楽曲の中の主人公は何を考えるのか
初恋を唄え
この楽曲も気付けばもうリリースされてから10年以上が経過するが、この歌をデビュー間もない頃のTERUの歌声で聴くのと、デビュー20周年を次の年に控えたTERUが歌うのを聴くのとでは、印象が違うのではないかと思う。
言葉で表現する人が、その言葉の解釈の仕方が変われば、そして、その体から搾り出させれる声が変われば、聴こえ方だって変わるはずだ。この頃のTERUの声は、ただただ高い声がコンスタントで出ますねという状態から一線を画し、声の艶っぽさと力強さ、そして地声とファルセットの間の声の安定感が増し、TERUにしか出せない声になってきていると感じる。
この辺りから2024年現在のTERUの声は、心底、この人から発せられる声が好きだと思わせてくれる、大層個人的な意見であるが。特に、このようなゆったりめの楽曲だったり、アカペラに近い状態で声が収録されている時に感じる。そして、何よりすごいなと思うのが、唯一無二でありながらも、強いクセがないため、モノマネが難しい声であると感じる。ある意味での特徴が強いと、それはモノマネの標的になりやすいが、TERUの場合は、TERUの声であることは分かりながらも、真似しやすいポイントを押さえるのが難しいのだと思う。だからこそ、楽曲そのものが重たく感じないのではないだろうか。
歌詞だけを見ると少々重さを感じてしまう要素も多分に含まれていると思うが、TERUの声だと、重たさを感じる暇(いとま)がない。それは、TERUの声が持つ力に起因していると思う。重たすぎず、でも軽んじているわけでもなく、思い出の中で大切にされている様子が浮かんでくるような声。
まとわりつくものではなく、余韻を残しながらも、そっと背中を押してくれるような前向きさも含んだ声。そういう声は、まさにTERUそのものだと感じる。
この楽曲も歌詞の三段活用が使われているが、恋が始まり、終わりを迎えていくストーリーの要となる部分が、それぞれのパートでのサビに組み込まれていて、その切なさは否が応でも感じずにいられない。そして、きっと主人公は、「春に永眠る初恋でした」と口ずさみながら、泣いているのでは涙を拭った後に、少しだけそっと笑うのだと思う。そんな光景までをも見せてくる。それは、歌詞から想像するという意味でもそうであるし、TERUの歌からもイメージができる。このストーリーにおいて、少し時間が進んだ時には、きっと忘れずとも、良い思い出になり、主人公の、そしてリスナーにとっての一つの転換点になっていることだろう。
そして、それを表現するのは、音色豊かにアプローチを変えるギターと、良いタイミングで入り、心をかっさらっていくようなベース。そして、それぞれの役割をどう自分で解釈をして、音に作り変えているのか・・・
それは個人的に大変気になる。
#GLAY #GUILTY #初恋を唄え #シンプルなアプローチ