本性が漏れる。

それはあなたの人生ばかりか、後生にも関わる問題で、1人の同行の士を受け入れることは、わたしの運命を左右する重大事だからです。

実践カバラ　自己探求の旅　by  大沼　忠弘

これは、師の著書の中の一節で、魔法修行に入門したいという人の申し出を受け入れる手紙の内容の一部なのですが、これを読んで、師弟関係だけでなく、誰かと関わるってことは、互いに多大な影響を与え合うものだよなぁ、と改めて思った。

他者と関わるということには、もれなくエネルギーの交流や影響がついてきて、1人との出会いで人生が好転することもあれば、逆に下降していくこともある。

どのような影響であれそれは、本人以外のところにも波及して行って、現在だけでなく、世代のカルマとして子孫にまで影響を与えることだってある。すでに私たちは、親の影響、家系の影響、育ってきた環境の影響、傍にいる人の思考や行動、観念、想念の影響を受けていて、純粋に純度100％の自分の素質だけで生きている人はいない。

自分で考えた答えのつもりでも、無意識下では、自分の中に住み着いている他者の考え方に基づいてその判断をしていることだってあるし、無防備な時に、スッと入ってきた他者の意見や慣習に縛られ続けるってことだってよくある話だ。

池に落ちた一滴の滴が波紋を広げていくように、1つの関わりの発生は思っている以上に広範囲に影響し、自分以外のものにまで到達してしまうと自覚すると、誰とどんな関わりを持つのか、関わり方の姿勢や態度、言葉に注意を払わないわけにはいかないし、会話の取り扱いやそこにどんなエネルギーが生まれているのか、に気を配ることは大切だと思う。　

自分が使う言葉、相手が使っている言葉、何に、どんな違和感を感じるのか。
あれ？という感覚は、防衛本能のようなものだから鈍らせてはいけないし、違和感をスルーしない方がいいなと感じている。

少し前に、割と近しい人が「俺の痛みじゃないから知ったことっちゃない。」的なことを言っていて、心がカサついた。

多分、その人は冗談のつもりで、笑いながらおっしゃっていたが、その人の口から滑らかに出てきた言葉に、慣れを感じて、きっと本性の一部でもあるのだろうな。と肌感覚で思った。

その人が10代や20代前半なら、思春期か？若気の至りか？言いたいだけのやつね。と流せる部分もあるけれど、大人が口にすると、もはや、その人の人格で本性なの知れないな、と思えてきて、冗談だとしても面白くないし、失うものあるよなぁ、と思う。

その人の中にないものは、口から出てこない。言葉にはエネルギーが乗るから、そういうことも見ている人からすると「そういう考え方なのね。」とそっとふるいにかけられるってことってあるもの。

割と近しい人だったので、言霊に気をつけた方がいいよ。と言おうかと思ったけど、あれこれ考えているうちにタイミングを逃してしまった。

日々の言葉の交流はこうやって流れていってしまう部分があって、アドバイスや苦言は、タイミングが合わなければ得ることができないものなのですよね。

思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。
言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。
行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。
習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。
性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから。

マザー・テレサ

先日の「自分さえ良ければ、人を傷つけてもいい。」という考え方の質感は、心の水分を奪っていく感じがしたし、悲しくなったのは、その人と一緒に創造できる幸福度が測れてしまった感じがしたし、関わるリスクも少なからず感じたからだと思う。

もし、あの言葉がその感触とは裏腹に、ただの冗談だったとしても、その人の中にはそういう考え方があるのだなぁと透けて見えてくるから、言葉はいつだってクリーンな方がいいなと思う。それには、どのような思考をしてきるのか、ある意味、見張ることも大事。
それはたぶん、自分を律することと近い気がする。

言葉がクリーンな人って、大体、顔も体もクリーンだなとわたしは思っていて、特に目にそれが出ていると思う。顔には、その人の心の状態や純度、生き方の姿勢が現れると私は思っていて、ついつい自堕落な自分へ落ちていくと、なんともゆるい顔になって、自分への甘さがきっちり出てくるものだなと感じている。顔って誤魔化せないから、いい顔していたいなと思う。

わたしは、調子が悪い時、「今どんな顔してる？」ってよく鏡を覗く。今の体に、今の気持ちが入っているか、顔を通して心を見てみるのだ。それで、「まだマシだな。」とか、「どんな顔してるのよー」と慌てることもある。顔も生きてる。

今を生きている顔なのか、過去のどこかに心が止まったままになっているのか、そういうことも顔から出ているのだろうと思う。ジャイアンのような言葉を言ったあの男の人も、心の一部が過去のどこかで止まっているのかもしれないなと思った。心と思考の一部が子供のままで止まっているだけなのなら、実年齢のところまで心の時間をすすめられるといいなぁと。余計なお世話よね。と思いながらふんわりと思った。

「心のジャイアン化」を律することの大切さを反面教師的に学んだ気がした。

内的成長の旅をわたしは、錬金術やカバラの智慧をそのコンパスやバイブルにしてすすんでいますが、皆さんは、何を指標に魂の旅を続けていますか？

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