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「けい」(小劇場)演劇界の実態意見交換会 3日目 会話ログ
こちらの記事を読まれていない方は、ご一読いただいてからログをご確認いただけたら嬉しいです。
問題意識や開催理由などが書いてあります。
スペースの録音音声をスタンドエフエムという音声配信アプリで再録音、はじめと終わりのみ編集した記録とともに、話された内容を整理します。
参考部分は以下のように載せていきます。
00ː00~ 話題
話し手 「発言の内容まとめ」
話し手はコミュニティの内側の人か外側の人かを分けて表記しました。
例えば、俳優さんは(内側、俳優)と表記します。
反対に、演劇になじみのない会社員の方がいたとしたら(外側、会社員)とします。
同意などがあり、同じ考えを言っていたら(応じた人数分)表記します。
オガワは(内側、俳優)ですが、区別するために(オガワ)と表記します。
発言については、文脈の補足としてときおり言葉や説明を入れています。
特に参考になった発言は太字にしてあります。
実際の録音を聞かれる方は3時間30分ありますので、ゆっくりとお聞きください。
23日(水)21時~ 実態意見交換会3日目
3日目 1本目
00ː30~ 開始、観劇体験について
オガワ
「1日目は100人、2日目は280人くらいのリスナーが出入りしていた」
「ホストとして建設的な意見を出さなければ、まとめなければと思い、重圧を感じていた」
内側、劇団主宰2
「合同会社舞台裏さんのステージLARP(Live Action Role Playing Game)を観に行った」
オガワ
「体感的にどうだったか」
内側、劇団主宰2
「いっぱい演劇を観ているわけではないため、革新的な公演だったかは断言できない」
「ゲーム形式のシステムにより、その日でしか生まれない物語があって面白かった」
「ゲームマスターのシステムメッセージの時間があり、プレイヤー(俳優)の行動を選ぶ」
「プレイヤーの行動と結果の宣言があり、観客が選び、再現する進行方法」
「TRPG (Table talk Role Playing Game)」
「冗長になるかと思ったが、ゲーム性から演劇的なスムーズさが失われることはなかった」
オガワ
「俳優に混ざって、観客もいるのか」
内側、劇団主宰2
「俳優たちがプレイヤーとして動作するのを、観客が観る形」
「分岐点で観客に選択が委ねられる」
「受付でもらったペンライトの色を変えて、選択するという参加方式」
「予想の動きと違う動作になり、『自分がプレイヤーとして参加したい』という観客の意見もあった」
「そう思わせたら勝ち」
「シナリオはクラウドファンディングの特典でもらえた」
9ː40~ 演劇を”開いていく”取り組み例
オガワ
「合同会社舞台裏さんとワークショップの企画運営をしていた」
「LARPのような”開いていく”取り組みは要注目だと思う」
内側、劇団主宰2
「主宰の方がそんな思考を持っていて、noteに記事を載せている」
「試みとしては、LARPコミュニティ、TRPGコミュニティの人たちを呼び込むことができているのではないか」
「ハッシュタグで感想を呟いている人たちは、そのコミュニティ内の人のイメージだった」
~
オガワ
「演劇サロンの演劇お茶会は良い空間だった」
内側、劇団主宰2
「お茶会は観劇者の方たちが集まるのが良い」
「作り手が集まると問題を共有したり、解決に向かって議論する」
「観劇が好きな人たちでは、リスペクトを感じる話が交わされる」
オガワ
「お茶会の場で劇団の面白い取り組みについて話は挙がったりしたか」
内側、劇団主宰2
「カンゲキ大賞委員会の話が出ていた」
「スペースは気軽に参加できて良いという話もあった」
「演劇以外の話もしてまったりする」
「そこに集まった方々の出会いによって生まれたご縁もある」
~
28ː00~ 表現とジェンダーについて
オガワ
「ジェンダーに関する舞台に出演した」
「Instagramで宣伝をしたとき、ジェンダーに関心のある人は反応すると思うが、普段からジェンダーについて考えていない人はどのくらいいるのか」
内側、劇団主宰2
「直面している問題がそれぞれ違うため、それ以外の問題を考えられない」
オガワ
「表現をする人たちは、社会的なテーマをモチーフに創作して問いかける」
「問いかけるにしても、届けたい人との距離が遠く、効果が薄いのでは」
内側、劇団主宰2
「ジェンダーは誰もが関わっている」
「身体的性や性自認、性的指向がさまざまあるということが(世間一般に)広まりつつあるとは思う」
「若い層には、思ったよりも身近なことだということも広まりつつある」
「(作品での表現が)貢献しているとは思うが、自分がふれて良いのかどうかのラインが難しい」
「作品自体に差別的要素があると周囲の批判があるとき、自分の考え方との差を感じる」
オガワ
「セクシュアリティに関するテーマを扱う作品や、身体的接触(センシティブ・シーン)のある作品には、有識者やインティマシー・コーディネーターが稽古場に帯同する流れが出てきている」
「ぽつぽつとではあるが、ハラスメント対策がなされているように思う」
