空白を配置するという考え方でレイアウトをすっきりわかりやすく
プレゼンスライドをデザインするとき、空白を配置するという考え方を持つことが重要です。スライド上に何もない空いたスペースがあれば、そこにテキストや画像などのコンテンツをもっとたくさん詰め込めると考えがちです。限られた空間を有効活用するという意味でも、空白をそのまま残してしまうのはもったいないと思う人も多いのではないでしょうか。
しかし、思いきって空白をそのまま残すことで、見た目もすっきりと整理され、配置された要素の関係を明確にしたり、見る人の視線を誘導したりできる、というプラスの効果が生まれます。そのような効果をねらって、空白を上手に使ってみてください。「空白のままにしておく」というより、そこに「空白を配置する」という、発想の転換が大切です。
スライド内で空白を上手く使いこなせることは、美しくかっこいいデザインへの近道のひとつです。例えば、図2を見てください。スライド表題の下や右に配置された空白によって、表題が目立ち、表題と本文を視覚的に分離する効果が生まれます。そもそも隙間なくコンテンツを詰め込みすぎるのは、プレゼンスライド作成における悪手の一つです。情報過多となり、どこに注目すればいいかわからなくなってしまって、結果的に見る人の理解を妨げることになってしまいます。
空白の使い方についてのエピソードをひとつ紹介しましょう。数人のチームでひとつのプレゼンスライドを作っているとき、筆者がその最終仕上げを任されました。20ページほどのプレゼンスライドだったのですが、いくつかのイベント情報を紹介するスライドが数ページ続く箇所があり、筆者は図3のようなレイアウトを使って、数ページにわたるイベント紹介ページを仕上げました。各スライドの表題の代わりに各イベントのロゴを使い、大きくスペースを使って配置したそのロゴの下に空白を配置して、残りのスペースにそのイベントに関する情報を写真とともに詰め込みました。空白を大きく使うことで、ページを切り替えても常に同じレイアウトだと認識されやすくし、統一感も演出しました。極めて基本に忠実なレイアウトです。
ところが、実際にそのスライドがプレゼンに使われる直前、チームメンバーの1人が、その数ページのうちの1ページの空白部分に、追加の写真と写真の説明文を配置したのです。「スペースが余っているからもうひとつぐらい見せたい写真を入れられる」という考えから、おそらくよかれと思ってそうしたのでしょう。ですが、デザインの観点から言えば、「せっかく空白を配置していたのに、そこに別の要素を重ねてられて空白が隠されてしまった」という認識になります。結局、そのページだけバランスが悪くなって妙な違和感を感じさせることになり、全体の統一感も失われる結果となりました。
空白の使い方が、デザインの上級者とそうでない人の違いと言っても過言ではありません。上級者になるために、空白をうまく使えるようになりましょう。
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