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慢性足関節不安定症を防ぐためのアプローチ

足関節捻挫はスポーツ現場で頻度多く遭遇する疾患であり、再受傷率も高い疾患として知られています。

その再受傷率の高さは、不十分な安静期間(治癒期間)による機械的不安定性の残存や不十分なリハビリによる機能的不安定性の残存により、不十分な状態で早期復帰することで足関節捻挫を繰り返す原因となります。

不安定性が残存しその繰り返される状態を

慢性足関節不安定症=CAI|Chronic Ankle Instability

とされています。

CAIと判断する基準
 ✔︎少なくとも1回の重大な足関節捻挫の既往がある
 ✔︎giving-way・不安定感の既往がある
 ✔︎アンケート調査の基準を満たす

またCAIはMAIとFAIに分類されます。

機械的不安定性|MAI(Mechanical Ankle Instability)
機能的不安定性 |FAI(Functional Ankle Instability) 

MAI|関節を構成する組織が破綻(靱帯の弛緩性や滑膜の炎症、インピンジメントなど)により不安定性が生じる状態
FAI|筋力低下や固有感覚の低下、姿勢制御能力の低下など機能的な問題が主となり不安定性が生じる状態

MAIの評価では前方引き出しテストを中心に関節の不安定性を評価します。
靱帯の修復が不十分な状態になることで関節不安定性が生じることから、リハビリにおいて修復期間を考慮したアプローチが必須となります。
※関節外靱帯の修復期間|6w-3M

FAIは機能的な問題となることから、リハビリにおいて十分に考慮したアプローチが必要になるほか、予防として機能改善トレーニングを取り入れる必要もあると考えます。

以上のことから足関節捻挫を予防するには、
筋力と可動域改善による機能的安定性を得るために、適切に管理されたプログラムが必要となります。


1.足関節可動域の改善

足関節の構造的安定化を図るために背屈の可動域を改善します。
足関節は関節面となる距骨天蓋と脛骨・腓骨がほぞ-ほぞ穴構造を呈しており、距骨天蓋の前方が大きくなっていることから、背屈可動域が低下することで構造的な安定性が得られなくなります。

また、距骨内旋の可動域低下はknee-out時の下腿の外側傾斜が低下し外側荷重となることで内返しを呈しやすい状態となります。

足関節の可動域改善には距骨下関節・距腿関節・ショパール関節・リスフラン関節それぞれにアプローチし、改善を図る必要があります。

※徒手療法についてはこちら



2.足関節周囲筋の筋力改善

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