「ジェンダーやハラスメント問題に対してきちんと”開きつつ”あるのでは」
内側、劇団主宰2
「お金をかけるべきところが増えるのは困る」
オガワ
「そういったテーマを取り扱うとしたら、お金をかけるべきでは」
内側、劇団主宰2
「私は、芸術や創作をお金を持っている人だけのものにしてほしくないとは思っている」
「リスクヘッジは偉いと思うが、お金をかけられなかった人を糾弾しないでほしいなと思う」
オガワ
「言いたかったことは、『お金を注ぎたいけど、お金がそもそも(業界内や劇団に)ないからどうしようもない』ということだった」
内側、劇団主宰2
「自分が分かる範囲で作品を作り、批判があった時は真摯に受け止めるしかないと思う」
「(表現を)規制する/しないの話と似ている」
「私は女性に関する性的なテーマを取り扱い、肯定したい」
「フェミニストと自認している。フェミニストも主張の異なりがある」
「『女性は弱いので、男性が気遣うべき』『男性は下心のある目で女性を見るべきではない』『男性は女性への暴力性を認め、気をつけて生きるべきだ』」
「私はこのような論調は違うと感じる」
「私のフェミニズムは女性の権利を拡大していくこと」
「簡単に言うと『女性も男性のことを下心のある目で見ます』という立場をとっている」
「男性を規制するのではなく、女性も開いていきたいというフェミニズムに賛同している」
「しかし声が大きいのは、男性を規制する意見」
「つまり、個人的には表現規制をあまりしたくない」
「作る側の表現があり、傷ついたとの批判があって、作る側は誰々からの批判があったと分かって良かった、となってほしい」
「すべての表現は表現されて良い、とされていてほしい」
「不愉快であると思う権利もこちら(観る側)にあるので、不愉快なものをすべてなくそうとするのは違うと思う」
「観る側としては『それが表現したかったんだね、でもいやだと思ったから言うよ』という関係でいたい」
「どういったものでも『やったらだめだよ』は言いたくない」
オガワ
「『いやに感じた』と言ってくれる人は貴重だと思った」
内側、劇団主宰2
「『いやだった』はある意味刺さっている」
「演劇の良いところは、映像に残すよりもセンセーショナルなことができるところ」
「配慮は大事だが、表現する目的による」
「私の公演は下ネタが嫌いな人への配慮に欠ける内容になると思う」
「その代わり、事前に内容を告知する」
オガワ
「作る側と観る側でミスマッチになるといけない」
内側、劇団主宰2
「パッケージ詐欺(告知した内容と違う)はダメだと思う」
53ː00~ 再・LARPについて
オガワ
「TRPGの舞台版の印象」
内側、経営者
「ざっくり合っている。TRPGを体を動かす方向に派生したものを舞台化したもの」
オガワ
「舞台化によって、TRPGコミュニティからの来客はあったか」
「それは観客数全体のうち、どのくらいの割合か」
内側、経営者
「TRPG、マーダーミステリーまで含めるとだいたい1割、2割」
「残りの8割は演劇コミュニティのお客さんだった」
「クラウドファンディングを見つけてもらい、そのコミュニティの人たちに支援してもらえた」
オガワ
「TRPG、マダミス、LARPは似ているけどものか」
内側、経営者
「TRPGは主流がクトゥルフ神話(アメリカ発祥。原作は大衆雑誌の小説)」
「机の上で話しながら、物語を進めていく」
「マーダーミステリーは事件が起こり、解決に向かう推理もの」
「LARPはそれらを現実に起こして生身で戦ったり、五感を使って遊ぶもの」
「演カツからLARPの団体さんとご縁がつながった」
オガワ
「新聞に、マダミスが北京の方で流行って多数お店が建っているとあった」
「没入感があってスリリングという感想が載っていた」
「やりようによっては日本でも流行すると思う」
内側、経営者
「それを狙っている。LARPは演劇だけでなく、研修にも役立つもの」
「LARPのそういった利点を活かし、発展していきたい」
オガワ
「他の劇団が同じような取り組みをしているかどうか」
内側、経営者
「調査をした。『カタシロ』というマーダーミステリーを舞台化していた」
「それは、ほぼ完全にインプロで演じるというものではなかった」
「他にLARPという形で上演するものはなかった」
「LARP公演は日本初なのではないかと考えている」
オガワ
「感触はどうか」
内側、経営者
「収支面は助成金に頼ったものの、感想はおおよそ良い感想だった」
「#Stage LARPでは1ヶ月間で120万プレビューされた」
内側、劇団主宰2
「演劇とファンが被りそうで被らなかったLARPコミュニティのファンが演劇を観てくれて良かった」
内側、経営者
「クロスすることは意識していた」
「演劇のお客さんを引っ張ってくるのは難しいと考えていた」
「TRPG、マーダーミステリー、LARPコミュニティに狙いを定めて呼び込もうと戦略を立てた」
「配信チケットが多数売れた。おそらくそのコミュニティの人たち」
「公演終了後にグッと伸びた印象。口コミで波及したのではないか」
オガワ
「YouTubeやニコニコ動画で、実際にやったTRPGのリプレイ音声動画を上げる文化がある」
