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10年ぶりの毒親からの電話

ガハハハハ…久々に笑う事しか出来なかった毒親からの電話がありました。
僕ちゃんとの昼寝後、寝ぼけたまま出た祖母からの電話。まさかの毒親でした。久しぶりにnoteのネタを頂きました。

インサイド・ヘッドでは
ばぁじゃないぞ?叔母?兄弟?違うわ!!!とオドロキちゃんが飛び出していたけどいつかどこかで聞いた事のあるその声は毒親だと一瞬でわかりました。

10年程、一切の関わりが無かったけれど、それまでは電話をかけてくるのは決まってお金の要求でした。母親に借りたノートパソコン代(米を買うため中古屋に5000円で売ってしまった)、弟が持ち出したプレステのコントローラー代(なぜ私に言う?)もしくは乗っている車をよこせ(何でもありか?)などほぼ恐喝、尚且つ極道の妻よりも下品な言葉遣いで電話してきていました。その時とは明らかに違うトーンでの一言目。

『もしもし、かな?わかる?ママだけど』

この何年かの間に母親になっていた私はその「ママ」という響きが今までとは明らかに感じ方が変わっている事に気付かされました。ただただ、自分が愛されたかった、擁護されたかった対象ではなく、決して完璧では無いけれど誰よりも愛している我が子から呼ばれる、愛しい言葉。どんな時でもあの子が『ママ』と呼ぶだけで、心を温めてくれる、そんな名詞。

それを毒親から聞いた時、私はもう大丈夫だ。と思えました。

以前なら声が震える程、怯えたから。何を言われるのだろう、今度は何が、いくら欲しいのだろう。家まで来ないだろうか。でももしかしたら、何か優しい言葉をかけてくれるのではないか、、、淡い期待をしてつい出てしまっていた電話でメンタルもぼろぼろになっていたから。

時は流れた。あの人も私も今日まで生きてきた。だからもし、今、泣いているあなたがここにいたら、生きていればこんな事も起こるから、一緒に生きましょうと伝えたい。どんな事があっても生きてさえいてくれたら、と願うのが親心です。

毒親の声のトーンから何となく、これは今までとは違う電話だと感じました。
旦那さんの祖母が亡くなったその日だったから、いよいよ寿命でも言い渡されたのか?と不謹慎な気持ちにもなりもした。憎まれっ子世に憚るでしょう?交通事故を起こして車のフロントガラスから飛び出しても無事でおられたこの方にも、寿命はあるでしょうよ?でもそうではなく、、、

『ばあさんから聞いたよ、養子を貰ったんだって?下の兄弟に子供が出来た話より、何で1番にそれを教えてくれなかったんだと、ばあさんに怒ったんだよ。引き取ってどの位経つの?ママはね、泣いちゃったよ。かながそんなに子供が欲しかったんだって。結婚したのは知ってたけどさ。すごいよ、偉いよ。きっと大きくなったら、感謝してくれるよ。血が繋がってなくたって育ててくれた人が親なんだから。たくさん可愛がってあげな。』

記憶にある中で一番優しい言葉だったと思う。
そしてその裏にどんな意図があるのか考えてみたけど見つからなかった。
必ず何かしら意図があったのに、私には憎しみしかなかったはずなのに。

『ありがとう』と素直に言ってしまった。

私は、母親の事が好きでした。16歳で私を産んだから私が物心ついた頃の母親はまだ若くて、シャネルを纏って長いロングヘアで前髪くるりんとして良い匂いをさせて夜に出かけて行く姿を覚えています。料理が上手くて、ドーナツ(覚醒剤に手を出しながら作る粉物)や納豆の天ぷらというハイカラなのか禁忌なのかわからない手料理とか。冠婚葬祭は大事だとか人殺しだけはいけないとか自分の事は棚に上げてご立派な独自の考え方とか。

ただその人は、私の思う母親ではなくて、16歳で私を産んで、アパートに放置して、育児放棄しつつまた子供を産んで、4人とも育てられず。最長3年しかまともに子育て出来ず、覚醒剤にも違法薬物にも手を出し、お勤めも2回されて。今は糖尿病に肝硬変。足を引き摺りながら、2度と私を木刀を持って追いかける事は出来ない体になって。好きだった母親の事も忘れてしまう位の現実を見せ続けてこられて。

母親の愛情を貰えなかった苦しみと、自分の存在意義の欠如と、とにかく苦しんできた私は、まさかこんな日が来るとは思えなかったし、自分の子育てに夢中でこのnoteを書く事さえ忘れてしまっていたから。これは、私が大丈夫になったという事、幸せで生きられている事を実感した出来事なのでした。

ママ、ありがとう。


過去を思い出して綴っていくのは、わざわざあの時の苦しみを引っ張り出してきて泣きながらやる作業です。でも私はこれを続けたいと思います。物凄く不定期更新ですが、どこかの誰かが、これを見て、生きよう、このまま最悪な状態でも生きていこうって思ってくれたら、こんな人もいるんだって少し楽になってくれる人がどこかにいたら、と心より願って、また書きます。

みなさん、どんな人生をお過ごしですか?限りある時間の中で、あなたのヨロコビがたくさんインサイド・ヘッドで踊ります様に。


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