名前のないあの日が輝きに変わるまで
GONE WITH THE WIND
8センチシングルの形で今も手元にあります。「ずっと2人で・・・」という5枚目のシングルのC/Wのうちの1曲が「GONE WITH THE WIND」。名曲すぎる楽曲のc/wでありながらも、おそらくシングルとしてのヒットはそこまでしていないから、手元にこのCDがある人はそう多くないだろう。なぜかリリースされて数年経過した頃に、友人からプレゼントされたため、擦り切れるほど聴いた。表題曲はもちろん、「GONE WITH THE WIND」が当時から好きすぎて、この楽曲が有名でないことがもどかしいと何度思ったことか。そして、ライブ後のアンケートの「ライブで聴きたい楽曲」に何度、このタイトルを書いたことか。もちろん、聴きたいから書いていたけれど、正直書いたところで聴けるなんて思ってもみなかったし、相方からの「「GONE WITH THE WIND」はないでしょ」と言われていた。それでも、書かずにはいられないほど好きだった。
アンケートにタイトルを綴り続けること10何年。2022年にまさかの出来事がおこった。そう、そのまさか。ファンクラブライブと銘打った誰でも参加自由な会員にも優しくて、それ以外の人にも広く門戸を開いたライブで、「GONE WITH THE WIND」は演奏されたのだ。あんなにも聴きたいと言っていたにも関わらず、いざイントロが演奏されると「えっ、なになに?」とパニックに近い状態に陥った。しかも、インディーズ時代から演奏されてきた楽曲で、私が擦り切れるほど聴いた音源のアレンジとは異なるもんだから、これなんだっけ?状態になるのも無理はない。これほどに焦がれているからこそ、実際に目の前に事実を突きつけられると狼狽えるものだ。
これまでにも何度か言っているが、私は全面的に再録賛成派だ。その当時の音源が良いのはもちろん。その当時しか閉じ込められない衝動のようなものもあるから。ただ、音楽は長く聴かれることで、色艶が出てくるものだと思うので、数十年続けているバンドが時を経たからこそ出せる音やアレンジを再録の形で楽しむことを否定する理由がむしろわからない。
だからこそこの楽曲がインディーズ時のアレンジを基調として、このライブの後にリリースされるシングルに再録バージョンを入れてくれたことに痺れた。
今のTERUの声で聴けるとは、今のGLAYの演奏で再録されるなんて。初期衝動のようなとんがりは感じないものの、いつまでもバンドが好きで、音の出す喜びを何よりも自分たちが楽しんでいるのが音から伝わってくることが極上の喜び。再録バージョンも、とにかくリピートリピート。こんな幸せなことはない。
初めて耳にしてからゆうに25年は経過している中で、ようやくライブで聴けた。この嬉しさと天秤にかけた時の重みが同じくらいのものってなんだろうと考えると、人生の中でそう多くのものはあてはまらないと思うほど、貴重なこと。長年ファンでいることの喜びは、こういうところに起因しているのだなと感じずにはいられない出来事でした。