にと想定していました。災害時に行政手続きが煩雑でという話はよく聞く話です。マイナンバー制度は行政手続きの簡素化を目指し、現場の負担も減らす役割を期待していました。そして、さらに使い道を拡大する事は慎重に取り扱う事が連合の言い分でしたが、自民党政権が私達の懸念や意見を取り上げず自分らの息のかかった企業に利権を配るのはいつもの事です。河野太郎がマイナンバーの顔になっていますが、冗談じゃない。あれはこちらの要望を散々無視し続けてきてようやく悲願が叶ったら、あれやこれや機能を増やして自分の選挙に利用してきた人間です。とは言え、マイナンバー制度=政府の人民統制策のように不信感を持たれるのは問題です。第一マイナンバー制度自体は北欧の社会民主主義政権で運用が始まった実績があります。そして一定以上の再分配政策に寄与しているのだから、これは新自由主義と対決する姿勢を示す上で必ず必要な事なのです。努力した人が報われる社会と公言するより誰もが実力を発揮できる社会を目指すと是非日本の左派と呼ばれる代議士や参院議員にも訴えてほしい。ただ公共の不信を煽っているだけなら、小さな政府論者の思う壺です。
日本マイナンバー黎明期
マイナンバー制度の立役者は前述した通り、初代連合事務局長を勤めた山田精吾です。この手の話は今も昔も変わらないですが、雇用されている人間は源泉徴収票があるのでほぼ間違いなく所得は捕捉されますが、自営業者はその捕捉率は低いというものが挙げられます。もちろんちゃんとそれを包み隠さず行っている自営業の方も少なくないですが、コロナ禍の休業給付金を誤魔化してもらっていた事件が数多く発生する以上適正な税負担が貫徹できているかは微妙です。今は死語ですがこれを「クロヨン」と呼び、実際昭和の時代は大々的に言われていた事であり、その不公平さは誰の目に見ても明らかだったという歴史があります。インボイス制度の際、自営業者や特に演劇業界から反発もありましたが、演劇業界は労働法も浸透しておらず売れた俳優が弟子を食べさせる「ごっちゃん体質」が指摘されており、業界が適正な運営がされているか?と問われたら疑問です。そして労働組合の政治家がなぜかそういう体質の人につるみ、一般ウケを狙う。それはそれで仕方ないですが、そもそも演劇の世界にちゃんと納税の概念があるのか?と私は疑いたくもなります。
山田がマイナンバー制度を提唱し始めた1980年代ですら、富裕層の株の配当や金融所得の不公平さは指摘されており、民間労協は「少額貯蓄等利用者カード」を提案し分離課税の適正化を行おうとしましたが、これも金融業界の予想以上の反発で自民党が覚悟を決めきれず廃止になりました。連合は政府と交渉しますが、肝心な部分はほとんど取り上げられず、随分と雌伏の時間が長かったのですが、年金納付記録問題や定額給付金問題などでようやく議論が進み、2013年ようやく成立しました。これは民主党政権時の公約で結局政権を変えないと私達の意見は小石のように軽くあしらわれてしまう事例でもありました。成立段階では民主党は政権を失っていましたが、社会保障と税の改革は必要であり、長年の宿願が叶ったのは確かですが、すでに早逝していた山田精吾が黄泉の世界で何を思ったのか。先駆者として戦った彼を思うと、今後この制度を活かすのは私達後世にあると思いました。
海外マイナンバー事情
前述した通りマイナンバー制度を世界で初めて確立したのは、スウェーデンで1947年には導入され、60年代にはもうデジタル化されています。スウェーデンは世界で1番社会保障が手厚い国と言われるのは、生活のあらゆる場面でこうした個人識別番号が必要であり、その扱いも日本の常識とは少し違い、誰もがネット上で個人情報を見る事ができるので参考にするには目安程度になります。これほど情報の透明性が高い国では、当然簡単な書類にサインするだけで必要な給付金を受け取れ、確定申告も国がほとんど市民の所得を把握している事から、これも名前を一筆書けば終わりです。日本で輸入するのは難しいかもしれないです。ただこうした高い社会保障にはマイナンバー制度はなくてはならないものです。
