【読書覚書】ラジオ報道の現場から 声を上げる、声を届ける


亜紀書房 1,500円+TAX

コロナ禍の頃から、私にとってラジオは家にいるとき、特別なことがない
限りほぼ一日流れている。文字通り聴くこともあればそうでないことも
ある。
澤田さん(勝手に親近感をもって”さん”付け)
は『国会担当』という肩書はあるけれどそれ以外の報道にも携わり、最近ではPodcastや高校演劇案内、と八面六臂の活躍をされている。

この本ではご自身の経歴や、社会に出てからのこと、仕事上のこともコロナ対応をめぐる報道、東京オリンピック、311、国会会期中のことなど、多岐にわたって当時の裏側、現場はどうだったのかを綴っている。

私にとっては森喜朗氏との対応や、衆議院の故・細田議長とのやりとりが印象深い。
本書にも書かれているが、奥様とのやり取りがきっかけで森氏へのあの質問が出てきたとのこと。
会社員という働き方をしている個人にとって、仕事と家庭は切り離された分野という考えがありそう。
澤田さんの職業は政治という実は私達の生活と地続きである国会報道を主に扱う記者。
彼の質問力の原動は日々の生活の中で疑問に思ったことやご両親と過ごした環境にまで遡って見いだせるのではないか。
報道の現場に携わってから、記者以外の職種も経験されており、いろんなご苦労があったと思うし、社内で同僚が少なくても、横のつながりを見出して他社の記者と連携するなど、柔軟な発想と良い仲間で乗り越えてきたのだと思う。

また最近では実名と青マークでツイッターをやっていたり、ポッドキャストの定期配信をするなど、就業先の理解も必要だろうし、フリーランスではない記者の働き方や個々人の情報の発信の仕方も含め今は過渡期なのかもしれない。

ともあれ私は最初いつ聞いたのかも思い出せないけれど、『国会の珍プレー好プレー』から少しづつ、政治について国会について興味が湧いてきた。
会期中はほぼどこのメディアでも何らかの事柄を報道しているが
わかりやすく、そして何かしらのおまけをくれるのは澤田さんがかかわっている番組だと感じている。
そしてそれが視覚を伴わない、報道のやりかたに工夫が必要なラジオというメディアでときに楽しみながら情報を得ることができるのは結構、重要なことだと思っている。


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