スペシャルゴールデンハイパー
得意料理がみっつある。
ほうれん草の胡麻和えと、サザエのお造り、あと餃子。
めったに作らないけれど、
餃子を作るのは特にたのしい。
実はこの連休は
だいぶ前からわたしのちいさいおともだちが遊びにくる予定になっていて、
「ねえ!ランドセル、みせにいってあげるね!」
と何度も繰り返しささやかれて、たのしくめぐらせていた計画は
大人の都合というか、世の中の事情で
我々にとって不本意ながら、
どうにも果たされない約束になってしまった。
ぽかり、と空いてしまったいちにちを
ふて寝とマンガと餃子で埋める。
大量に作りさえしなければ、
皮から作ってもそこまで大変じゃないと
よくわかっているのだけれど、
小麦粉200gで皮が20枚と少しできるから‥‥
3人で食べると1人8個くらい?
足りる?
お弁当のおかず用とかいるんでは?
とか考えていると、つい倍にしてしまう。
足りるよ。じゅうぶんだよ。
強力粉と薄力粉を1:1で、400グラム、
そこに油を大さじ1と、
ごま油でもおいしいと聞いたので小さじ1足して、
塩小さじ半分と熱湯200mlを投入して菜箸でわーっと混ぜる。
アツアツのうちに手にかえて、
えいやと揉む。
やっぱ小麦粉400は多いな‥‥と後悔する手応え。
ポロポロと水分がうまく行き届いてない粉が剥がれてくるので、
中へ中へ混ぜ込む。
水分は比較的少なめなので、
どうしてもまとまらないようならばもう少しお湯を足してもいい。
(しかし、まとまるぞ!と信じて揉み込んでみてもいい)
レシピ本をひもとくと、
ここで表面がつやっつやになった美しい小麦粉の写真が載っている。
そう、ここでつやつやになるまでこねなければいけないのだ。
そうしないと後でのばしたときに皮が割れてきたりする。
つやつやになるまで、しっかりと、なめらかに‥‥
それが大原則。
しかし、ここでちょっとホンネを申しませば。
小麦粉は、主食だ。
つやつやにしっかりこねればたしかにおいしい。
間違いない。
けれど毎日小麦を食べている人たちは、
そこまでまじめにこねるだろうか。
米だって、しっかり洗って吸水させて、
水気を切ってしばらく置いて土鍋で炊けばおいしいと知っているけれど、
毎日毎食そこまでしないだろう?
じゃばっと洗って炊飯器に放り込んで早炊きポンでも食えるだろう?
と、いうわけで、
それなりにまとまってからしばらくこねればOKということにしている。
こんなもん。
小麦粉400ってこねるのけっこう大変なのでね。
このくらいでもよくがんばってると思う。
やっぱり作るなら小麦粉200くらいがいいよ。
まだあたたかいうちに、軽くラップをかけて1時間休ませる。
こねが甘い自覚があるので、なるべく温かいところで。
タネは↓を全部刻んで混ぜる。
まずは白菜をざっくり。
根っこに近い白いところは特に念入りに、細かめに刻む。
玉ねぎ方式で根っこをつけたまんま刻むとけっこうらく。
刻めたら塩小さじ1くらいを振りかけて、揉んでおく。
ちょっとごま油をかけておくと水分が抜けやすいと聞くので、
おまじない程度にここでごま油を振ったりもする。
今日はしない。
ニラ、ネギ、ショウガも刻んで、あと肉を。
ざっくり粗く刻んだものをベチベチベチと包丁で叩いて、
表面の繊維を切るように包丁を入れる。
塊ごとひっくり返して、裏にも包丁を入れる。
そんなに細かくしなくていいけど、肉の繊維はしっかり切っておかないと、
後でタネをとるときに引っかかるので注意。
肉が切れたらボールにうつして
塩小さじ1とこしょう、紹興酒大さじ2、ごま油大さじ2を入れて混ぜる。
よく混ざったら水を大さじ1入れて、よく混ぜる
もう一度水大さじ1を入れてよく混ぜてみて、
ちょっと硬いようだったらさらにもう一回水大さじ1を入れてよく混ぜる。
さて、肉が整ったら野菜と合わせるわけですが、
白菜の水は死ぬ気でしぼれ
