言葉も持つ経済効果について考えてみたくなった
mister popcorn
JIROの楽曲はシェイクだったり(しかもバニラ)、ポップコーンだったりとかわいらしいおやつがタイトルのものが多い。そんなかわいいポップなイメージとはなかなかギャップのある楽曲だからこそ、味わい深い。タイトルっは、その楽曲をそのまま表現しているものもあるが、どういう経緯でそのタイトルなのか?の理解に時間を要するものも結構存在し、個人的には後者の方が好きだ。楽曲のタイトルは子供の名前のようなもの。まして、自分が作ってこれから自分たちの手によって世に広めていくのであれば、思い入れが生じないわけはないだろう。音の響きのよさだったり、誰かをイメージさせるような言葉だったり、タイトルの付け方に特に公式はないものだからこそ、その人の個性が出るから面白い。サビの歌詞からとるケースが多いだろうが、それもまた人によって違うだろうし。タイトルだけを切り取った研究とかしてみたら興味深い結果が出てきそうだ。
そんな「ポップコーン」というポップなワードには似つかわしくないというか、あまり共通項が見出せないサビとかがなんか愛おしい。この楽曲は全体的に短いが、サビとそれ以外の曲調が違うし、一気に別の楽曲のように変わっていくから、すごい短時間の間にたくさんの情報が頭の中でパニックを起こしているような状態になる。この忙しさというか、短い時間の中に色々な要素を埋め込むというのは、『ONE LOVE』というアルバムが持つエネルギーのような物に耐えうる楽曲である一つの証明のようなもの。
出だしからサビ前までは、アンニュイな感じで進行していく。跳ねるようなベースに誘われてギターがちょっとだけ不穏さを含んだ音を出しているところなんかは、サビに向かっていく予兆を感じる。全体的に、ダウナーなイメージで進んでいくところは、サビとの対比がわかったうえで聴くと、なるほどと思う。そう、急に全楽器に別の魂が宿ったかのように一斉に暴走を始める。そういうアプローチ?という感想が初めての時の素直な感想であろう。
ただ、その暴走列車は自分でちゃんと停まり切らないようにコントロールをして、不自然さを匂わせずに、また通常運行に戻っていく。ここの勢いの回収の仕方が秀逸。本当に、猫のお面でもスッと被るように。
ポップコーンがフライパンの上で、自在に、そして四方八方に散らばってはまた戻ってくる感じは、楽しそうで、でもなんか感じるところがあって。そういう想像を掻き立ててくれる「mister popcorn」は、心が崩れそうな時に思い切り爆音で聴くことをおすすめしたい。
パチパチとなるポップコーンを煎りながら。
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