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よもぎ図書だより10

<はじめに>
今回は独特な文章構成で物語が進む小説の紹介です。

<注目本>
恋文の技術 著者:森見 登美彦
※画像は私が所有しているものを撮影したものです。

<出会い>
当時、「夜は短し歩めよ乙女」で一世を風靡していた森見さん。物語を構成する文体はありとあらゆる語彙を思いっきり殴ってくる(殴り続けてくる)のですが、不思議と軽快な文章です。物語としても好みであると思うと同時に、その選び出す単語や文体に惚れこんでしまったので、以降新刊はチェックしています(全ての作品を読んでいるわけではないですが)
その中で、今回紹介する作品は書店で手にし最初の数ページを読んだとき、いままで出会ったことのない異色さと魅力に今までのどの作品よりも私は好きになるだろうと直感しました。実際読み終わった後もずっとずっと心に残り続け、大切な一冊になっています。

<紹介>
物語自体のあらすじとしては、大学院生の主人公が楽しさややりがいを見いだせない研究生活の中で、文通を通して手紙一本で女性を篭絡する「恋文の技術」を体得し意中の相手を落としてみせると一念発起し奮闘しているようでしていない大変おかしなお話である。
そしてその模様はすべて、誰かから誰かにあてた手紙でしかわからないという文体です。もちろん、手紙の中から登場人物たちがどのようなことをしていって、どんなふうに時間が経過しているのかがわかるのですが、それがまるで他人の手紙を盗み見て、人の恋路を観察している気分にさせてくれるのがこの作品なのです。
そして手紙の中から下心や純真さなども感じつつモゾモゾ、モジモジ、わっはっはと心を揺さぶってくれます。

人の心とはどうしてこんなに愉快でかわいらしくもどかしいのだろうか。

ぜひこの秋の読書のお供に読んで欲しいステキな作品です。

<小話>
今回この記事を書くタイミングにたまたま合致したので、今回の小話では森見先生の新作の紹介をしたいと思います。
文藝春秋より「熱帯」2018年11月16日(金)に発売予定!
※リンク先は公式HPです。
あらすじは、世紀の奇書をめぐるお話のようです…とても気になる…!
楽しみです。そして、図書だよりでは既に他の森見作品の紹介もしています。もしよければそちらの記事もチェックしてみてください。
関連記事:よもぎ図書だより3 ペンギン・ハイウェイ


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