地域にシステムチェンジを起こす主体者がいない
サステナブルな社会に向けて、個々の改善にとどまらなず、面的に社会のシステムを変えていくという意味を持った「システムチェンジ」。ファンド運営会社や中間支援会社、NPOなどがこの言葉を良く用いるようになり社会に広まりはじめ、ファイナンス面や制度面からのアプローチが始まりつつあります。
しかし、目的として掲げられているシステムチェンジという言葉と現場で行われている活動や実態との乖離に苦しんでいるのが地域におけるシステムチェンジの現在地なのではないでしょうか?なぜこのような現象が起こっているのかをこの記事では深堀りしていきたいと思います。
システムチェンジの主体者とは
システムチェンジの主体者がいない
衝撃的な見出しで驚いた方もおられるかもしれませんが、現在のシステムチェンジを掲げているプロジェクトにはシステムチェンジの主体者が不足しています。システムチェンジという言葉は、多くはプロジェクトのテーマを決め、参画主体のコーディネーションを行っている中間支援企業が掲げることが多いですが、彼らは地域に自社事業を展開しているわけではありません。彼らのクライアントは大企業や自治体等であり、決められたロードマップに沿って正確に事業を実施する、もしくは課題解決に貢献する企業を事前に決めた内容で支援することが主な業務内容です。彼らのアプローチとしては、実施する事業や支援する中小企業・スタートアップ自体がシステムチェンジを志向した本質的な取り組みを行っていけるように提案活動をしたりコーディネーションができるかがシステムチェンジプロジェクトの本質的な成功におけるキーとなりますが残念ながらそうはなっておりません。
また、彼らは地域の目線で(住んでいる・関わっている人や地域でビジネスを展開している人などの現場言葉で)起きている課題の根本原因を追究することが困難です。プロジェクトマネジメントに必要な課題整理は適切に行いますが、本当にその課題はシステムレベルでの変革の核となる解くべきイシューなのかまで解像度を高めるには地域の目線を取り入れた思考をする必要があります。
自社事業としてシステムチェンジを実現する
報告書や体裁整備にとどまらず、人々の行動を変容させるシステムチェンジプロジェクトはクライアントワークではなく、自社事業として地域に根差し、地域を育て、地域のアセットを循環させるものであることが重要です。システムチェンジは組織対組織ではなく、人対人の関わりから生まれる意識や行動などの小さな変化から生まれることから始まります。クライアントのやりたいことを主語にして組織論を持ちこむと、経済合理性の視点を持った話を最初からしないといけなくなるので、話がうまくまとまらず、全身しません。自社事業で行っていくことを前提に、話をまとめあげ継続的な活動を組成していく必要があります。その際、多様なステークホルダーを横軸でつなげられるようなビジョンを形成し、テーマを設定することが重要です。
さいごに
ここまでお読みいただきありがとうございました。
今後、様々な視点で様々な主体から地域に対してのアプローチが増えてくるかと思いますが、地域に住む・関わる人にとって良い地域を創るという本質を見失ってはいけません。
システムチェンジを目指したプロジェクトは予算や計画ありきでなく、セルフスターターとして共感を生み、周りを動かしていくことから初めてみてはいかがでしょうか?
Nozomi&Societyの決意
Nozomi&Societyは地域軸・社会軸での事業開発・プロジェクトマネジメントを行っています。地域というフィールドに根差し、地域を育て、地域のアセットを循環させる事業を創出し、システムレベルでの社会変革を実現します。
企業・自治体・地域団体・市民問わず、真に地域を良くすることに賛同いただける方はぜひご連絡くださいませ。