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Hvalaセルビア‐21:イケメンはやっぱり正義だった
空港の玄関を出ると目の前に真っ黒なBMWが止まっていた。
10月の晴れたセルビアの午後は陽光が射しこみ、黒い塊は重厚さを増して見えた。その車の前で彼は立ち止まり、振り返ってチャーミングな笑顔を見せた。「この車だよ」
「Oh! I thought the shuttle is a bus or station wagon. I didn’t expect such nice black car pick me up! 」
(え?シャトルってシャトルバスかワゴンだと思ってた!こんな高級車だとは期待していなかったよ!)
これまでのビンボー旅の経験を暴露するようなマヌケなコメントが思わず口から飛び出す。「気にいってくれたならよかった!さぁ、乗って!」
促されるまま車に乗り込むと、後から運転席に乗り込んだドライバーがミラー越しにこちらを見ながら話かけてきた。
「右側のドアの小さなボタンを押してみて」
言われたとおりに黒いボタンを押すと、ポップな色身の飴がポンッと飛び出した。こんな時は少し大げさなリアクションをしたほうが、その後のコミュニケーションが円滑になるものだ。
私は「わーお!」と声を上げる。
「スモール・サプライズだよ!」ドライバーも嬉しそうに返す。
「今度は左側のここ、開けてみて!」と運転席から片手で合図をする。
黒いボックスを開けると、スパークリング・ミネラルウオーターとガス無のミネラルウオーターが1本づつ冷えた状態で入っていた。
「サービスだよ。好きなほうを飲んでね。ホテルまでは20分くらいだけど、今日は少し道が混んでいたよ」
そう言いながらドライバーは車のエンジンをかけた。
「Let’s enjoy a drive together!」
(さぁ、ドライブを一緒に楽しもう!)
空港からホテルまでの送迎をこんな風にワクワクとしたものにしてくれるなんて、うわさ通り、セルビアはホスピタリティーの国かもしれない。
ふわふわのシートに深く腰掛けながら、窓ガラスにうっすら映る自分のニンマリ顔を見て可笑しくなった。
※To Be Continued「Hvalaセルビア‐22」へ続く。