「その文化があり、映像や音声になじみがあったから伸びたのではないか」
内側、経営者
「そうかもしれない。『LARPのリプレイがStageLARP』との感想もあった」
「オンラインでは配信システムやコメントで投票(行動の選択)ができた」
「それを抜かしても面白いコンテンツだったのではないか」
オガワ
「LARPに目をつけたのはどんな着想があったか」
内側、経営者
「最初は演カツで出会ったことが大きかった」
「お話を聞き、動画を観るうちに、インプロと相性が良さそうに感じた」
「組み合わせられるのではないかと思い、共同主催に」
「お相手の方が『舞台化したい』という意思を持っていたこともある」
「LARP自体の、教育分野にも研修分野にも活かせる可能性に惹かれた」
「演劇スキルも組み合わせられると思ったため、活かすにはどうしたら良いかを考えた」
「ニーズを創り出していきたい」
「LARPコミュニティの人は自分で行う面白さを知っているため、俳優が代わりに行動するStageLARPは最初の段階では何とも言えない反応だった」
オガワ
「最初は皆さんそう言う感じでスタートしていくんでしょうか」
内側、経営者
「そうだと思います」
68ː30~ 今後やっていきたいと考えていること
内側、観劇者
「今日のテーマは何にしますか」
オガワ
「個人の経験ベースで感じていることをゆるく話していく」
「気になるところを深ぼっていき、実態と結びついていたら良いのでは」
内側、観劇者
「全体としてはフリートークで良いのか」
オガワ
「そうです。僕が気になることを今聞いている状態でした」
内側、劇団主宰2
「初めに言っていた(※録音ではカット)、やることとは具体的にどんなことだったのか」
オガワ
「地域に向けた複合的な創作活動」
「色んな方々とチームを組んでコラボをして、住んでいる人・訪れる人にその土地ならではの作品を届けていく」
「最初にやりたいのは、春日部市に活動拠点を移して、役所の方とコンタクトをとること」
「並行して、世田谷区の経堂で実践を行う」
内側、劇団主宰2
「良いですね。世田谷は良いと思います」
オガワ
「企画書を作成しながら、より詰めていく」
「3月にまたスペースを開いたり、ご相談しようと思う」
「ブラッシュアップにご協力いただけたら」
「3月~10月の企画(人間賛歌)のスケジュールを3月の段階で組む」
「それを1個ずつ実践していくようにしたい」
内側、劇団主宰2
「世田谷区は協力的な人が多いと思う」
「自治会が音楽イベントを開催している。表現者に開かれていると感じる」
76ː30~ 地域で活動するために
内側、プロデューサー
「演劇と関わりながら、埼玉で子ども食堂や食事の支援に関わっている」
「コロナ前ではあるが、地域に向けた活動をやっていた」
「子ども食堂にお芝居を届ける活動」
「劇団に協力してもらって、先々で展開できるように準備していた」
「地域との関係性をうまく作らないと、クレームを受けたりする」
「受け入れ場所とも、条件について話し合いをしっかり行うことが大切」
「場所を借りれずに転々としたことがあった」
「今は民間でつながり、埼玉県全域で行えるようにしているが、最初はとても苦労した」
「地域の協力者・有力者を見つけて、コンタクトをとる方がスムーズ」
「代表は他の地域から来た人だったが、地元の私が案内をして地域に繋げた」
オガワ
「今は地域に向けた活動はしているか」
内側、プロデューサー
「コロナ禍のためしていない。落ち着いてから行えるよう準備をしている」
オガワ
「メインでやっていきたいのは春日部市」
「2日目では面通ししてみるというアドバイスをいただいた」
「実際に役所の人と会うとき、どのあたりまで具体的に話せばよいのか」
内側、プロデューサー
「ひたすら企画書をきちんと作り、そこで全部説明できるようにする」
「役所は忙しいため、時間を取らせない」
「まず、窓口で自分の企画の概要を伝え、どこの科に行けば適切か聞く」
「地元の事情に詳しい人を捕まえて、案内人をしてもらうようにする」
オガワ
「地域への活動の実践(場づくり)をしたあと、自分が抜けてもその土地に住むクリエイターが自分たちで活動を行ってほしい」
「(人間賛歌を行う)世田谷区経堂の案内人にはお会いできている状況」
内側、プロデューサー
「良いと思う」
「一緒にやっていた人物は横展開して、ノウハウを広めていった」
「そのようにオガワさんがどんどん火付け役になっていくのが良いと思う」
「パッケージとしては、地域事情に合わせた方法を自分で見つけ、それを活かしてコンサルティング的にも動くような」
オガワ
「もうお1人の代表の方を、まず初めにどこへ案内したか」
内側、プロデューサー
「知り合いのお店を案内した」
「お店の方の娘さんが、たまたま小劇場演劇界で俳優をしていた」
「それが、自分が演劇界とつながりをもつきっかけだった」
「色々な悩みを聞いているうちに、どうにかしなければと感じた」
「相手に寄り添い必要とする手助けをする」
「エンタメも福祉も根っこは一緒だと考えて活動をしている」
オガワ
「その後の流れはどうだったか」
内側、プロデューサー
「広報に力を入れようと思い、マスコミに宣伝活動をしていった」
「テレビや新聞などに積極的に出ていき、認知度を上げた」
