手話技能検定3級の受験記録と傾向と対策
1.はじめに
2024年9月22日,第60回手話技能検定3級を受験しました.受験当日までの様子(受験記録)と,私が3級を受験するまでに何をしたか(傾向と対策)を下に記そうと思います.
2. 受験記録
2024年7月9日 青本が届く.
『改訂版 手話技能検定公式テキスト3・4級』が家に届きました.表紙が青いことから,私は「青本」と呼んでいます.中には,3・4級配当の単語と例文が写真付きで載っており,DVDでも確認することができます.
2024年8月30日 受験票が届く.
受験票が届きました.
2024年9月21日 手話技能検定3級の過去問題を解く.
第59回手話技能検定3級の問題を解きました.過去問は,オンライン上で購入することができます.また,1日前ですが,青本を読み,知らない単語を全て覚えました.
2024年9月22日 第60回手話技能検定3級を受験した.
大阪会場は,関西大学高槻キャンパスでした.会場に入ると,50人くらいの受験者がおり,大学生くらいの人から年配の人まで様々な年代の方がいました.全体的に,年齢層は高め(40代以上がメイン?)に見えました.
試験問題の説明などは,すべて手話と字幕で,音声はありませんでした.映像はスクリーンに映し出され,私の席からは少し遠く見づらかったです.問題形式は過去問と同じでした.マークシート形式のため,簡単な問題では受験者が一斉に答えを塗りつぶす様子が周辺視野に入ってきます.そのかすかな周辺視野と鉛筆の音で,「今のがおそらく正解だな」というのがわかりました.
私は,全て問題用紙に丸をつけていました.最後に,マークシートに転記する時間があり,塗り終わってから何度か見直しをし,退出しました.
2024年10月23日 第60回手話技能検定3級合格通知が届く.
無事,合格しました.次の画像のような結果通知書が届きました.財布に入れて持ち歩くことができるカード型の合格証などは,お金を払えば購入できるようです.
3. 傾向
問題は全て4択で,全部で50問あります.すべて手話の映像を見て答える形式です.80%程度の正答率で合格とされているため,10問程度は間違えても良いと考えられます.
大問は合計,5つあります.
大問Iは,手話の単語の映像を見て,最も適切な単語を,選択肢の中から選ぶ形式です.全部で10問あり,映像は2回流れます.
例 映像で「日本」という手話が流れる.問題用紙には,「①日本②アメリカ③オランダ④スペイン」と書かれている.映像の手話の意味に最もふさわしい番号である①日本を選ぶと正解となる.
大問IIは,映像で4つの手話単語が表され,問題用紙に書かれた文章の空欄に当てはまるものを選ぶ形式です.全部で10問あり,映像は2回流れます.
例 問題用紙には,「私の( )は山田太郎です.」と書かれている.映像で「①名前②スポーツ③走る④遅い」という手話が流れる.問題用紙の文の空欄にもっともふさわしい①名前を選ぶと正解となる.
大問IIIは,映像で4つの文が手話で表され,問題用紙に書かれた会話文の空欄に当てはまるものを選ぶ形式です.全部で10問あり,映像は2回流れます.
例 問題用紙には,「A:( )B:はい,アメリカに行ったことがあります.」と書かれている.映像で「①あなたはアメリカに行ったことがありますか?②あなたはイギリスに行ったことがありますか?③あなたは川に行ったことがありますか?④あなたは山に行ったことがありますか?」という手話が流れる.問題用紙の会話文の空欄にもっともふさわしい①あなたはアメリカに行ったことがありますか?を選ぶと正解となる.
大問IVは,映像で4つの手話単語が表され,4つの中から性質が違う単語を回答する形式です.全部で5問あり,映像は2回流れます.
例 映像で「①おはよう②サッカー③野球④バレーボール」という手話が流れる.4つのうち,唯一スポーツではない①を選ぶと正解となる.
大問Vは,長文読解の形式です.まず,手話の映像が流れ,その内容を読み取ります.問題用紙には,問が5つあり,読み取った内容と照らし合わせながら回答します.映像はA,B,Cの3つがあり,A,B, C,それぞれに5つ問があります.映像AとBは2回,映像Cは1回だけ流れます.また,映像Cのみ,問題文が書かれておらず,質問も手話で表現されます.
映像に,口型はまったくありません.全国手話検定は口型がはっきりしているため,この点において大きく異なります.
4.対策
全ての大問に共通する対策は,青本(『改訂版 手話技能検定公式テキスト3・4級』)に載っている単語をすべて覚えることだと考えられます.実際,単語を答える問題や,全く同じ文章が出題されています.この点において,手話技能検定は「定期テスト」に近いと思います.
大問I,IIは,単語を知っているかどうかだけが,回答できるかどうかに関わります.しかし,わからない単語があっても,他の選択肢の単語がわかれば,消去法で回答可能です.また,大問IIにおいて,答えは文脈に合うものしかありませんでした.したがって,仮に,他の単語がわからなくても,文脈に合う単語がひとつだけわかれば,それが答えだと考えられます.また,ひとつだけわからない単語があっても,他の単語がすべて文脈に合わなければ,そのわからない単語がこたえとなります.このように,文脈を利用した消去法は大きな武器になります.
大問III,IVも,消去法を利用すれば,回答可能なことがありました.しかし,可能な限り単語を覚えるのが最も早いと思います.
大問VのAとBの選択肢は,どれも手話を読み取らなくては回答することができません.しかし,2回読み取るチャンスがあるので,事前に問題文を読むことで,読み取るべき場所が自ずとわかるはずです.Cは,1回しか映像が流れないため,難易度は高いです.しかし,選択肢がどれもばらばらです.選択肢は「①昨日②カレーライスをたべたから③アメリカ④毎日仕事をする」のような感じです.つまり,「いつ」「どこで」といった情報だけ読み取れれば,映像Cが読み取れなくても,答えることができます.つまり,
ストーリーの手話(映像C) → 問題文の手話
という構成で,問題は全て映像Cを読み取らなくては回答できないはずですが,現実的には,問題文の手話だけ読み取れれば,ほとんどの問いは回答できると思います.
また,周辺視野から見えた景色では,指文字や数字の問題で手が止まっている人が多いように見えました.過去問でも今回でも出題されているため,準備が必要です.
まとめると,手話技能検定は「定期テスト」と言えそうです.どれだけ,青本を覚えたかが試されると思います.
注 全国手話検定はある意味「実力テスト」と言えそうです.