大腿四頭筋ボルテージ
生首と言えば、また思い出した話がありました。
どうも円狐(まるこ)です。
これから同じような業種を目指す子たちを勇気づけたいなんて言っておきながら、今回もデザインとは全く関係ない話です。
専門学校在学中、同級生の田辺君(仮称)が自転車で5分もかからないところに住んでいました。お金のない時は彼の髪をうちの風呂場で切って夕飯を奢ってもらったり夜通しゲームで対戦したりクラブ行ったりするほど仲の良い友人がいました。彼は学校にも馴染め、自分のパソコンも持っている優等生で僕とは真逆の学校生活を送り「バイトばかりいってないで、ちゃんと学校行きなよ」なんて言われながら遊んでおりました。
そんな田辺君がある日ゲームをしながら「最近さ、郵便物が荒らされたり人の目線を感じるんだよね」
ストーカーかな、なんて話してから数日後。
夏、深夜2時。
自宅でゲームしながらウトウトとしていると家電が鳴りました(当時携帯もポケベルも持っていなかったので)。息を殺して小声で話す田辺君でした。
「僕なんだけどさ、今、コンビニ行こうと玄関のドア開けようととしたら知らない男が立ってたんだよ! うち5階で角部屋だろ。そんなとこに立ってるわけないんだよ! 怖いから来てよ」
電話をきるとすぐさま彼の家へと自転車で向かいました。道中、僕だって怖いから行きたくないのにな。でも友人の頼みとあっては断れないし、しかし武器も何も持ってない喧嘩すらほぼしたことない、カツアゲには狩られるだけかられる、そんな僕はなんの戦力にもならない。どうしよう、噛ませ犬で終わる人生もそう悪くないかもな、なんて考えてる間に彼のマンションの下まで到着しました。
彼の家にはエレベーターがないため階段で駆け上がるしかありませんでした。
2階、3階と駆け上がっていき4階に差し掛かった時、透明のビニール袋が階段の方に転がっていて、中に入っている何かと目が合いました。
息も絶え絶え、まじまじと見てみると生首が僕をまっすぐに見ていました。
うわぁぁぁ、割と大きな声で情けない声をマンションに響き渡らせた後、マネキンの頭と気がつきました。ですよね、そんなホラー映画な日常があるわけないのです。そんなとこに入れやがってーーー! と怒りが湧き上がると、田辺君のおうちがある5階へと駆け上がる勢いをつけたのでした。
彼の部屋の前には人影もなくドアベルを鳴らすと田辺君がすぐ出ました。
結局、見知らぬ男性は見当たらず心配なので、その日は泊まり結局恐怖で眠れず夜通しゲームをするのでした。
「ところでさっき男の悲鳴が聞こえたんだけれど来る時聞こえなかった?」
「ん? 猫じゃない?」ととぼけましたが田辺君、あれ、猫じゃなくて僕の悲鳴でした。
その後、男は現れなくなり郵便箱は荒らされなくなったそうです。
田辺君が円狐につままれてた! とお嘆きのあなた。
そうですよね、では、また次回におあいしましょう。
円狐(まるこ)