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過ぎ去りし日から来た男 2/2

どうも円狐(まるこ)です。

今、僕のこの文を読んだのも運命ですよね。たまたま開いたように思えてもゴールに到達するためにこの文書が何かのきっかけになるんですよね。そう、僕がこれを書いてみなさんに気付かせるというのも何かの運命なのです。
バックキャスティングですね。ゴールに到達するための、布石、きっかけみたいな。そのゴールが何かは人によって違いますが。急にどした? となりましたよね。僕にもよくわかりませんが、なんとなくです。
さて前回の続きを。

真夜中にヘッドライトに照らされた男性(ボサボサの長髪、着崩れた着物、顔がよく見えないため年齢不詳)に出会った時、明らかにこの世の方ではなさそうな雰囲気を醸し出し恐怖ですぐその場から立ち去りましたが後々、母から聞かされた話では…。
我が先祖は鈴鹿峠を根城にする山賊で、ほんとかどうか不明ですが後に源家に仕えたとか。なんて言い出すものだから、なるほど! だから僕は山賊のように地に足のついていなさそうなフリーランスのデザイナーを生業にしているわけで、あそこで出会ったのも何かの運命だったのか、と妙に納得するのでした。そしてこの出会いを今もこうしてネタにできているのは大変ありがたいことです。
きっと死に場所を探すなんてまだ早いなんて伝えたかったのかはお話ししてないのでなんともわからない次第ですけれども。

軽く書いてますが、実際は真夜中、じっとりと肌に吸い付くような小雨が降る見知らぬ山道。街中とは違い街灯も心許ない。一瞬シンっと音がなくなった後、耳鳴りのような金属音と共に山道を登ってきたトラックのヘッドライトに照らされ林のなかより突如として現れた僕のご先祖さまとのご対面。
全身が泡立ち、腰が抜け、頭が真っ白になりました。

後ろを気にしながら無我夢中で山道を自転車を再び引いて登り、トラックだけでなく乗用車もちらほらと姿を表し夜が明けはじめる頃、雨は小雨から霧雨へと変わっていきました。川には都会では見たことない鳥たちが魚をついばみ、農作業をする方々の姿も見えはじめ、下り坂になると自転車にまたがり峠を下るのは一瞬でした。

峠を越えた少し先には昭和レトロな喫茶店が姿を現し、びしょ濡れのまま、店内に入ると
「にいさん、大丈夫ですか?」と30代くらいの女性店員さんに声をかけられ「ちょっと散歩で…モーニングセットお願いします」という、どんだけ長い散歩だよ!と突っ込まれそうな返事をし、何かを察したのかタオルを貸していただいたのちにトイレも借り、鏡を見ると目が血で溢れたように真っ赤に変色していました。
厚切りのきつね色の完璧な焼き具合のトーストを食べ終え、タオルのお礼を言い「雨止みますかね?」と質問してみると「お天道様に聞いてみないとわかりませんねえ」
「ごちそうさまでした」
「おおきに!」
(わ! ここからおおきにになるんだ! と感動しました)
きっかけはどうあれ少しずつこの旅も、この挑戦も悪くないなと思い始め、京都へ向かうのでした。

ちょっと待って、前置きはなんだったの? まだ旅ははじまったばかりな感じなのに2/2になってる! いつの間にか円狐につままれてる! とお嘆きのあなた。

そうですよね、では、また次回におあいしましょう。

円狐(まるこ)

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