「自分は演劇の方に進み、色々な方とつながってパイプを太くした」
「協力者や支援したいと思った人に声をかけ、まとめていった」
オガワ
「知ってもらえないと何もできない」
内側、プロデューサー
「マスコミは力がある」
「ニュースが出た後、特にシニア層から連絡があり協力してもらえた」
オガワ
「ちなみにどういうプレスリリースで出したか」
内側、プロデューサー
「社会問題の提起をしてそこに対してアプローチする、というような内容」
オガワ
「問題の部分は、もともと地域に存在していた問題か」
内側、プロデューサー
「そうです。オガワさんの場合、地域事情からテーマを抽出して、調べ上げて分析、プレスリリースやチラシに載せる」
「地域活動をするとき、チラシは町内会に配ってもらうのが良い」
内側、観劇者
「提案なんですが(内側、プロデューサーに)弟子入りしてみたらどうか」
内側、プロデューサー
「よろこんで」
オガワ
「ぜひよろしくお願いいたします」
内側、観劇者
「これからの話し合いをどうするか」
オガワ
「個別で(内側、プロデューサー)さんとお話させてもらえたら」
「この場では実態について探っていきたいなと思う」
~
105ː20~ 集団とハラスメント体質について
内側、観劇者
「オガワさんが感じている問題点を深ぼりしてみたいがどうか」
「ざっくりとどんなことを感じているか」
オガワ
「問題意識は、(小劇場)演劇界は”閉じている”ということ」
「”閉じている”の中身は、今までの段階でこう考えた」
2日目を終えて
【2日目を終えて考えた演劇界の実態の仮説】
・個人、劇団、劇場が、界隈内外の相手に「意識を向け、働きかける」力が全体的にない=”閉じている”?
・やる側とみる側で演劇に求めているものが異なり、互いにストレスを感じるときがある。欲求を合わせられる「公開ジャーナル、まとめ」がない?
【議論された”開いている”のイメージ】
・人気になり、たくさんのお客さんに見られる。
・演劇界への出入り自由があり、閉鎖空間にならない。
・社会性のあるテーマで伝播力のある舞台の上演。
・観てほしい人に、観てほしいものを届ける努力を。
・演劇になじみのない人にも届く話題性をもたせる。
内側、観劇者
「大別すると2つに分けられる印象」
1.部活動のような閉鎖的な空間だから、いじめやしごきがはびこる。
外部のコンプライアンスを守ろうとする人たちから隔絶されているから、内側の人間関係がよどむという話。
2.お客さんとのコネクションがしっかりできていないので、ミスマッチが生じる。色んな人が入ってきてくれない。
「どちらを深ぼりたいか」
オガワ
「1つ目の方を深ぼりたいです」
内側、観劇者
「内部のルール整備が追い付かないのは、どんな集団でも同じ問題だ」
「ビジネス界では『1,000人の壁』というものがある」
「会社の規模が1,000人を超えると、顔が把握できなくなる」
「ルールを整備し、人事部を作り、社労士を雇い、次のステップに移ろうとするときに壁ができる」
「壁が突破できないと、人間関係が破綻してつぶれてしまうところが多い」
「劇団の場合は5人だったり10人だったりするのでは」
内側、劇団主宰。経営者
「あると思います」
内側、観劇者
「3人くらいなら仲良くできる」
「仮に5人としたら、あとで劇団に入ってくる人がいる」
「学校のクラスと同じで、お互いに選んだわけではないので、相性の良しあしが出てくる」
「主宰の懐が深ければ、間を取り持つのもまだ難しくない」
「10人になってきたら2番目、3番目の”話を聞く人”が大切になってくる」
「このような話は、会社では先輩から後輩へ引き継がれるもの」
「しかし劇団では全員が0からのスタートで、作らないといけない」
「車輪の再発明(すでに発明してあるのに、発明したがる)」
「劇団のパワハラ体質について。組織と芸術はもともと相性が悪いと思う」
「芸術は人の心の中身を出す営みなので、1人の夢を全員で助けるという仕組みにならざるを得ない」
「組織は構成員を全員幸せにするためにあるはず」
「半ば趣味やボランティア、友達意識でやっている劇団となると、統率をとって動くためにパワハラめいたことをやらざるを得ない」
3日目 2本目
00ː00~ 続・集団とハラスメント体質について
内側、観劇者
「閉鎖空間での人間関係がよどむのは、演劇界に限ったことではない」
「主宰の人徳、メンバーを厳選すること」
「セミナーや研修などでリーダーシップについての話はよく聞くが、フォロワーシップ(ついていく人間の資質)の方が大切だと思う」
「お互いに大事にし合う循環がないと、スタートしたばかりの集団は簡単にばらける、というのが持論」
内側、経営者
「めちゃくちゃ共感します。会社をやっていて今は5人のメンバー」
「お互いに恩義を感じ、伝え合えるメンバー」
「20人規模の劇団も主宰して、フォロワーシップに恵まれていたと感じる」
「とても大事」
内側、観劇者
「ざっくりと全世界の人間を4通りに分けると、有能、無能、善人、悪人となる」
「そのとき、有能な善人は出来上がっている組織にすでに入っている」
「有能な悪人か、無能な善人のどちらを仲間にするか」
オガワ
