言葉にできない世界観に頭からつま先までどっぷりと浸っていたい

girlish MOON

初めて聴いた時に、恐怖ではないのに背筋がぞくっとした感覚、20年以上経っても憶えている。この楽曲が創り出す世界観にどっぷり浸っているものの、その世界がどういうものであるのかを言語化できない。そして、この楽曲でイメージするオリジナルの映像がない。リリースされた後の「HIGH COMMUNICATIONS TOUR 2003」の際、TERUが椅子(ソファだと思っていて見直したら木の椅子だった。。。)に座りながら、一筋の照明の中で歌う演出があったのだが、それの映像が、自分の中での「公式」な映像だ。この時に目にしたあの光景が、「girlish MOON」の持つ世界観であると言われれば、そんなような気がするが、別の世界観のような気もする。タイトルに「moon」あるが、個人的には、あまり「月」がこの楽曲の核になっているようには思えず、なんとも表現しづらい模様が、ずっと目線の先で漂っているような感覚。その模様が少しずつ向きや形を変えながら、楽曲の輪郭を作っているような感覚。書きながら、自分でもよくわからないなと思う。とにかく、自身の感じるままのその感覚が、この楽曲の世界観を言葉にするピースの一つになっていくのだ。

しかし、椅子に座って照明を一人で受けながら、ステージから離れた場所で歌うTERUは神々しい。立って歌う以上に、力を入れることが難しいだろうに、そんなそぶりを見せずに、薄く開いた目で遠く(だと思う)を見つめ、手を、指を自在に動かしながら、感情を表現する姿は、照明を受けているよりも、自らその光を放っているのではないかと錯覚するほどに華がある。自在に操る指は、細くて長くて、でも適度に関節のゴツゴツしていて。その妖艶な動きだけを目で追っているだけで、恍惚感を憶える。その不思議な感覚は、他の何でも得られず、そして何に起因する感情なのかもいまだに解決できていない。
一番は一貫してモヤがかかったような音で、窓の外から屋内の音を聞いているよう。ちょっとだけ、蚊帳の外にいる寂しさのようなものが押し寄せる。2番になると、エレキギターで留めておいた感情が溢れていく様が表現されていて、その瞬間に何かから解き放たれたような感覚になる。ベースの色気もまた、2番を盛り立てるキーポイント。これにより、世界観のベクトルが内から外に向かっていく。そして、2番のサビでばーーーんと扉が開いていく。

その放たれた先の歌詞が美しい。メロディにピッタリと言葉がくっついていて、その歌詞以外にどう表現することができよう。

砂上の夢にただ酔いしれど長るる時を止められず
舞い散る花びらが落ちるまで 綺麗なままで愛されて
24時間逢えずじまいで 迎える朝にさりげなく
KISSで起こしていつものように 悲しみに暮れゆく前に

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ただ、あまりにも具体的にイメージができるものだったり、ただ描写をするのではなく、頭と心で画を作っていくことができる噛めば噛むほど、時が経てば経つほど、愛おしい歌詞へと変貌を遂げていく。

TERUが放つ無意識な色気にとことん酔いしれたい。

#GLAY #girlishmoon #砂上の夢 #指の形とその動きをいつまでも見ていたい

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