ちょっといい音で聞きたいだけなのに その3

PMX900の性能を引き出す検討をする

 「ちょっといい音で聞きたいだけなのにその2」で、CR-N765+TEAC LS-H265とパナのPMX900を比べたのですが、「H265の方が私好みの音に聞こえる」、「周波数特性、THD」も良いという意外な結果になりました。かといって、パナのPMX900も机+PCでちょっといい音を聞くという目的を十分満たしていると思います。むしろ、長時間気軽に聞き流せるという点でこれで良いと思います。でも、釈然としない部分があるので、PMX900の性能を引き出す努力をしました。

よりよい音響効果を得るために

 原点に戻って、PMX900取扱説明書を読むと以下の記載がありました。

音はスピーカーの置きかたによって変わります。
例えば、床の上や部屋の隅に置くと、低音が増します。
下記を参考に、よりよい音質をお楽しみください。
(1) 平らで安定した場所に設置する
(2) 左右のスピーカー周囲の様子をできるだけ同じにする
(3) スピーカーは壁から離す
(4) 硬い壁やガラス窓には厚地のカーテンなどを掛けて反射を少なくする
(5) 左右のスピーカーの間隔を広げる
(6)  後ろの壁から 5 cm 以上離して設置する
(7) 鑑賞時の耳の位置と同じくらいの高さにスピーカーを設置する

PMX900取扱説明書

現状できている項目もあるが、
(1)ー>机なので平らと考える、実施済み
(2)ー>机をキャビネットから離す、実施済み
(5)ー>かなり机の端だと思う。クランプ型のスピーカスタンドが購入候補
測定項目を必要とするものとして、以下の3点を選びました。

  1.  スピーカの高さ

  2.  壁からの距離(机上の置き場所)

  3.  ガラス窓のカーテンの有無
     カーテンをした方がいい音がする気がしていました

スピーカの高さの検討

 まずはレンガをホームセンターに買いに行き「KAIRYAL スピーカースタンド 卓上」の下に敷きました。6cm(レンガ厚)高くし、+5度の角度がついていることでツイーターがちょうど耳の位置に来ます。測定する前に、ちょっと聞いてみたくなって、音楽を鳴らすと抜群の音に変化してます。しかも、CR-N765+TEAC LS-H265とより少しだけいい音に聞こえます。※1 スピーカLS-H265の高さの調整をしていないので、機器の性能差ではありません。

図1.高さの検討

 図1に測定結果を示します。直置き(25,0,18.5)※2は、取説の通り200Hz-1kHzの盛り上がりに見られるように低音が増し、高音が少ない気がします。レンガ3、4個置きは2kHz-6kHzにおいて大きくへこんでいるので論外です。スピーカスタンドとレンガ1個+スピーカスタンドとでは、200Hz-400Hzの平坦さがレンガ1個+スピーカスタンドの方が上です。その差が音に出たのかも知れません。レンガ2個とレンガ1個の差は微妙ですが、平坦さではレンガ1個でしょうか。
※2 (25,0,18.5)は、壁から25cm,机左端から0cm,ツイーター高18.5cmを表す。

壁からの距離(机上の置き場所)

 机の左右の奥におければ良いけど現実はそうはいかないので、(壁からスピーカースタンドまでの距離, 机の端からスピーカスタンドまでの距離, 机からツイーターまでの距離)の三つをパラメータにして、レンガ1個+スピーカスタンドの高さで左スピーカを移動しながらREWで測定しました。

図2.ツイーター高41.5cm時の机上のSPL

 図2を観察すると、ひどいうねりですが、(20,0,41,5)か(25,0,41.5)あたりが比較的平坦な曲線を描いている気がします。

図3.机端から0cmのDistortion、縦軸はdBr

試しに苦労してREWからDistortionをexportし、エクセルでTHD(dBr)を作図した結果が図3です。あまり変わり映えしませんが、敢えて上げるなら、(25,0,41.5)かなーという程度です。結構歪でかいですね。

ガラス窓のカーテンの有無

 (25,0,41.5)のスピーカ位置でカーテンの有無での差異を測定しました。

図4.カーテンの有無

 200Hz~600Hzに対策を打てていることはわかりますが、どちらが滑らかかというと不明です。100Hz台の山と600Hzあたりの凹み(ディップというらしい)を均せたらよりいい音になるのでしょうか。カーテンした方がいい音の気がするは気のせいで、私の耳では判別つかないだろうというのが正解でしょうか。