「善人と悪人はどういったイメージの人か」
内側、観劇者
「悪人は組織の乗っ取りを考えるような人、やんちゃで他人を挑発する人、内部で争いごとを起こすのが好きな人」
「善人は全員で調和して大きな目的を達成しようとする人」
オガワ
「それでいうと、後者(無能な善人)を仲間にしたい」
内側、観劇者
「私も賛成ですが、中には有能な悪人をコントロールしてこそリーダーだという考えを持って実現している人もいると付け加えます」
「あとは旗を振っているリーダーの人の資質が大切」
「最初は正しい王様になろうとしたがるが、ある日突然限界がきて変わってしまう人もいる」
「スカウティングと組織作りについて、(経営者へ)何かありますか」
11ː20~ 経営者目線で考える集団運営
内側、経営者
「私は人を判断する軸はありつつ、悪人も程度によっては大丈夫とした」
「一番大切にした要素は、キレないでいかなるときも理性的に対話ができる人」
「劇団主宰時代はずっと行動を観察して、除外していったこともある」
「隠さず、裏表がなく、理性的な人がベストだと思う」
オガワ
「より良い環境を作るために選りすぐったのが今の5人か」
内側、経営者
「1人は有能な善人で、あと2人は私にはできないスキル・ノウハウを持っている人」
「動かしやすい人と高め合える人を選んで、バランスをとっている」
「適材適所で分野を任せて、指示を出して個人の裁量でやってもらうところと、一緒に企画をガンガン考えていくところで分けている」
「5人ともかなりタイプは違い、同じ考えを持っている人の集まりだと発展しないと考えている」
「対話を重ねることで新しい方向性が見えることがある」
内側、観劇者
「5人~10人なら、主宰やリーダーが選りすぐったメンバーで成功パターンに持っていける最高のケース」
内側、経営者
「10人が限界だと思う」
「次入れる人は人事系のことを考えられる人」
オガワ
「人事系や事務系など、会社・カンパニーで必要不可欠なポストは経験で把握していったのか」
内側、経営者
「誰がどんなことを得意かは把握していて、伝え方も工夫している」
「事務は基本的に私が行い、補助に1人いる」
「SNS担当や、連絡担当もいる。それぞれ裁量のある領域を持ってもらう」
「トップに立ってやっても良いし、相談しても良い。ゆくゆくは1人で回せるように頑張ろう」
「今あるポストは、事務・会計、デザイン、SNS、現場を任せる人」
「人事と事務は兼任してもらうかも」
オガワ
「人事と事務は内容が近しいのか」
内側、経営者
「近くはないが、事務関係はツールを導入していてやり方が分かればできるものを採用している」
「将来を見越しての話をして、人事に入ってもらおうと考えている」
内側、観劇者
「法人化をしているか」
内側、経営者
「しています」
内側、観劇者
「残り4人の雇用形態はどういう風になっているか」
内側、経営者
「1人は共同代表で、あとは業務委託やアルバイトに近い形態」
「別で仕事を持っている人も多いので、兼ね合いを見つつ」
内側、観劇者
「5人以下の組織はたくさんあるので怒られはしないと思うが、厳密に業務委託はコンプライアンス違反、偽装請負になり得るかもしれない」
内側、経営者
「ひとつ利益を出せる事業ができたら、社員雇用にすると約束をしている」
内側、観劇者
「知り合いが、業務委託で虐げられている人を多く見ていた」
「業務委託は何時間残業しようが定額しか払われない」
「社員雇用を考えているのは立派だと思う」
内側、経営者
「人がいないと何もできないので、還元することを一番に考えたい」
24ː00~ 外から内に新しい空気を取り入れるか、内から外への働きかけを改善するか
内側、観劇者
「主宰の影響で閉じた組織になり、人間関係がよどんでいる場合、法律や社労士など外部からルールを設ける人が大切になる」
「少人数のチームを運営するとき、主宰の人徳があればそんなに神経質になる必要はないと考えている」
「個人的に、すべてはオガワさん次第なのではと思う」
内側、経営者
「内部の風通しという意味では、主宰が気を配ればどうにかなると思う」
「外部との風通しを良くするとき、アウトプットを工夫する」
「スペース機能やTwitterで活動を報告したり、仲良く話している様子を公開するなどをして、土壌を整えているところ」
「発信というところにつながってくる」
オガワ
「(外側から見て)演劇界は何をしているかが分からないのが基本ある」
「一般人の友達に演劇について話すと『どういうことをしてるの』と聞かれることが多い」
「次に『稽古場では何をしているのか』ということも聞かれる」
「それは演劇界自体が何をしているのか分からない(からではないか)」
内側、観劇者
「外側から内側にルールなどを設けずに閉鎖空間を生み出している問題か、内側から外側に発信が行き届いていない問題、どちらの話をしたいか」
内側、経営者
「外側から見たら分からない問題はどこでも起こっている」
「カーリングの実況などを見ても具体的には分からない」
「人の意識が変わらないなら、外側からの影響が必要」
「外側から何をやっているか分かるというのは、教育レベルか娯楽レベルで浸透していくかだと思う」
「稽古場を公開することは良いことだと思うが、即時的に解決できるものではないと考える」