韓国ではクレジットカード番号も個人番号で管理されているので、2014年に大規模な情報流出事件が起こりました。クレジットカード会社の社員が個人番号を持ち出し、いわゆる名簿屋に売った事から始まった流出事件ですが、概ね韓国の個人番号のデジタル化はうまくいっています。デジタル化を推進するお役所のトップが猟官制の派閥順繰りの見識も何もない人が大臣になる自民党政権と違い、海外ではITのトップ級をそうした責任者に据えるので、ミスが発覚してもリカバリをするため全力を尽くすのです。
必要な時に迅速に必要な手続きができる。これは何度も言うように、左翼の政策が個人番号制度です。再分配政策を行うためには、所得の把握は絶対に必要なのに普段リベラルを売りにしている人ほど個人の尊厳より、自分の不信感を優先する。皆公共に言いたい事は山ほどありますが、本気で再分配政策を進めたいなら具体的な対案は必要なのです。
日本が参考にしたマイナンバー制度はオーストリアのものでした。ひとえにオーストリアは電子政府化を推進し、かなりの成功例を挙げている国で、個人情報の取り扱いも日本と似たものでした。オーストリアはかつてナチスが侵攻し、占領され市民に番号をつけ、大々的にそれを利用したユダヤ人虐殺に手を染めた国です。個人情報の取り扱い、政府の管理は慎重でした。結果としてオーストリアの電子政府化は民間企業も巻き込んだ利便性の高いものになっています。こうした成功事例の背景には、そもそもデジタル化する上で専門的人材を揃えたからなのですが、政府の市民ポータルサイトでは300以上の行政手続きがネット上で可能であり、大きな情報流出事件も起きていません。
高齢者に配慮を忘れず、最高のデジタル人材を活用し、政府の電脳化を目指す。それにはマイナンバー制度は不可欠で自民党案を修正する。と公約すれば、立憲民主党も相当の差別化ができると思いますが、まだまだあんなボロボロのデジタル人材しか集められない自民党に比べて迫力不足が否めません。党派異なっても、専門分野で精通した人がいないのなら専門家を信じ責任は取る。そうした迫力がまだ立憲民主党は足りないです。適当な人事の自民党に対するには本気の電脳化です。
自民党からマイナンバー制度を取り返す
国民民主党が「旧民主党」の悪癖であったできない事をできると言い張り、できなかったら誰かに責任を押しつけると言う体質を引き継いでいるように、立憲民主党は「来た球をそのまま打ち返す」と言う体質をしっかり引き継いでいます。紙の保険証を残す。それも必要です。私は現在タクシー運転手、前歴はバス運転手や電車や駅の業務を行ってきました。公共交通機関は地域の生命線です。高齢者にいきなりタッチパネルを打たせる。そんな事は無理で、手伝った私も無理でした。結果としてクリニックの受付が疲弊するだけ。強制は無謀で徐々に社会を変えていかないといけない。ですがマイナンバー制度は何度もくどく言うように再分配政策には必ず必要となる制度です。保険証まで適用するにはまだ時期尚早でした。本来目的とした制度にもまだ追いついていないのに一部の業界団体の食い扶持に与えた自民党政権の不誠実は明らかですが、それを批判する側は公共の不信感を優先し、煽り結果として減税ファシストの片棒を担いでいる。それは私は大間違いだと言えます。
実際自民党は口では愛国愛国と煽っておきながら、国産勢と外資を天秤にかけ旨味が多い方を選ぶ傾向があり彼らに本当にデジタル化をする気概があるのか疑いたくなります。自公政権に政権担当能力は皆無。立憲民主党にはちゃんと政策を勉強し、専門家を活用する強さを身につけてほしいです。オードリー•タンは日本でも賛美されましたが実際に彼のような経歴の人間を起用するとなると、批判は巻き起こるでしょう。それを巻き返すぐらいの強さを身につけてほしいです。そうなると野田佳彦ももう3段階ぐらいレベルアップが必要です。案外枝野幸男の方がそう言う面はさっぱり人に任せて口を出さないぐらいの根気はありそうですが。
日本社会民主主義とは非自民政権、プラス、全国土の電脳化である。日本の新しい社会主義を目指しましょう!
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