背広の語源〜幕張まであと少し〜
Savile Row 〜サヴィル ロウ 3番地〜
『HEAVY GAUGE』の締めの楽曲。アルバム全体の重心が低いため、このイントロのアコギが鳴ると、フッと肩の力が抜けた感覚になる。このアルバムの最後にこの楽曲以外は思い当たらないくらいベストな曲だと思う(どのアルバムも大抵そうだのだが・・・)。
夏の終わりの少し冷たく感じる風を二の腕に感じるような曲。窓を目一杯開けて、前後にまったく車が走っていない道を、風を感じながら走る。向かう先は、これまで来たのとは逆の道。これまでを振り返るのではなく、別の道を、まだ誰も知らない新たな道を走っていく、そんな決意のようなものも感じる。メロディはふわっと軽いが、そこに込められた想いは強く、決意は固い。
1999年7月31日の記憶がまだ残像のように張り付いている頃に、次のアルバムのレコーディングに向け、彼らはロンドンに飛び立った。
『HEAVY GAUGE』がリリースされた同年10月、夏の余韻にまだ浸っていて、最後のこの楽曲に幾度となく涙を流した。
あの日の抜けるような青い空や、肌に感じる汗でベタベタした感じや、思い出そうとしてもなぜか思い出せないライブ中のことが思い出されて、涙腺を刺激する。
こんなにも軽やかなメロディがもつ涙腺の破壊力は底知れない。
この軽やかなメロディ(3回目)にこれだけ質量のある言葉を乗せることに、当時のTAKURO氏はどのような感情を持っていたのだろうか。
当時の彼の年齢はとっくに超えているが、到底理解は及ばない。
インタビューとかをひっくり返せば、解は出てくるかもしれないが、あえてもうせずとも良いだろう。
今となっても、当時感じた胸をグッと掴まれるような感情は、まだ消えない。
このタイトルのサヴィルロウというのは、ロンドンの地名で、「背広」の語源となったとも言われている。
この重みのある歌詞の歌に、ロンドンの地名をタイトルにつけるGLAYが愛おしい。
そうそう、『HEAVY GAUGE』は、昼間に日光を浴びた分だけ、暗闇でボワンと光る。闇の中でポッと光を放っていると一瞬ビクッとするが、浴びた光の分だけ、しっかりと暗闇でも光を放てるって素敵だな。
今年の夏は、久しぶりに幕張でSavile Row 聴きたいな。
やっぱり幕張が似合う。
https://www.youtube.com/watch?v=qrsf8MnDPHA