内側、観劇者
「そもそも人に知ってもらう必要はあるのか」
「飲食店でゴキブリが出たりすることもある。人にはキレイなところだけを見てもらえれば良いという考え方があっても良いと思う」
「オガワさんが”やっていることを人に知ってもらいたい理由”は何か」
「想像するとしたら”内実を知ってもらうことでより親しみを持ってもらえる”と考えているのではないか」
内側、経営者
「幕が開かないと中身は往々にして分からないと言われている」
「演劇は確かに『ちょっと試してみよう』と思って試せる世の中に逆行し、情報に触れて試す接点が少ない」
「オガワさんは(プロモーションなどで)接点を増やしたいという考えが大きいのでは」
内側、観劇者
「シアトリカルという言葉が流行った」
「リアリティーショーのような、過程をYouTubeなどに公開して結果は劇場で見てもらうようなものはどうか」
内側、経営者
「やろうとしていた」
「プロモーションとしては正解例」
「演劇のプロモーションとしての『オーディションから稽古を経て、彼らの苦しみと汗と涙と血を劇場で』というのは企業活動として良いと思う」
内側、観劇者
「プロモーション的に内側のことを外側に知らせる”開き方”についてか、外側の人が内側に入ってもらう”開き方”のどちらを深く掘り下げたいか」
オガワ
「前者の方(内→外への発信について)を掘り下げたい」
37ː10~ 内から外への働きかけの改善
内側、観劇者
「例えば、プロモーションの一環としてSNSを運用したり、稽古場の様子を公開したりなどアイディアはあると思うが、具体的には」
オガワ
「地域を向けた活動を行うにあたって、拠点(アトリエ)を借りる予定」
「劇場になる空間を知ってもらう活動としてプロモーションを考える」
「地域の人が集まってもらえるようなイベントをしたい」
「劇場空間に焦点を当てた動画を撮影してyouTubeに挙げることをしたい」
内側、観劇者
「2日目で言っていた『アトリエを地域の寄り合い所にしたい』ということと通じるものがある」
「アリだと思う」
「個人的にステージ裏は大好きで、ディズニーランドのドキュメントは大好き」
内側、経営者
「分かります」
内側、観劇者
「お芝居もどうやって作るのか、観客としてはとても興味がある」
「しかし”閉じられて”いて見学に行くことができないことはある」
内側、経営者
「地域密着の部分が難しいところだと思う」
内側、観劇者
「それをやる劇団は、まだ立ち上げてはいないですよね」
オガワ
「地域への活動は完全に1人でやるわけではない」
「自分がメインで他にお手伝いをしてくれる方が数人いる感じ」
内側、観劇者
「皆さんは稽古場公開に肯定的か否定的か」
内側、経営者
「私自身は肯定的です」
「仲の良いファンの方は受け入れる」
内側、観劇者
「どんでん返し系の物語の場合は、稽古場を公開するか」
内側、経営者
「配慮は必要だと思う。あえて導入シーンを見せる」
「ツイートをしてもらえたら万々歳」
「第3者からの口コミはとても効果的」
「内容に関する動画などを出して反応を見ることを試験的にしている」
~
47ː30~ 組織のケース
内側、劇団主宰
「幕は閉じられたけど座組内でトラブルが発生してるようなケースはある」「制作で関わったとき、いくつか修羅場を経験している」
「(慣れていない)俳優主催の公演だとスタッフワークや劇場について色々なことが分からない」
「制作としてそれぞれの話を整理して仲介する必要があるときもある」
「本番数時間前に台本が完本するケースもあった」
「だいたいこれらで内部分裂するし、悪人によって座組内で派閥が生まれてしまうこともある」
「腹黒い人よりも善人の方が多くて、善人が知らないうちに悪人になってしまうパターン」
「悪人タイプの人は上の立場の人にコントロールしてしまえばどうとでもなるけど、善人が意識なく悪人をやっている」
内側、観劇者
「カテゴライズするとどんなパターンで崩れていくか」
内側、劇団主宰
「男女関係が一番あるあるのパターン」
「主宰の意見がコロコロ変わり、下についている人たちは嫌気が差してしまうパターンもある」
「気配りができる人がいないと繋ぎ止められない」
内側、経営者
「主宰は気負いがちな人が多い印象」
「自分がコミュニティ周りの人に助けを求めると、助けてくれる」
「コミュニティに貢献している意識が生まれ、それが良い意見交換の環境になる」
「頼る意識はしているが、まだ気負いすぎだと言われる」
内側、劇団主宰
「気負いすぎだと言ってくれる人がいるのは良いこと」
内側、経営者
「(気にかけて)仕事寄こせって言ってくれる人が周りにいる状況」
内側、劇団主宰
「プロ意識のある子たち」
「プラスアルファをしようとしてくれる意識は大切だと思う。実際に意識を持ってくれているのが良い」
内側、観劇者
「そこの循環が上手に回っているようでうらやましい」
「上手に回れば本当に良い」
「主宰やリーダーの切れ味が悪くなるのはしょうがなくなる」
「ジャズ界でいうと、バンドマスター(バンドの方向性、アレンジなどを主導的にまとめる人)という存在がいた」
「メンバーをクビにできても、バンドマスターはクビにできない」
