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【のほほん音楽閑話Vol.3】無類の存在感?孤高のSAX

 現在、アマチュアオーケストラでクラリネットを吹いている私ですが、高校の吹奏楽部に入部した当初はサックス希望でした。ご縁がありクラリネットになりましたが、タツノオトシゴのような愛らしいフォルム・セクシーな音色・花形としての風格……サックスは今も憧れの楽器です。

 見た目が全く異なるクラリネットとサックスですが、実はともに木管楽器。クラリネットは一目瞭然で木なので、木管楽器であることを疑われることはありません。しかしサックスは真鍮という金属でできています。何ひとつとして木じゃないじゃん! いやいや、木管か金管かは、材質でなく発音のしくみによるのです……ってそんな正論は360度キラキラ全開の前ではまったくの無力ですよね、ごもっとも。強いて言えばリード(くわえる部分のパーツ)は植物の葦の仲間ですが「焼け石に水」な感じは否めません。

 サックスの木管らしからぬ(?)特性は、その姿だけではありません。なんと金管並みの音量が出ます。吹奏楽部で練習していると、同じ木管仲間であるはずのフルートやクラリネットにうるさがられ、あまつさえ「あっちでやって」と追いやられる不条理さ。これほどアイデンティティが試される楽器はないのかもしれません。

 通常、サックスはオーケストラの常駐パートではありません。ラヴェル『ボレロ』などサックスのある曲を演奏する際は、賛助を依頼します。既存のコミュニティに凛と飛び込む一匹狼。「サックスはつらいよ、だからカッコイイんだ」と寅さんも言いそうです。

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