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調理ロボットの理想形について考えてみた

近年、調理ロボットの開発を行うスタートアップを目にする機会が増えてきました。
日本では
TechMagic社
Connected Robotics社
などが有名でしょうか。

Connected Robotics社は以前そばロボットに力を入れており、一部の蕎麦屋さんにも試験導入していたのですが、現在は販売終了しているようですね。

既存の調理ロボットの問題点

Connected Robotics社に関わらず、日本企業の「調理ロボット」はロボットアームそ備えたものが多いように思います。おそらく現在人が行っている作業の一部を代替する想定で開発しているのだと思います。

例えば「そばロボットを開発する」ケースにおいては、ロボット開発企業が蕎麦屋さんを運営するわけではないので、既存の蕎麦屋さんの店舗を活用する前提で要件定義が行われる。目的は人手不足解消ですね。
蕎麦屋さんはアルバイトの人手不足により採用費用(アルバイト求人費への掲載などの費用)や人件費(アルバイトの時給)が高騰しており、その解決のために既存の店舗はそのままで人間が行なっていた作業をロボットに代替させる。

そうするとそばしか作れないロボットになってしまいます。アームロボットは量産されているものもありますが、蕎麦を作るのに特化した構成(アーム、ハンド、カメラ位置など)が必要になり、ハードウェアの開発費用もかかります。

当然ソフトウェアの開発費用もかかります。店舗のレイアウトが変わるとそれに応じた店舗のマップ(てぼがどこにあるのか、麺がどこにあるのか、茹でた麺をどこに置くのか、など)を作成し、茹で時間、盛り付け方、器具やお皿の色や形の学習、などを店舗などによってカスタマイズする必要が出てきます。

そうすると、店舗が新しいメニューを開発したり、調理器具やお皿を変えたりするたびにロボットのメンテナンスが必要になるケースも出てきてしまい、お店側としても悩みのタネが増えてしまいます。

私が考える調理ロボットの理想系について

ChatGPTに私がイメージする調理ロボットを描いてもらいました。OK例とNG例を紹介します。個人的にはアームロボットを使わない方式が良いと思っています。

OK例

OK例①:食材ストック部からメニューに応じて適切に食材や調味料が調理部(鍋など)に自動投入されるイメージ。ロボットアームは不要の点がポイント。
OK例②:これも食材ストック部から調理部に自動投入されるイメージ。正面右上部のタッチパネルでメニューや作る量(何人前)、細かいカスタマイズ(パスタの茹で具合や肉の焼き加減など)を選択して自動調理してくれる。

NG例

NG例①:アームロボットで調理している。食材どうやって取るんやろ。
NG例②:ちょっとハイテクに見えるデザインで良さそうだが、どうやって調理するんやろ。
NG例③:各食材のストックがあり、ロボットが食材を認識しやすそうだが、やはりロボットアームで食材を取る構成。人間のオペレーションを教えて作る感じかな。

これらのアイデアのベースになった商品

調理ロボットというと「ヒューマノイド」や「アームロボット」というイメージが先行してしまいがちですよね。
私の自動調理ロボットのイメージに近い既存の製品は、SHARP製の「ホットクック」です。
食材や調味料を鍋にぶち込んでおけば勝手に料理が出来上がるやつです。

もう1つあります。「フレッシュジュース自販機」です。

10年ほど前にスペイン旅行に行った際、フレッシュオレンジジュース屋さんがあり、それがとてもおいしかったのを記憶しています。

ジュースを注文すると、店員さんが機械に皮付きのオレンジを7,8個ほど投入して、絞った果汁がコップに注がれるのですが、それがとてもおいしかった。

最近日本でも自販機の携帯で普及しつつあり、何度か飲んだことがあるのですが、フレッシュジュースはやはり美味しい(濃縮還元100%ジュースとは全然違う)。

この自販機もオレンジが皮付きで保管され、お客さんがお金を投入して購入すると自動で皮を剥いて、皮をむう板オレンジを絞ってコップに注ぐ形となっています。

モータはついているので電子制御は必要ですが、ロボットアームなどは不要です。これ1台で完結しているので、自販機を導入する場所さえ確保できればよいのでビジネスとしてもやりやすい気がしています。

これらの「ホットクック」と「フレッシュオレンジジュース自販機」を合体させたのが先ほど私がイメージしていた調理ロボットになります。
画像を再掲します。

いろんなメニューが作れる汎用的な調理ロボットを開発するのは簡単ではないとは思います。
しかし、「既存の人間の作業の置き換え」を起点とした調理ロボット開発にもビジネスの観点では限界があるのではないかと思います。

世の中にはディープテックで高いハードルに挑戦している企業がたくさんあります。宇宙関連事業しかり、自動運転事業しかり。
調理ロボットももっとハードルあげたスタートアップがあってもいいのではと思います。

海外の調理ロボットの事例について

私がイメージしたような調理ロボットを他にも考えている人はいるはずだ!と思い少し調べてみましたが、世界にはやはり同じことを考えてすでに開発に着手している企業がありました。

 

Chef Jasper(カナダ)

スタートアップのようなので、まだ実際のサービス導入されてるか不明なのですが、下記画像のようにいくつかあるポッドに自動で食材を投入して調理してくれるロボットのように読み取れます。

ロボットアームはありますが、アームでフライパンを持ったり、食材を混ぜたりするわけではなく、単に食材を投入するだけの機能に絞ってあるので、そんなにロボットアーム制御も複雑にならなくていいと思います。

Chef JasperのHPより引用

BotInKit(中国)

中国のスタートアップ(?)で、日本法人もあるようです。
下記のYoutube動画を見ていただくのがわかりやすいと思いますが、メニューを選択すると食材や調味料を自動投入して調理してくれる機械です。

日本でもコンビニ弁当を作ったり、冷凍食品を作ったりするような食品工場はたくさんあると思いますが、それをギュッとコンパクトにしたようなイメージでしょうか。

動画によると調理鍋の洗浄なども自動でしてくれるようですね。

終わりに

調理ロボットは今後日本でも導入されるケースが増えてくると思いますが、その際に導入されるロボットが日本企業から生まれているといいなと強く願っています。

日本だと資金調達がしづらく、スモールビジネス、スモール開発になりがちかもしれません。
日本の食は世界一なので、ぜひとも「日本の食を世界に届けられる調理ロボット」が生まれることを願っています!

単に「人間の作業を置き換え」することを目的とするのではなく、「おいしい食事を届けるロボット」を目的としたロボットが生まれることに期待!!
(かつ、ソフトウェアエンジニアの端くれとしてそのような会社で働くと面白いかもなぁと思ってたり。。。)

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