スピーカスタンドの購入

 現行の「KAIRYAL スピーカースタンド 卓上」+レンガはいい音鳴らしてくれたけど、MR4のスピーカサイズに合わせて買ったため、天板が奥行15cm,幅15cmに対し、PMX900のスピーカ奥行24.5cm,幅16cmで見るからに安定が悪い。地震が来ると怖い。レンガの粉でじゃりじゃりするのがいや。という訳で、スピーカスタンドを買い直そうと思います。
 現行の台座20cm+角度5度、角度調整がないタイプだと26cm(マイク高さ117.5cmー机高さ73cmーツイーターの高さ18.5cm)がベストです。
 必要条件は、スピーカがちゃんと天板に収まること、ツイーターの高さが合わせられること、地震が来ても大丈夫なこととしました。できれば机が広くなる方がうれしい。まずはクランプ型を机のサイドに取り付けるという方向で調査しました。後ろに取り付けると壁から離せない。

表1.スピーカスタンド クランプ型

 調査した結果、GSP3102TMがしっかりしていて良さげということで、取付けられるか、最終確認に机の下を覗くとがっかり、机の左右端から4cmに補強板があって、クランプ取り付けられない。調査前に見ろよ!と自分に言いきかせながら断念。急速になくしていく情熱(意外と机が広くなることがうれしかったのかも)の中で、卓上を調べました。

表2.スピーカスタンド 卓上型

 クランプ型調査時、目星をつけていたこともあって、さくっとSDM001T (suptek)に決定。測定!測定!

スピーカスタンドによる測定

 壁~スピーカが20cmの場所にスピーカ台を設置し、さっそく測定しました。

図5.スピーカスタンドによる測定

 図5によると360Hz~620Hzの範囲の周波数特性が大きく変化し、ディップが持ち上がるという点では、支柱点の高さ266mm(ストッパー穴下から1個目)チルト0度が良いと思われます。実際聞いてみたら、ちょっといい音に聞こえます。わざわざ、260mmに固定するためのツールを買ったのに、先走り過ぎ(泪


まとめ

 PMX900の性能を引き出す試みを行い、すごく音が改善した。以前に比べて周波数特性が±3dBに収まるよう(平坦)になっている。

図6.スピーカスタンド(266mm高)の周波数特性

 ちょっといい音で聞くために一番重要な項目は耳の高さにツイーターの高さを合わせることでした。さらに、スピーカを高くすることで机面と天井の定在波も緩和している。カーテンは昼間閉めてまで聞くほどではないということでしょうか。
 スピーカスタンドは種類出てたけどスピーカに合ったものを選ぶのは困難を極めました。スピーカを逆さ、横にすると、ちょっと、選択範囲が広がるので検討範囲に入れると良いかもしれません。最悪、木材で自作やむなしかと考えた時期もありました。レンガは音が良いけど、粉が辛い。卓上のスピーカスタンドでもクランプほどではないですが、机の使える場所は広がります。お勧めです。

 ちょっとした問題点

 SDM001TはPMX900のスピーカにぴったり合うスピーカスタンドでしたが、問題点もありました。スピーカスタンドのストッパーが邪魔して、スピーカネットが取付できないのです。2mmくらいスピーカを持ち上げないと駄目ということで、スピーカスタンドのインシュレーター(少し貼り方が雑)を剥がして、3mm厚の振動抑止用のゴム(WAKI SANGYOのハネナイトHNT005 サイズ:3mm×170mm×245mm)に交換し、無事スピーカネットを取り付けることができました。

図7.ハネナイト張替

 聴感上は劇的に良くなりました。周波数特性は制振効果か幾分全体的に抑えられているカーブです。500Hz辺りのディップは、机を前に出して、スピーカをその分机上で奥にしたせいかもと思い、壁に近づけると前のカーブを描いたので何かあるのかも。

次はイコライザー平滑化

 値段も高いし、場所も取る、さらに家族にぼんぼんし過ぎ!と言われるたら使えないサブウーファーで悩んでます。処分前提で安いやつがあればいいけどスピーカ端子でしか接続できない制約は大きい。


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