#22 話せてよかった日
先月、ひとりのキッチンで働いてた女性が退職した。
彼女はオーストラリアで料理の勉強をして、日本に帰ってきたばかりで、いまの職場に辿り着いた。彼女は彼女なりにやりたいと思ってたことがあってここに来たらしいけど、思い描いてたことと実際にここで働くことにはやっぱりギャップがあったらしい。
いまの生活っていうのは思ってる以上に制限があったりする。山の上だからスーパーが近くにないとか、薬局が近くにないとか、そういう物理的な制限もあるけど、仕事場と住んでるところが一緒でONとOFFの切り替えが難しかったり。自分のライフスタイルを中心とした生活をすることが困難だったり。彼女が辞めていった理由は、彼女自身がやりたいと思ってたことができなさそうだったこととライフスタイルを中心とした生活ができそうになかったこと。
彼女と話をして、彼女の話を聞いて、自分も思うところがあった。
もう、自分もいい歳だ。その歳で仕事しかない生活でいいのだろうか、、、と。
正直、いまの仕事をずっとやっていこうとは思ってなかった。かなりあくせく働いているし、固定残業よりも働かなければいけないこともある。休みなのに働かされることもあった。山の上で環境が環境だし、住んでるところは仕事場でOFFはあってないようなもの。つまり「自分の生活」といわれるものが持てないでいた。
ずっとやっていこうとは考えていない仕事を2-3年続けたとして、辞めたあと、自分の手元に残るものはなんだろう?
仕事しかしてない今の生活じゃ、仕事を辞めたあと手元に残るものはきっと何もないんだろう。ただ時間だけが過ぎて、擦り減っていく自分しか想像できなかった。
そんな彼女は、自分が辛い時も話を聞いてくれた。励ましてくれたし、気にかけてくれたし、時には厳しい言葉も投げてくれた。普段あまり世間話とかはしなかったけれど、すごく大切なタイミングで話ができた人。
彼女が退職する日、彼女に直接、感謝の言葉を届けることができた。
「本当に話せてよかったです。ありがとうございました」って。
そんな自分も会社を辞める。自分の人生をちゃんと生きるために。
辛い時 支えてくれる 人がいた 出会えたことが りとるはぴねす🤗
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