本当にあったコワイ話　～運動会の写真　#2000字のホラー

これは今から三年前、上の娘がまだ小学校二年生の頃のお話。

娘の小学校では六年間で一度、PTAの委員と係に参加しなければなりません。

学年が上がれば上がるほど、大役が待っていると聞き、二年生の時に広報委員に立候補し、ジャンケンで勝ち取りました。

広報委員会は年に二回、学校の広報誌を発行しています。

前期の広報誌のメインイベントは運動会。競技中の写真を撮影したり、応援団長からコメントをいただくのが、広報のお仕事となります。
委員会メンバーも各チームに担当を振り分け、一眼レフやデジカメを持っている方はそれぞれ持ち寄り、持っていない人はスマホのカメラで撮影となりました。

私はデジカメを持っていなかったので、当日はスマホで撮影することにしました。

今や我が小学校の運動会は徒競走とダンスのみ、二学年ごと三部に分けての体育発表会が主流となりましたが。この年は新型コロナウィルスが流行する直前の年の運動会。
各学年の徒競走に始まり、学年ごとの競技やダンス、応援団やチアガールの演舞する応援合戦などもありました。
写真を撮り過ぎた私は途中でスマホの充電が切れてしまい、運動会が終わる頃、委員会メンバーと連絡が取れない事態になってしまいました。

異変に気付いたのは編集作業の時。運動会から二週間後のこと。
LINEのアルバムで撮影した運動会の写真を共有していたのですが……。

「何、コレ……」

スマホに保存されている写真をLINEのアルバムに共有しようとすると、データが壊れている写真をいくつも発見！
撮影してから二週間、スマホ内の画像を保管しているフォルダ内で普通に閲覧することが出来ていた写真が、LINEのアルバムに共有すると上半分だけしか表示されない、もしくは全画面表示不可になるなど、不可思議な現象が続出しました。

そういった写真はLINEのアルバムにアップロードするのを諦めたのですが。
次第に写真を保存しているスマホのフォルダ内にも同じような現象が現れ始めました。

そして……。

「…………！！」

それは確かに六年生の騎馬戦の写真でした。緑のハチマキを締めた子を担ぐ騎馬と黄色のハチマキを締めた子を担ぐ騎馬がハチマキを取り合っている写真。
そう、LINEのアルバムにアップロードするまでは。

アップロードしたところ、上1/4ほど、騎乗した子の頭が表示されただけ。残り3/4は表示されず、この写真もLINEのアルバムから取り下げたのですが。

その直後、スマホのフォルダ内に全く違う写真となって表示されました。

それは……見知らぬ赤ちゃんの顔写真。行ったこともない見知らぬ部屋。会った覚えもない赤ちゃん。

撮影したはずの運動会の写真がフォルダから突然消え、どこのどなたかもわからない、お部屋で撮影されたと思われる赤ちゃんの写真が突然、フォルダ内に浮かび上がったのでした。

もちろん、我が家の娘達の小さい頃の写真ではありません。
運動会に来ていたご家族の赤ちゃんを撮影させていただいた覚えもありません。

運動会の写真がずらりと並ぶ中、明らかに風景の違う異質な写真が一枚。

「……なん、で……？」

わけのわからない事態に混乱した私はフォルダ内の写真のスクリーンショットを撮って保存し、実際の写真はすぐに削除しました。

だって……怖いですよ。赤ちゃんの写真が時間が経ったらまた変化するのではないか、と。悪魔のような微笑みを浮かべていたら……想像するだけで、ぞっとします。

あれから三年経ちましたが、謎は謎のまま。あの赤ちゃんは誰だったのか。騎馬戦の写真はどこに消えたのか。未だに解明されておりません。

後日談となりますが、この後、新型コロナウィルスが流行し始め、PTAの委員会活動は自粛となり、後期の広報誌は発行されませんでした。

今思い返してみると、あの写真は何か不吉なことを知らせる予兆だったのではないか、そんな気がしてなりません。

#2000字のホラー