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<適切なアプローチについて考える>:前編「傾聴」の重要性と限界

こんにちは。kzhです。
今日は<適切なアプローチについて考える>の前編として、
「傾聴の重要性」と「傾聴の限界」について考えてみたいと思います。
傾聴は「コーチング」にいおいても、「カウンセリング」においても非常に重要な概念です。

ちなみに、小倉広さんの『すごい傾聴』という本が傾聴について非常にわかりやすくまとめられていて、おススメですので、参考まで。

それでは早速、本編、スタートです。


◆傾聴の重要性

1)傾聴とは何か?

傾聴とはその漢字の通り、相手の言うことをしっかりと聴くことです。
しかしこれが意外と難しいのです。

例えば、相手の話を聞いて、すぐに何かアドバイスをしたくなる方がいるとします。そのような方は事態を「解決」することにフォーカスしていて、
話を「聴く」ことにフォーカスしていないのです。
(「聴く」ことをすっ飛ばして、解決にフォーカスすると、相手は解決フェーズに速やかに移行できないケースが多いのです)
特に傾聴は「話し手の感情」を含んだ出来事や行動にフォーカスします。

傾聴とは基本的には「共感的な聞き役」に徹することですから、
まずは、相手が話すことに対して共感的に耳を傾け、相手の感情の動きを追体験するところからスタートします。目の前の相手の話を聞くことに徹すると、「自分はこう思う」という感情はどっかに行くんですが、そういう、ある種、トランスするようなことが必要です。

2)傾聴の重要性

傾聴の重要性は以下に集約されます。

  • まずは、相手は「話を聴いてもらえた」ということに満足すると、解決のフェーズに向けて、心理的に次の段階に進むことができるようになってきます。

  • 二つ目は、話を聴いてもらう中で、聞き役が適切な応答をすると、互いの共通認識として問題点が浮き彫りになってきます。

  • そして、最後に。自分の話を傾聴してくれたと感じる相手に対して、人は心を開き、信頼するものですから、その後の良好な人間関係に繋がりやすくなります。

◆傾聴の限界

1)傾聴がぶつかる壁

とはいえ、傾聴には少なからずぶつかる壁があります。
まず、カウンセリングにおける傾聴は、基本的に相談者がカウンセリングを通して自ら問題を解決できる、ということを前提としています。

しかし、皆さんの周りにいらっしゃる方々は少なからず、問題を抱えているかと思いますが、自分で問題を解決できそうでしょうか?

わりと二極化していませんか?
自分で解決する力がある方は壁にぶつかっても、自分から適切な人に相談をして解決をしていくでしょうし、逆に、いつも愚痴や誰かの批判ばかりでまるで成長の兆しもなく同じところに留まっているような人も多いように思いませんか?

また、カウンセリングは基本的に相談者の自発性を主軸に備えているため、ある程度時間をかけた中長期の解決を志向しており、短期的には気の持ちようが変わるくらいしか効果がないことも多いでしょう。

2)傾聴の限界をどう乗り越えるのか?乗り越えられないのか?

つまり、ここからわかるのは「傾聴」は重要な技法であり、効果的なアプローチではあるものの、決して「万能なアプローチ」ではないということです。というより、そもそも、万能なアプローチなどないのです。

皆がしのぎを削るのは、自分のアプローチで掬える範囲を少しでも広げようとするものです。それは私の提唱するポジロジシンキングにも当てはまります。私はこのアプローチを非常に効果的なものであるような仕組みであるとは思うものの、やはり、万能とは言えないと思います。

ですから、「傾聴」を純粋なツールの一つとして用いるのなら問題ありませんが、カウンセリングの「技法」のように問題解決のアプローチとして用いるのであれば、状況に応じて使い分けられるアプローチの一つとして整理されるべきだと私は考えます。

ちなみに、これはカウンセリングそのものを否定しているわけではありません。カウンセリングは「相談者」が自ら主体的に相談に訪れている点で、「相談者」には自らに解決の意思があり、なおかつ、自分だけでは問題を解決できない(問題の所在を認識できない)わけですから、自分たちのターゲットがあらかじめ、選り分けられている、ということです。
そして、このセグメントのターゲットに対して、傾聴は効果的な手法と言えるわけです。

次回はこの内容をもう少し深掘りし、ティーチングやコーチング、カウンセリングの使い分けについて話をしたいと思います。

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