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ウーパールーパーと日本産サンショウウオの耐塩性の違い

先日、メキシコサンショウウオ(ウーパールーパー)は、他の日本のサンショウウオとは異なり、淡水ではなく汽水環境に適応している可能性があることを記事にしました。

そこで今回は、日本のイモリ・サンショウウオ類とウパの耐塩性がどの程度異なるのか調査した結果について示したいと思います。

下図に示すように、汽水環境(ミネ水0.2~0.3%)~1.0% の塩水条件下での日本産サンショウウオとウパの適応度の違いについて比較をしてみました。

結果を見ていただくと明白で、イモリやエゾサンショウウオはまともに呼吸ができておらず、何度も息継ぎをする結果となっています。
塩分が高いと溶存酸素量が低下することもあり (参考 https://www.xylem-analytics.jp/blog/affecting-do-measurement-part2/) 、呼吸がし辛いことが一因であると考えられる。これに加え本来晒されることのない塩分に触れていることが大きなストレスになっていることが考えられます。 

ミネ水による成長・再生促進効果も、日本産サンショウウオ類にもある程度は見られますが、一定以上の濃度に長期間晒されると、逆に皮膚が荒れてしまうのかあまり効果が得られません。
どうやら日本産サンショウウオの耐塩性の低さについては、浸透圧を調節するために働く塩を輸送する因子群がウパと比較してあまり高くないことや、仮に塩水条件下になってもウパのように塩水に適応しようとして塩輸送体に関連する遺伝子の発現が上昇しないことが原因であるようです。

まだまだ調査不足の点も多々ありますので、今後も更に調査を継続していく必要があるでしょう。
はるらぼからの続報にご期待下さい。

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ミネ水 (ミネラル含有水) によるウーパールーパーの飼育法は、当ラボで調査・開発した手法です。

汽水条件である0.2〜0.3%になるよう、塩水を作成し、そのままウーパールーパーを飼育する方法です。高ミネラルや浸透圧の効果により、成長促進や細菌感染症予防の効果が期待できます。

当ラボの文献にて、これまでの検証結果を紹介しております。

成長促進効果

コラム・総説

記事発行元 ❴ウーパールーパー研究室_はるらぼ❵

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【代表: 杉山 遥 (すぎやま はるか); 理学博士 (生物学)】

#生物学 #両生類 #SDGs

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