「クビにしたい場合、解散してバンドマスター抜きで組むケースがあったりした」
「お家騒動を起こさずに活動を蓄積するのは本当に難しい」
「自分は20年以上仕事してきて、独立して全部自分でできることしかやらないことにした」
「気の良い助力を申し出てくれる人とだけ細くネットワークを組んでいる」
「事務処理や契約の締結などめんどくさいことはあるが、人を雇うよりはましだし楽だ」
「その代わり、会社が大きくなっていかないのもある」
「みんな苦労している内部的な話を聞いてオガワさんはどう思うか」
オガワ
「個人的にとても気負ってしまう側の人間だと思う」
「まず、自分がきつくなったら休んだり頼んだりしないと破滅すると感じた」
内側、観劇者
「覚悟しなければいけないのは、どんなに頑張っても『切れ味が悪いよね』と言われる可能性があるということ」
オガワ
「実際もう切れ味が悪くなってきている」
「陰口ではないが、直接言われないこともあると覚悟したい」
「そういうことにダメージを食らってしまうと思う」
「(傾向として)一番気分が乗っている状態で進めているのに、横やりを刺されて減速してしまうことがある」
「減速するのは良しとして、いかにまた加速していけるかの切り替えが上手くできたら良いなと思う」
内側、経営者
「私の事例ですが、コミュニティの中で褒める文化を作った」
「ナチュラルに『良いね』と言える環境は意見も言いやすい」
「普段から言い合うと壊れない信頼関係ができる」
「オガワさんがやりたいようなコミュニケーションの環境を作るのが大事」
63ː40~ 集団経営とコミュニケーション能力
内側、観劇者
「あとから入った有能な人をどう扱うか」
「集団が大きくなると、『力を試したい』という人間が入ってくる」
「そんな人が古いメンバーよりも優秀なケースがある」
「そういうとき古いメンバーと軋轢が生まれやすい」
「具体的な解決案は用意がない」
内側、経営者
「自信をなくしてひがんでしまうんだと思う」
「それを避けるために意識していることは、周りに『あの人はこういう役割を任せようと思っていれた』と伝えること」
「『あなたにはこの役割を任せているから、何かあったら言ってね』と、メンバーにそれぞれ”いる意味”を伝えている」
内側、観劇者
「役割できちんと区分している」
内側、経営者
「そうです。『あなたに任せている役割と優劣があると思っているわけではなく、比べているわけでもない』とも伝える」
「目に見えるスキルを持っている人と持っていない人でも、見えない能力がある」
「組織の緩和剤として動いてくれたり、相談相手になってくれたり」
「きちんと『こういうところに期待しているから』とアプローチしている」
内側、観劇者
「やっぱり、5人~20人まではリーダーの資質だと感じた」
「社労士や弁護士、コンプライアンスどうこうの問題ではない」
内側、劇団主宰
「純粋に、コミュニケーション能力が大切」
~
内側、経営者
「『人には生まれつき天才的な部分が2つある』と本で読んだことがある」
「ラーメン屋で例えるなら『麺を茹でる技術』と『笑顔で接客する』才能」
「天才な部分をいかに引き出してお互いに貢献し合うかを考えている」
「人のことを踏みにじるように接するのは論外」
内側、劇団主宰
「褒め続けないと伸びない」
「劇団や会社でもそう」
「人の良いところを探す意識を強く持つのは大切」
内側、経営者。劇団主宰
「今日も生きていたら100点」
~
71ː25~ 最近の演劇界の傾向について
内側、劇団主宰
「男尊女卑と言ってしまうと悪いが、(昔は社会的に)その雰囲気が強かった」
「女が上に立つことに対して、女側が強く意識しなければやっていけない」
「下手な隙を見せたら叩かれることがあった。演劇業界でもそう」
内側、経営者
「今は女性にとって比較的生きやすい時代になったと思う」
内側、観劇者
「出版企業を抜けて、フリーで働くようになってから、こんなに頭の柔らかい女性がたくさん業界にいたのかと驚いたことがある」
「出版業界は人がたくさん入ってきたがる業界で、ブラックになりがち」
「その中で生き抜いてきた人たちは、誰もがとてつもないメンタリティになりがち」
「そういった人たちから虐げられることをどうにかしたいと考えたとき、フリーになるしかなかった」
内側、劇団主宰
「もしくは小さい会社に行くしかない」
「大きな会社だと摩擦が生じやすい」
内側、観劇者
「あとは、最近の演劇界を見てみると使い古された言い方だが『女性が主役になっている』ケースが多くなったとしみじみ思う」
「女性がすごい稼働して、舞台上で輝いている姿を見る傾向があると思う」
内側、経営者
「演劇人口の中で、女性が占める割合が多くなってきたということもある」
内側、劇団主宰
「男性は声優志望が多かったというのもあると思う」
内側、観劇者
「昔は、舞台が最初で後々声優になるケースが多かった」
「今は声優志望で舞台に転向したケースが多い印象」
内側、劇団主宰
「私の世代は両方やれと言われていた」
「『声優』というジャンルがまだ認められておらず、上の世代の人たちは反発していた」
76ː00~ 雑談
~
内側、観劇者。経営者
「こういった場ではハッシュタグを作って反応を見ていくのも良いと思う」
