「航海」を後悔しないように。

航海

「凪」という言葉は、この楽曲の詞を見てから、この20年の間によくよく使うような言葉になった。

かつて争い 今は凪 志は同じ

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これを30になって間もない人が書けることの重みよ。この頃はまだ、30代でバンドを続けるロールモデルがさほど多くない中で、自分たちのバンドを継続していくことに対する不安も少なくなかったであろう。一般的なバンド像、ヴィジュアル系が辿る先を想像したときに「凪」という言葉がこれほどまでに自然と使えるなんて。この歌詞を聴いた時、当時まだ学生の身だった私は、いつか「争う」(というか切磋琢磨に近い感覚?)から「凪」へと変わる瞬間を自分もいつか経験することになるのだろうかなんて、ちょっと思ったりもした。ともに一つの船に乗り、同じゴールをめざして舵をとっていくことの面白さとプレッシャー。そういうものの両方をこの楽曲からは感じる。

途中まで書いて保存している間に、無性に腹の立つことがあった。
だから、心を「凪」の状態にしようと今ここに再度座った。きっとTAKUROは、こんなちっちゃなことで、腹を立てたりしないのだろうななんて思いながら、自分の器の小ささに情けなさを感じながら、キーボードをいつもよりも強く打つ。でも、こんなときに心を「凪」の状態にしてくれる音楽の存在に救われている。この存在の大きさに気づけたことは、私が胸を張って言えることの数少ないうちの一つ。

『UNITY ROOTS & FAMILY, AWAY』というアルバムは、小舟に乗って大海原へ漕ぎ出すメンバーがジャケット。周囲がお膳立てをした豪華客船の乗り心地もよいけれど、自分たちで木を集め、作り上げた継ぎ接ぎだらけの小舟だって、自分たちのオールで自分たちのペースで自分たちの責任者で舵を取れるならば、それが信頼できる仲間と一緒ならば、それも悪くないということが、このジャケットと「航海」から伝わってくる。小舟の足元を支えるのは、ベースとドラム。風が吹いても、荒波が来ても決してペースを乱さずに、舟の底を常に安定させる。だから、多少小舟の上で暴れても大丈夫だよと言わんばかりに。
そして、その横で、心を安心させてくれるように、そっと寄り添ってくれるギターと、自由ながらも芯の強さを感じさせるもう1本のギター。それを受けて、懸命に前を向く活力を生み出すTERUの歌声。「航海」は、GLAYそのものなのだ。当時もそう思ったけれど、今も変わらずにそうだ。だからこそ、何度聴いても涙腺が緩くされてしまう。
航海は決して楽しいものではないけれど、仲間とならばそれすらも楽しさやワクワクになるという要素がこれでもかと詰まっている。

だからこそ、keep on walking!

#GLAY #航海 #keeponwalking #かつて争い今は凪

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