米国債

はじめに

 レイ・ダリオが個人投資家に勧めているポートフォリオに「オール・シーズンズ・ポートフォリオ」と呼ばれるものを見つけました。「暴落時にも安定したリターンが上がられる」と謳われているのがすごく魅力的。定年退職で投資を始めるとしたら非常に良い投資手法の一つではないかと思えます。
 ただ、「オール・シーズンズ・ポートフォリオ」で出てくる米国債、もやもやしたままほかっておいたのだけど、ポートフォリオを考える上で避けて通れないので検討しました。 

米国債とは

 楽天証券の米国国債米ドル建て利付債(既発債)を見ると、発行体がアメリカ合衆国の米ドル建てUS Treasury Notesが載っかってました。
 額面100米ドル、年利率2.375%(税引き前)のものが額面の95.64%+経過利子相当額の払い込みで買えます。利子は、米国の課税後、源泉徴収(20.315%)される。二重課税ですが、確定申告すれば戻ってくる場合もあるらしい。
 リスクも載ってますが、秘孔をついてます。

  1.  途中で売却する場合は損失を被る場合がある
    ⇒ インフレで金利がさらに上がると債券が安くなる可能性も

  2.  米国政府が破綻すると、返済不能の可能性
    ⇒ 米国負債35兆ドルで利子が毎年1兆円と言われてます

  3.  円高になると元本割れも
    ⇒ 円安から反転すると目も当てられない

  4.  買い手が少なくなると金利が上昇し、価格が低下する
    ⇒ 中国が米国債を売って金を購入しているという話あり

米国債ETF

 個人で米国債を買う場合は、簡単に売買できる米国債ETFを買う場合が多いと思います。楽天証券でEDVのファクトシートを見ると、利払いは年4回となっており、100%米国債で構成されてます。
 ※ ETFには信託報酬が、バンガード・超長期米国債ETF(EDV)の場合0.06%/年かかります。
 投資を始めたころにお試しで買った iシェアーズ・コア 米国総合債券市場 ETF(AGG)は、今見るとかなり高値で買って、現在底値付近です。米ドルで見るとかなりの赤字ですが、その頃円安になる前だったので、日本円で見ると黒字です。逆に言えば、底値近辺で買っても、円高になれば日本円で赤字は余裕でありそう。

EDVの価格と10年物金利

 10年物金利とEDVの価格を調べてみました。20年後+αの満期額から複利の金利を割り引いた現在価値が価格となるため、金利が上がると安くなり、金利が下がると高くなる動きをします。これが株式の下落を補うしくみでしょう。下表はチャート上から目分量で読みだしたものです。投稿時点(2024/8/1)で金利5%ですが、インフレ率3.3%を考えると下げる余地が少ないと思います。

米国債10年物利回りとEDVの価格

超長期で見ると

 米国債10年物の金利を1920年から6か月足で見ると、1950年から1980年まで上昇し、その後、2020年まで下落する。大きな山を描いてます。今後、水平期間を挟み、上昇に向かう感じです。デフレの時代が終わり、インフレ時代に転換するということでしょうか。

米国債10年物金利

結論

 米国の金利は、超長期間の下落を終了し、上昇に向かう感じがします。中立金利がインフレを加味して、徐々に切りあがっていく可能性を示唆しています。米国債券は短期では上昇する局面はあるものも超長期では下落していく可能性が高いと思われます。
 ポートフォリオに資産として加えるのは、現時点では、リスクが高く、メリットがないと思われます。


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