【のほほん音楽閑話Vol.7】めざせ!通りすがりの変態
ソロである。裸のソロである。勢いでごまかせないムーディなソロである。正気で吹いたら恥ずかしくて死にそうなソロである。
いきなり失礼しました。アマチュアオーケストラでクラリネットを吹いているのですが、ある曲のソロが、思った以上にソロだった件です。とにかく、気後れしている暇はない。唯一の主旋律が自分の譜面だけにある。躊躇するなどもってのほか、這ってでも吹くべし。苦慮の末、別の人格になりきる方法に賭けました。曲の第一印象は「カッコイイものてんこ盛り、戦国時代大河ドラマ」。迷わず、「イカれた変態が、自分は戦国武将だという妄想に憑りつかれて獅子奮迅」のイメージが降りてきました。
まずは、立派な変態とはなんぞやを学ぶ必要があります。鈴木亮平主演・福田雄一監督の映画『HK/変態仮面』および続編『HK/変態仮面 アブノーマル・クライシス』を鑑賞。あらゆるピンチ(いろんな意味で)に正面から向き合う大人の本気にすっかり心酔しました。「通りすがりの変態です」と言い切る清々しさは、ゆるぎない自信に満ちあふれています。その覚悟、あやかりたし!
さて、迎えた初合奏の日。夕方からだというのに朝からソワソワ、緊張感の無駄遣い。しかし! 変態の研究とイメージトレーニングの成果か、はたまた「戦国武将が憑依した変態」という二重の狂気が正気に勝ったのか、恥ずかしさは劇的に緩和されたのでした。ありがとう、変態仮面!
妄想は整った。技術と音楽性は追いつくか? 殿様、変態様、どうぞご加護を!
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