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カタール① アラブ人ツアーガイド

2019年12月私はカタールを経由してヨーロッパ旅行をした。旅の目的は2つ。
ハンガリーの大学見学に行き、そのまま周辺国を一人旅すること。
そして、お互い別の国に住んでいて1年以上会っていなかった友人とチェコで再会し、一緒にクリスマスと年末を過ごすこと。愛しの友人と会ってヨーロッパを満喫することに私は胸を高鳴らせていた。

ドーハでトランジットなので、カタール航空利用者の特典を使って高級ホテルを格安で予約し12時間のストップオーバーをすることにした。事前にネットで適当に現地ツアーガイドを探し、すぐに観光できるようにホテルでのピックアップを依頼した。完璧だ。

しかし約束の時間を2時間過ぎてもガイドが来ない。
ホテルのサービスデスクで電話を掛けることにした。コンシュエルジュの若い男性に名前を聞かれたので答えると「ここには何日間滞在するの?日本人?部屋番号と宿泊階は?1人?彼氏はいるか?」などと聞いてきた。訝しく思い「電話を利用するのにその情報は必要なのか」と伝えるとそれ以上言及してこなくなった。怖い。

ラグジュアリーな広い部屋で一人で過ごす贅沢さ。

そんなこんなで、何度も電話をかけてからやっと現れたツアーガイドは「ホテル間違えちゃったごめん」と。この時点でこの男が適当なこと言ってて信用ならないのは何となく察していたのだが、差し迫る時間を有効活用すべく直ぐに車に乗り込んだ。驚くことに彼のガイドはとても良かった。主要観光地は大体巡り、車と小距離移動用のタクシーのようなものを駆使して眼を見張るほどの効率の良さでいろいろな場所に連れて行ってくれた。


海岸沿いに若者たちがたむろしていた。


しかしさすがは油断ならないアラブの商人である。美味しいお茶やスイーツを私に奢り油断させ、懐柔してきたところで他のビジネスに誘導してきた。
スークワーキフを訪れた際は半ば強制的に"おすすめのお店"を連れ回されシルクのスカーフなどを営業された。
「この紫色良いんじゃナイ?メッチャ似合うヨ。でも赤のほうが良いと思ウ。これ使えばアナタでもセクシーになるネ。」
何故かわからないが腹立つ…。
失礼な、私は元々超絶セクシーでゴージャスなビューティフルウーマンである。
仲介手数料を貰うためにオーナーと取引してやってるのだろうと推測し意地でも買わなかった。商品は良かったが騙しやすいカモとして扱われていることに何となくムカついたからだ。

動物や鷹をそのへんで普通に売ってた。

しかし彼は決して諦めない。私がお菓子屋ばかりに引き寄せられているのを見て、知り合いの店でバクラヴァを買わせようとしてきた。
「試食するのはタダだから何でも食べテ。これ、美味しいヨ?」
そんな事言われても私は絶対に買わない。
しかし差し出してきたバクラヴァは、薄いフィロ生地が何層にも重なり金色の焼目と芳ばしい香りを漂わせている。とても美味しそうだ。
絶対に惑わされるもんかと鋼の意思と決意を胸に、ピスタチオをまぶした激甘のそれを食べた私は、一口でその刺激的な甘さの虜になった。
私の顔を見たアラブ人ガイドがニヤニヤしながら言ってくる。
「アナタ甘い食べ物には弱いんだネ(笑)」
うるさい、この激甘シロップを直接喉にそそぐぞ。

結果まんまと策にはまり、チェコで会う予定の愛しの友人のためにバクラヴァを一箱買ってしまったのである。
恐るべしアラブの商人。

夜の誰もいないモスク


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