内側、経営者
「演劇界の実態は色んな分野で応用ができたり、同じ課題を抱えているんだなと感じる回でした」
内側、観劇者
「特に劇団はインディーズ色が強く、みんな『組織を運営するにはどうすれば良いか』をとっくにどこかに書いてあることを再発見しながら進むケースが見受けられる」
「伝えられることがあれば伝えて残すことで、何か貢献できれば」
内側、経営者
「発見していきたければ、そこで見つかる価値もあるのでそれでも良い」「ショートカットしたければできる手段があるのが一番良い」
~
3日目 まとめ
3日目は振り返りツイートを行っていなかったので、2022年現在のまとめのみになります。
2日目同様、3日目も演劇コミュニティ内での意見交換になった印象です。
3日目はコミュニティ内にいる方々の具体的な実践例を聞けたと感じます。
1本目は、演劇コミュニティ外に”開いていく”活動の実践例。
2本目は、演劇コミュニティ内のさらに小さなコミュニティ「劇団・会社」の運営についての実践例でした。
個人的に、そういった活動例を行うときの前提にある(と思われる)、
問題意識や実態がちょっと透けて見えたようにも感じました。
現在の劇団の実態や、ジェンダーへの考え方、ハラスメントについてです。
僕自身がまだまだそれらについて知らないことがたくさんあったため、このようにさまざまな意見を聞くことができてとても良かったです。
これらの意見を全体的な意見だと短絡的にまとめるのは違うと思いますが、何も知らなかった演劇界の側面を捉えられたように感じました。
もやもやっとしていた部分が少し明るくなった印象です。
2本目後半のこの辺りの言葉がとても良かったなと思います。
「私の事例ですが、コミュニティの中で褒める文化を作った」
「ナチュラルに『良いね』と言える環境は意見も言いやすい」
「普段から言い合うと壊れない信頼関係ができる」
「オガワさんがやりたいようなコミュニケーションの環境を作るのが大事」
個人的に、褒める文化のある劇団や舞台の現場をあまり知りません。
さらに言うと「真剣さ」もありながら「褒める文化」があるところです。
おそらく「真剣さ」が一方的になるとハラスメントになると感じます。
劇団でいうと主宰→劇団員、現場でいうと演出→俳優・スタッフという構図です。先の言葉からは「双方向のコミュニケーションが常にされている場」があると感じました。きっと「真剣さ」があっても一方的にならずに済むのではないかと思います。
ログの発言を参考に、
主宰目線で集団立ち上げ→持続的な集団経営に至るまでに発生しそうな、問題と解決策を段階ごとにざっくりとまとめていきます。
少しずつ問題を解決し、「双方向コミュニケーションの場」を作っていきたいです。
【主宰目線の集団形成時の段階】
0.メンバーにしたい人への声かけ
問題:それぞれが持つ資質を知らず、関係性ができていない。
解決:信頼関係を築き、資質を分析する。
また、主宰自らのことを良く知ってもらう。
1.集団の立ち上げ
問題:ルールや方向性、各々の役割などを0から考えなければならない。
解決:先人の経験を得て、考える手間を省く。
2.集団の経営(初期、2~5人)
問題:決めたルールや方向性に向けて全員で動かなけばならない。
解決:互いに役割や資質を理解し、コミュニケーションできる場を整える。
また、主宰が常に気を配って仕事を分担し、声をかける。
コミュニティに貢献できている意識を持ってもらう。
3.集団の経営(中期、5人~10人)
問題:新旧メンバー間で軋轢が生まれやすい。
解決:メンバーの役割、資質に応じて必要なフォローを行っていく。
また、主宰自らの立ち回りや集団経営を見直す。
4.集団の経営(後期、10人~)
問題:人間関係のこじれが起きやすく閉じた集団になりやすい。
解決:社労士などの第3者を入れて、ルールや経営を見直す。
また、集団内部の稽古風景や様子を公開するスタンスをとる。
主宰が考えている活動の規模感によって、集団の規模も変わるように考えました。
さらに、集団を法人化するかどうかで段階の区分や問題、解決方法に違いが出てくるかと思います。
演劇を”開いていく”活動もそうですが、”開いた”あとこそ重要で、開いた先にいるコミュニティ内外の人たちとコミュニケーションをずっと図り続け、双方向で関係性をより良くし続けるのが大切だとも感じました。
2日目では”開いていく”力のひとつに「すり合わせること」があるのではと書いていましたが、「すり合わせ」は一方的にはできず、お互いがやろうとして初めてできるものだと、ふと思いました。
そして「すり合わせ」ができる関係性は、お互いをある程度知っている、知るために相手のことを学んでいる、信頼のある関係性だとも思いました。
演劇コミュニティの内外で「すり合わせ」がちゃんと行えたら、きっとより良くなれるのではないかと思います。
リンク集
さまざまな企画を打ち出している合同会社舞台裏
(経営者)の方のnote記事
(劇団主宰2)が主催を担っている演劇サロン
観劇人が良かった演劇作品を選定するカンゲキ大賞委員会
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