くりかえします
白菜の水は死ぬ気でしぼれ
まあいっかじゃなくてもう一回しぼれ。
そのくらいの心意気を持ってしぼってほしい。
わかる。わかるよ。
しぼってもしぼっても、
後から後から水分が出てくるし、
こんなにしぼっちゃったらパサパサになっちゃいそう‥‥と、
わたしも思う。
しかし。
しかしですね。
餃子の魅力はなんだろうか。
アツアツを噛み切った時にじゅわぁっと出てくる肉汁。
アレをみっちり閉じ込めるために
買えば済んじゃう皮からわざわざ作っているわけですよ。
白菜から滲み出る水分は、
あの!あのすばらしい肉汁を巻き込んで
タネをビショビショにしながら
餃子の外に流れ出ていくのです。
万死。
わかります。わかりますよ。
なんかその汁にこそ、野菜の成分とかが詰まっている気がする。
そうですよね。
ちょっともったいない。
そう、わたしもいつもそう思います。
でも大丈夫。野菜、そんなにやわじゃない。
水分、この後もジャバジャバ出ます。
これだけしぼっても、旨味、ちゃんと残ります。
罪悪感の向こう側までしぼりきってください。
しっかり水が切れたら肉と野菜を全部混ぜて、タネ完成。
時間があれば、ちょっと冷蔵庫で休ませるとなおよし。
さて、皮です。
1時間休ませるとこんな感じ。
見た目に大きな変化ナシ。
あたたかいところで休ませたため、ちょっと表面が乾燥しております。
このかたまりを4つに分けて、棒状に。
更なる乾燥を防止するため、ボウルに濡れ布巾をかけます。
半分くらいはこのまま冷凍するので、強力粉を軽くまぶしたバットも用意。
けっこう乾いちゃってても、
このくらいならなんとかなる。
これをさらに半分に切って、
ひとつの棒を6つに分けるのだけれど、
その時にバツバツ同じ方向から切っていくと潰れてしまうので、
90度ずつ回しながら切って、右と左の切り口がずれるようにしていく。
文字で説明すると難しいけれど、
要は同じ棒を同じ向きのままタンタンタンっと切らないでねって事で、
なんとなくコロコロしながら切っていけばそれでいい。
12個の塊が切れたら、5個残してボウルへ。
いや、ぜんぜん5個じゃなくてもいいのだけれど、
伸ばして、包んで、の間にもどんどん乾いたり縮んだりするので、
あまり皮だけを量産するわけにもいかなくて、
しかしひとつひとつやっていくと日が暮れる‥‥
の間をとると、5個づつがやりやすいなぁと。
小さい塊を軽く丸めまして、ぺちょっとつぶして、
片手で端っこをつまみながら、逆の手でフチから中心に向かって生地をのばす。
ぐるっとのばすとこんな感じ。
まあなんとなく丸っぽければそれでよし。
大きさは、市販の餃子の皮よりすこし大きいくらい。
タネを真ん中にのせまして、
えいっと皮の中心をくっつけます。
あとは1、2回ひだを作りながら皮の端をくっつければ完成!
生の皮はけっこう伸びるのと水がなくてもくっつくのが楽だけど、
肉の脂がフチについてしまうと
何をどうやってもくっつかなくなるので注意が必要です。
あとはひたすら小麦を切って、のばして、つつむ。
疲れたと言っている間に2つ包める。がんばれ。
だんだん慣れてくると、
アレ?この餃子ちっちゃいかも?
などと思いだし、ついうっかりぎゅむぎゅむタネをつめこんだ
パンパンなものを生み出しがちになりますが、
思い出してください。
ここで。
生地をちゃんとつるつるになるまでこねていないことを。
限界を超えるとブツッと穴が開いて、収拾がつかなくなります。
リカバリーするには、もう新たな皮で包むくらいしか手はありません。
手のひらサイズの餃子は食えば十分でかいです。
安心しておだやかな量で包んでください。
全部包めたら、並べて、
焼いて、
どーんです。
さあ、心の赴くまま。
召しませ餃子。
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