ピアノがイントロに齎す効果

遥か・・・

GLAYを好きになったきっかけというか、GLAYに衝撃を受けたのは、実は当時のサポートメンバーの方の鍵盤の音だった。自分の記憶の中で初めて楽器に触れたのがピアノで、教室に通うこと10年。当時ほどではないにしても、今でもたまに弾いたりするくらい、自分の音楽の原点はピアノであるなと思う(たまにしか弾かないから、たまに弾くと弾けなさ具合にげんなりしてじ、そっとピアノの蓋を閉じるのだが・・・)。
だからこそ、やっぱり鍵盤の音には敏感になってしまうし、美しいメロディを奏でられてしまったら、一発で心を奪われてしまう。

「遥か・・・」は鍵盤がイントロとアウトロで楽曲の導入と締めを担う。イントロは美しいというよりも、懐かしさを演出している。田舎の平屋の縁側から聴こえてくるようなイメージ。映像はベタだけれどもセピアで。広めの庭に、青空の下でお茶を楽しむようのテーブルと椅子が置いてあって、季節の花が踊っている。そんな風景についての記憶はないけれど、イメージができる、そんなイントロ。夏手前の夕方の独特の匂いもしてくる。とりあえず、胸いっぱいに吸い込んでみたくなるような匂い。
作曲の段階でこのメロディはあったのだろうか。それともサポートキーボーディストの方がこのイントロにしてくれたのか。楽曲の持つ絵力だけではなく、イントロのメロディによって具体的な場面がイメージさせてくれる。音楽はつくづく映像だなと思う。こと、この楽曲については、無味無臭の映像ではなく、触覚や嗅覚をも刺激してくれる。
さらに、「遥か・・・」のイントロは、その後ろでうすーくギターではない弦楽器が鳴っていて、それがピアノを引き立てているのはもちろんそうなのだが、イントロの途中から、Aメロまでの間に、エレキギターが入ってくる。そのエレキギターの入り方がまた秀逸で、確かに入ってくるし、存在感があるのだけれど、気づけばエレキも入っていたと思ってしまうくらいに、自然と、これまでもそこにあったようにスッとピアノに馴染んでいく。
エレキギターもピアノもどちらもメロディを弾ける存在感の強い楽器たちで、どちらも目立つということはよくあるけれど、ここまで不自然さがなく2つの楽器が混ざり合って存在感を出しているのがすごい。それぞれをリスペクトしながら、楽曲としての正解に向かって、主張し合うのではなく混ざり合っていく。繊細さを持ちながらも、力強さがあって、しなやかさの中に、一本太い芯がある。イントロだけでも、これほどに語れる楽曲。

『GLAY』と言うアルバムの中では、緩衝材的な役割かなと思っていたが、この楽曲が持つ見えにくい魅力が、圧倒的にまだある奥深さを知った金曜の夜。

#GLAY #遥か #イントロのピアノとエレキギターのマージ #アルバムという概念

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